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読みかけ日記 「水中の哲学者たち」永井玲衣

 noteで紹介されていて興味を持った永井玲衣さん。

 KAZEさんは雑誌の中の文章を紹介されていたのですが、たまたま本屋さんで同じ方が書いた本を見つけ、読んでみました。

 これが面白かったんです。

 「哲学対話」…哲学的なテーマについて、ひとと一緒にじっくり考え、聴き合うこと。

 ただし、正解をまとめたり、勝ち負けを決めるものではない。それぞれが自分のことばで考え、表現する。拙くなったとしても、日本語として正しくないと言われる言葉もその正しさを超えてでも表そうとするその人の世界だ。「理由を背負っている言葉」その人自身が決死の思いで世界に向かって投げかけている言葉。用法として間違っていたとしてもその言葉の力はすごい。

 それでいて「〈結局人それぞれ〉にしない」というルール。人は完全にはわかり合えない。でもわかり合おうとすることを放棄はしないことが大切。

 問いは自分自身の硬直した考え方を根底から覆していく。

 小学校で「死んだらどうなる」をテーマに哲学対話をした時に、「生きるとは何か、どのように生きるべきか」に議論が行きかけた時、ある子どもが「みんなは生きるということがメインで、そのために死んだり生まれ変わったりするって言っているような気がするんだけど、そもそも、生まれ変わるということ自体が目的で、そのために死んだり生きてるだけだったらどうする?」という問いが出たという。

 読んでいて、正直、これはやられたなあという感じ。生まれ変わること自体が目的でそのために生や死があるなんて視点は考えたこともなかったけど、その視点で考えたら世界の見え方が変わる。

 自分がやってきた呼吸のワークで日々やろうとしていることにも通じることがたくさん。

 例えば歌であれば音程やリズムが正しい、声が美しい、技術的に上手いを絶対視して、そこから外れたものを「下手、未熟」と切り捨てるのではなくて、今、ここにある自分の体が必要なことを今の体ができることで精一杯表現しているものを心から受け取れるか。

 そしてよく先生から言われる「ソフトウエアの付け足しでなくOSの更新」(自分の土台は変えずに使える技術を増やすのではなく、土台そのものを殻を破って新しいものにする)はまさに価値観の生まれ変わり。

 当たり前だと思っていた足元の世界が覆されるのはある意味怖くてできれば避けて通りたい。それでも脱皮の気持ちよさを知ったら、やっぱりそれが大事だなと思わせてくれた本。

 実は一回最後まで目を通したけれど、何度か読み返してみたくなっているのでまだまだ「読みかけ」です。

※写真はみんなのギャラリーからPupさんの写真を使わせていただきました。ありがとうございます。

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