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カネコアヤノの音楽を中野サンプラザで聴いた日

ずっと楽しみにしていたカネコアヤノ ワンマンショー2020春、中野サンプラザ公演。

2020年4月→8月→2021年4月と2度の延期を経て、一年越しにようやく開催。どうか中止にならないで、と願い続けてその日を待っていた。
会場に着くと、赤い階段の右端には【カネコアヤノ ワンマンショー2020春】の文字が。
強い意志を感じたし、無事開催されたことや、昨年中止となってしまったときの悲しさや、そのタイトルを見ていろいろな思いが入り混じった。
キャパの制限で、昼・夜と2部制に分けて、当日は隣り合う人がいない、市松模様での配置となっていて、視界がとてもひらけていた。
ホール全体の雰囲気はもちろん、シンプルな照明が本当によく似合っていて、インタビューでやりたい会場だったと語っていたこともあり、アヤノちゃんの夢が叶ったのだと思うとこちらまで幸せな気分になったのであった。

注目の1曲目は「アーケード」。
この曲から始まることは多いけれど、何度聴いてもイントロからずっとワクワクしてしまう曲。そして、バンドセット時のこの曲は、バンドメンバーの魅力も相まって特に最強なのだ。
以前のように歓声が上がらずとも、会場にいる人たちが彼女の音楽を待ち望む気持ちは同じだったと思う。

アヤノちゃんの音楽で大好きな要素は、日常に小さな幸せや感動を感じられること。なんでもないただの日常を、一瞬でもキラッと輝かせてくれる、そんな温かみがある。
言葉の端々から、何気ない風景を感じるし、なんてことない自分の日常に、少し愛着を持つことができる。

中盤のミドルテンポの曲のときの照明が美しかった。
もともと基本はステージ上でメンバーを囲むように長さが異なる数本の電球が配置されているシンプルなものだったのだけれど、会場全体に小さな星屑のような光のつぶが映し出されたときの温かな雰囲気が忘れられない。

そして、昨年開催されていたら聴くのはもう少し後であったであろうアルバム収録曲も披露してくれた。
今回のアルバムでは「栄えた街の」が特に好きで、アルバムツアーより先駆けて聴くことができたことも嬉しかった。

発売当初からずっとお守りのように大切にしているアルバム『燦々』の曲も聴くことができた。
特に「ぼくら花束みたいに寄り添って」は、アルバムの中で一番好きな曲で、Bobさんが最初のイントロの音を鳴らしたときから、感動で自然と目頭が熱くなった。歌詞はもちろん、間奏から転調するところが特に好き。忙しさにかまけてる日常の中で、もっと感動していたいな、とか、感動の大切さを改めて教えてくれる。この曲には何度も救われていて、やっぱりわたしは自然と音楽に救いや答えを求めているのだと気付かされる。

アヤノちゃんの音楽には、とにかくパワーがある。
そのパワーで、日常をキラッと輝かせてくれる。
初めて見た弾き語りでも、力強さを感じて感動を覚えたのだけど、その数ヶ月後に見たバンドセットでのライブではさらパワフルさが増して、迫力に圧倒されて、電撃が走ったような衝動があった。同性のわたしにも、そのスタイルはとてつもなくかっこよく見えたし、無条件に手放しで飛び上りたくなるくらい、最高だと思った。
抱えてる悩みに、直接答えてくれなくていい。
それらを一瞬でも忘れさせてくれる、日常を少しでも愛おしく思えるような音楽だから大好き。

どのアルバムも、どの曲も、どんなパフォーマンスも、わたしからしたらすべてにおいて最高、の一言で片付けるのとはできないのだけど、自分の語彙力が足りないが故、すべてを最高、と表現してしまうのが悔しい。

アンコールはなんと「とがる」!!!
規制退場のアナウンスが流れた後だったので、アンコールはないのか・・・まあ二部制だから仕方ないよね、と思って帰る準備をしていたらまさかの袖から再登場。
個人的にアヤノちゃんの曲の中で一番愛している曲なのだけど、なかなかライブでは聴くことができていなかったレア曲なので、イントロ鳴った瞬間に爆上がりしてしまった。この曲のパワフルさには毎回感動するのだけど、ライブで聴くとまた格別。昨年の2月に仙台MACANAで初めて聴いた時、あまりにかっこよくてしばらく「とがる」をループしてパワーをもらう生活を送っていたくらい。
生活していて、もちろん嫌なことだって多いけれど、その度に負けてられない、と奮い立たせてくれる曲。
そして嬉しかったのが、一緒に行っていた先輩が、実はアンコール前に、アンコールでは「とがる」とかやってくれないかな・・・って言おうとしてたんだよね、と教えてくれたこと。「とがる」の最強さが分かり合える人と一緒にアヤノちゃんの音楽を聴くことができて嬉しかった!
二人して激アツな気分になって会場を後にしたのでした。

アヤノちゃんの音楽を直球で受け止めて、全身で音を浴びて、久しぶりに心から満たされた感じがした。最高以上の言葉が欲しい。

その後、夜公演に行った別の先輩からも「とがる」やってくれて最高だった、と連絡がきて、それもまた嬉しかった。
直接会う機会は限りなくゼロに近いけれど、好きなことを共有できる人が少しでもいてくれて良かった、とほっこりした。

そして、アヤノちゃんはもちろん、関係者のみなさん、当日会場にいたスタッフさんにも心からお礼を言いたい。開催してくれて、最高のライブを届けてくれて、ありがとうございました。

こういう最高な日があったからこそ、ライブは絶対になくしてはいけない文化だとより強く感じた。
息を吸うように、音楽が必要な人がたくさんいると思う。
早く「恋しい日々」で、冷たいレモンと炭酸のやつ〜!って一緒に大合唱したいな。

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