4月から始まったトラウマケアが先月終了した。
約1ヶ月間、臨床心理士の先生のサポートのもと、挫けることなく続けることができた。
辛い記憶が次から次に蘇ってくるので苦しい時期もあったが、先生が支えてくれたから乗り越えることができた。もう3年お世話になっている先生には本当に感謝しかない。

私が受けたのはEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)というもの。EMDRとは?https://www.emdr.jp/emdr%E3%81%A8%E3%81%AF/

ケアを受ける前は、「本当にこんなことでトラウマによる苦痛が良くなるのか」と半信半疑の気持ちだった。
しかし私の場合この方法がとても合い、脳の情報処理と統合がうまく進んだと実感している。

これまで人生の多くの場面で、加害者が自分の人生を支配しているという感覚が拭えず、自分の人生なのにまるで他人の人生を生きているようだった。

それが加害者は私の人生をコントロールする力を全く持ち合わせず、イニシアチブは常に私にあるということを思い出した。自分の中にみなぎるパワーを取り戻すことができたのだ。加害者たちによって歪められた認知をEMDRを通して変えることができたのである。

過去をなかったことにはもちろんできない。
しかし今はその記憶に触れたいと自分が思ったときに、秘密の扉の鍵を自分が開けて整理することができるようになった。
今まではそれらがまさに目の前で起こっているかのような感覚だったのに。

トラウマケアを通して最も味方になってくれたのが、幼い時の「私自身」だった。被害を受ける前の真っ新な0歳の私、被害を受けた5歳の頃の私、11歳の私、10代の私、トラウマの再演を繰り返してきた30代の私・・・。たくさんの私が手を取り合い、円を作って、お互いに励まし合うイメージは私の心の支えとなり、彼女たちは今も私をサポートしてくれている。彼女たちが辛い状況を耐え抜き、生きてくれていたからこそ今の私がある。自分を信じて生きることの素晴らしさを教えてくれたのは、過去の私だった。

トラウマケアは専門的なトレーニングを受けた専門家の元で受ける必要がある。そういった場所は日本ではまだまだ少なく、専門家も多くない。そして高額な治療でもある。
今回自分がトラウマケアを受けてみて思ったのは、トラウマケアを必要とする人が、安全にアクセスして治療につながるようになればいいなということだ。そして私の場合はとても効果があったけど、複雑なケースの場合は、もしかしたら効果が期待できない場合もあるだろう。

カウンセラーの先生と並行して、精神科の先生が内服薬でしっかりフォローしてくれたのも本当に良かった。今では悪夢で起きることもなく、ぐっすり眠れるようになった。

自分の被害体験を俯瞰してみられるようになったことも今回のトラウマケアでの大きな成果だ。だがそれ以上に「人生で最も恐ろしい体験」に勇気を出して取り組めたことを誇りに思いたい。

私は人生の大きな一歩を踏み出すことができたのである。


(参考資料)
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/575/#p-articleDetail__section--04



サポートしてくださるとめちゃくちゃ嬉しいです!!