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今年生まれの真珠を取り出す!伊勢志摩ヌーヴォー2023

昨年に続き、三重テラス主催のワークショップ『伊勢志摩ヌーヴォー2023』にオンラインでzoom参加しました。
12月2日、今年は土曜日の日中の開催でした。

↓こちらは昨年のレポートです。

伊勢志摩ヌーヴォーは、本格的な真珠の収穫が始まる 12 月に採取される「その年生まれの真珠を誰よりも早く楽しもう」というイベントで、今年で7回目の開催となります。

伊勢志摩から現役の真珠養殖業者さんがオンラインで参加し、真珠づくりの魅力や今年の真珠づくりについてお話しするとともに、三重テラスと伊勢志摩、全国の参加者をオンラインでつなぎ、伊勢志摩の海で育てられた貝から真珠を取り出します。

三重テラス公式サイトより


ハンドメイド系のショップや大手の通販でも「真珠貝の缶詰」なるものが手に入り、ネット検索ではいくつもの動画がヒットします。
中には少々怪しげな情報もあるようですが、「貝から真珠を取り出すこと」自体は、さほど目新しくなくなってしまったように思います。


生き物を育てる、真珠を育てる

手のひらより小さめの あこや貝です。
生きている状態でクール便で届きます。


しかし、『伊勢志摩ヌーヴォー』は実際に真珠養殖に長く携わってきた三重県の企画です!
ナビゲーターの方も、現地の養殖家の方も、難しい専門用語など使わずにわかりやすく説明されていらっしゃいましたが、その飾らない言葉ひとつひとつがまっすぐ心に届きました。


たしかに、生きています!!!


貝の中に砂粒など異物が入り込み、真珠層で覆われて美しい珠(天然真珠)ができることがある。
養殖真珠は、人工的に「核」を貝の身の中に入れ込むことで作られている。
…といったことは、わりと一般的にも「知識」として知られています。

ところが、真珠養殖とは「核を入れて待つだけ」ではないのです。



あこや貝は繊細な生き物なので、病気にかかったり突然死も起こり得ます。異常気象になれば私たち人間と同じく体に負担がかかりますし、美しい海や環境を維持していくことが必須です。

酷暑の夏も極寒の冬も海に出て、たくさんの貝のケアをする養殖業者さん。そのお話からは、「真珠という商品を作る」というよりは、「あこや貝を育てている」「命あるものに向き合っている」という印象を受けました。


ごめんね と、ありがとう

貝殻の内側の美しさにも息を呑みます。
鮮烈なブルーの干渉色です。

昨年の初参加ときよりは余裕をもって臨めたので、今回は開けたての貝の画像も残しておきました。

さすがに二度目でも、貝柱を切って殻をこじ開けるときには「う〜ん、ごめんね…」という気分になります。
(開けるとその時点で貝は死んでしまうので、真珠だけ取って貝を生かしておくことはできません。)

そして、柔らかな身から ぷるんと真珠があらわれた瞬間には…
「ありがとう」という気持ちが自然とわいてきます。誇張しているわけでもなく、ごく自然な感情です。


今年は可愛らしい真珠が4つも!


このワークショップはあらかじめ「リアルな体験」と説明されています。真珠が出てこない場合も、形がいびつな真珠になっている場合もあるからです。

核を入れたからといって、真珠ができるとは限らない。

核を入れた数に対して、浜揚げ(貝から真珠を取り出せた)数がどれくらいかというお話もありましたが…
貝の死亡率の高さと、綺麗な真珠が出てくる確率の低さにあらためて驚きます。
養殖とは、真珠を生産するとは、なんて難しいのだろう……


それを踏まえて、私のもとへ届いた貝からは…

ひとつの貝につき2つの真珠、合計4つの真珠が出てきてくれました。少し凹凸のある珠や、しっぽがついた雫のような形の珠もありました。

直径5ミリほどです。

丸くて無傷の真珠…ではなく、色むらや凹凸のある真珠が出たときに、それをどう感じるのか?
そのナビゲーターさんの解説も、とても良かった!
意訳ですが、どんな真珠であっても自分の手で取り出したその真珠は綺麗なんです、と。
2023年に取り出した、その思い出も含めて宝物なのです。


ものを買うより体験を買う

ここからは、私自身のお話です。

私のかつての勤め先は、手作りジュエリーのワークショップをメインとして推していました。
自分用、ギフト用、そしてカップルの結婚指輪などの手作り体験ができる、ジュエリー工房付きの店舗です。

体験や付加価値を買っていただくというスタイルは、その後の私の仕事の下地となりました。
仕事だけでなく、大げさですが「生き方」の指標になっているかもしれません。

昨年、活動再開したものの大きな仕事を手掛けるでもなく、まだ小さな子どもたちに振り回される日々。そんな中、『伊勢志摩ヌーヴォー2022』にオンライン参加したことで、かつての自分の仕事を思い出したのでした。

ああ、ワークショップって、手を動かしながら心が動くものだったなぁ。
自分の作品を出す以外にも、また何かの形でワークショップができたらいいな。

そんな思いは、大規模ではありませんが、周囲のご協力もあって少しずつ実現していきました。
今年2023年は春と夏にイベント出展もでき、夏には『おしゃ会』の中で天然石やsilverの枠を使った ささやかなワークショップも開催できました。

ちょうどこの一年を振り返るようなタイミングで、ふたたび『伊勢志摩ヌーヴォー』に参加できて、体験以上に価値のある時間を過ごせました。

ここからの一年で、どんなことができるのだろう。
真珠層が重なり厚くなることで輝きに深みが増すように、私も小さな活動を積み重ねていこうと思います。




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