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このところBSPの「しずかちゃんとパパ」というドラマを欠かさず見ています。

鶴瓶さん演じる聴覚障碍者のパパと、娘のしずかちゃんの物語。

2回目から見始めたのですが、これがなかなか面白くてハマってしまいました。

鶴瓶さんはですねぇ、家族に乾杯!という番組で、うちの実家のすぐ近くまでいらっしゃってたことがあるんですよ!私の大叔母が鶴瓶さんそっくりでして、ぜひ二人を会わせたかったと今でも思っています笑

鶴瓶さんは噺家さんなのでもちろんお話は上手ですし、あの目がなくなっちゃう笑い顔がなんとも愛らしいですよね。俳優さんとしても好きです。

そんな鶴瓶さんが演じるパパは、町で写真屋さんを営んでいます。耳が聞こえません。もちろんセリフもありません。

そして吉岡里帆さん演じるしずかちゃん。
小さい頃から父親の耳となり口となり、パパを助けてきました。

今年アカデミー賞の作品賞を取ったCODAは、「聞こえにくい、または聞こえない親を持つ聞こえる子供」(Wikipediaより)という意味なのだそうです。しずかちゃんはCODAなのです。

しずかちゃんとパパは、手話でお互い言いたいことを言い喧嘩することもしばしば。お二人とも沢山手話を練習されたのだと思いますが、鶴瓶さんの声がなくともその感情が伝わってきます。

手話という特殊な言語でコミュニケーションをとるということは、私たちにはなかなか想像できません。

私は、患者さんが声を後天的に失うことが多い病棟にいたので、筆談でのコミュニケーションが割と得意だと思います。だいたい言いたいことが途中でわかるのですが、それでも筆談やジェスチャーでのコミュニケーションは難しいなぁと感じます。

このドラマには、しずかちゃんと恋に落ちる道永くんという青年が出てきます。真面目でハンサムで素敵なのですが、彼は空気を読んだり、他人とのコミュニケーションがとても苦手な青年です。
外食はできるけど、誰が作ったかわかる食事は食べられない、そんな一面も彼にはあります。

耳が聞こえないけど、しずかちゃんを通して言いたいことをいうパパ、耳は聞こえるけど人とのコミュニケーションが苦手な道永くん。

そんな道永くんは、パパとしずかちゃんをある音楽会に誘います。とても真面目な道永くんは、パパにどうしたら音楽が伝わるかを考えて、大きな風船を持って会場にやってきました。風船に触れば、音の振動でパパも音楽を感じられるのではないかと考えたのです。

しずかちゃんもまた小学生の時に、パパにどうしても音楽を伝えたくて「怪獣のバラード」を手話と大きなアクションでパパに伝えようとしましたが、パパはそっぽを向いてしまいます。

自分の行動が逆にパパを傷つけてしまったのではないかと思い、それ以来しずかちゃんはパパの前で音楽を封印してしまいます。
でもパパには音楽が伝わっていました。
「ありがとう」と手話で言いながら、後ろを向いて涙していたのです。
音楽が伝わらないと思うのは、私たち健常者の思い込みかもしれませんね。

私はこの場面を見て、ある映画を思い出しました。
「陽のあたる教室」という1995年の映画です。
音楽教師の父が、聴覚障碍のある息子に送るbeautiful boyという曲。

そしてアカデミー賞で作品賞を取ったCODAは、エール!というフランス映画のリメイクです。私はフランス版のこの歌が大好きです。(手話を使って歌う主人公もまたCODAなのです)

パパ、道永くん、そしてしずかちゃん。コミュニケーションに壁はあるかもしれないですが、道永くんがドラマの中でこんなことを言うのです。
「建築の設計上、壁は必要だからそこにある。だから壁は乗り越えなくてもいい。
目的は頑張ることではなくて、壁の向こうにあるどうしてもいきたい場所に行くこと。だから空を飛んでもいいし、回り道をしたっていい」

このセリフ、なんだか考えさせられましたね。壁は乗り越えるものだと思ってたので。

コミュニケーションて言葉はもちろん重要ですが、結局は心の通い合いなのではないかなぁと思います。全く言葉の通じない国に単身乗り込んだ私自身が感じたことです。


このドラマのエンディングで流れるのが、上田正樹さんが歌う「you are so beautiful」という歌です。この歌も「陽のあたる教室」を彷彿とさせて、最後にグッときます。

一人の障碍者としてではなく、人間味あふれる鶴瓶パパ、そしてしずかちゃん。今夜もドラマを楽しみにしています。

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