見出し画像

席を譲るには、優しさと勇気が必要なの。

先日、住んでいる街と別の場所でバスに乗る機会があった。

発車10分前にも関わらず、バスはもう満員。後方には部活帰りの女子中学生たちが陣取っていた。

Suicaをピッとタッチして乗り込んだ時、女子生徒の1人が、
「ここ、どうぞ座ってください。」
と声をかけてくれた。

一瞬「え?私?」と思ったが、

「ありがとう。でも大丈夫です。」
とバスの前方で立つことにした。ま、平成生まれの彼女たちからしてみれば私は立派なおばさんだよね。

お嬢さん、ありがとう。
私はその気持ちだけで嬉しかったよ。
でもまだまだ足腰は元気だから心配しないでね。

その後バスが空いたこともあり、女子生徒たちから『年寄り認定』された私は、堂々と優先者席に座ることにした。

すぐにこの話を美容院でしてみたところ、美容師さんが大笑いしていた。

「いや、それzoéさんだから寛大に受け入れてくれたけど、人によっては怒りますよ!」

え??そっか、そうなのか。
私は若い人に声をかけられて嬉しかったし優しいなぁと思ったけど、「まだそんなに年寄りじゃないー!」と怒り出す人もいるかもしれない。

そういう私は結構バスや電車で声をかけて席を譲る人だ。
妊婦さんマークやヘルプマークをつけている人だったり、お年寄りには一応声をかけてみる。

「ありがとうございます。」と言って座られる方もいるし、次の駅で降りるからと言ってお断りされる方もいる。

ある日こんなことがあった。
帰宅ラッシュの混雑した電車で、私の斜め前に杖をついた高齢の男性が立っていた。その男性と目があったので、視線と首の動きだけで「ここ、座りますか?」と合図を送ったら、その男性は目配せをして「大丈夫。ありがとう。」と合図を送り返してくれた。

その人が大丈夫というなら大丈夫なのだろう。しばらく見守りながら、その男性は次の駅で降りて行った。

今回自分が席を譲られるという立場を経験してみると、なんだかいろんなことがわかった。

①まず人の優しさに触れられて嬉しかったということ。これは年齢関係なく嬉しい。そして年寄りになったら人の好意は甘んじて受け入れたい。


②自分もそんな年齢になったのだなぁとしみじみ感じたこと。特に嫌な気分に私はならなかった。むしろネタになった。


③譲る方もきっと勇気がいっただろうということ。
女子中学生は「困っている人やお年寄りがいたら声をかけなさい。」と教えられているのかもしれない。(私、お年寄り枠)
私も声をかける時勇気がいるからその気持ちはわかる。

④譲られた方も案外勇気が必要。受け入れる勇気、断る勇気の両方だ。
ちなみにもしあの時彼女の申し出を受け入れていたなら、体操着の女子中学生の中にデカいおばさんがこじんまりと座っていたことになる。(それはそれで十分面白いけど、勇気は必要。)

バスや電車で席を譲るために声をかけるのって難しい。タイミングもあるし、失礼に当たらないかと考える時もある。

一方で最近ほとんどの人がスマホを見ているので、お手伝いが必要な人や配慮が必要な人のことをあまり気にしていないのではないかと思う。
私もスマホは見るけれどたまに周囲を見渡して、困っている人がいないか確認するようにしている。ちょっとした気配りと優しさは必要だなぁ。


満員バスの中で足腰が弱そうに見えた白髪混じりのおばさん(私)は、席を譲られてこんなことを考えた。
そして世界の大半は、ちょっとした優しさと勇気でできているのではという壮大な結論で締めくくろうと思う。

サポートしてくださるとめちゃくちゃ嬉しいです!!