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本当に怖いのは人間の欲望?韓国ドラマ『悪鬼』が怖すぎてやめられない。

現在ディズニープラスに加入中の私。

韓国語の勉強がてら何かみようかなーと探していた時、猛烈に「私を見て!」と訴えてくるドラマがありました。
それが本日紹介する『悪鬼』です!

写真はディズニープラス公式より

主演は『二十五、二十一』で大好きになったキム・テリさん。彼女のこの薄ら笑い(?)が気になり見始めました。

結論から言いますと、毎回私は暗闇の中、布団を被りながら恐る恐る見ました。

ほんと、トイレに行けなくなるくらい怖かった・・・。

毎回新エピソードが更新されるのが金曜日と土曜日の23:30だったので、週末は寝不足続きでして・・・。怖いのに一度見たら止められない、そんな韓国ドラマを見て感じたことを今日は書きたいと思います。(ネタバレたくさんしてますので注意!)



大まかなあらすじとしては、『悪鬼に取り憑かれた女と、その悪鬼が見える男が、5種類の神体を取り巻く疑問の死を暴くオカルト・ミステリー』です。
幼い頃から情緒不安定で生活力に欠ける母親と暮らし、貧しく、苦労続きでパッとしない人生を送る主人公、ク・サニョン。ある日、死んだと思っていた父親の死の一報を機に、彼女の周りで不可解な死亡事件が続きます。そして、霊を見ることができる民俗学教授・ヨム教授との出逢いにより、事件の真相を探るべく物語は展開していきます。

まずこのドラマは自殺(本当は悪鬼による他殺)の描写が非常に多いです。第1話からそんな場面の連続なので、もしこれからドラマを観られる方は、ご自身の心の状態を考慮して観られることをお勧めします。
オカルト・ミステリーではあるのですが、製作者がなぜこんなに自殺を連想させる場面を取り入れたのかと最初は疑問を持ちました。

このドラマの見どころは、キム・テリ演じる主人公ク・サニョンが、悪鬼と人格が入れ替わる時です。彼女に悪鬼が憑いた時、少女の幼さを残しながら残忍さも見せるという難しい役どころなのですが、視聴者にも人間と悪鬼が入れ替わった瞬間がはっきりわかる。悪鬼がどんどん追い詰められていく場面でのキム・テリさんの迫真の演技が恐ろしくて恐ろしくて・・・(目がバッキバキでした。)

タイトルこそ悪鬼ですが、物語の中では『太子鬼テジャグィと言われる、いわゆる怨霊なのですよね。劇中では幼い子供を村から選び、飢餓状態にして殺す。その子供は恨みを持ちながら悪鬼となり、願をかけた者に大きな富を与える代わりに、その人の愛する人をどんどん奪っていくという設定でした。また、太子鬼テジャグィにされる子供は指を1本切り落とされるのですが、これはこの悪鬼を退治するための最後の切り札として重要なようです。
物語の中では、韓国の土俗信仰や民俗学に触れる場面もあり、そういった部分も興味深かったです。

主人公に取り憑いた悪鬼。
その正体は、悪鬼の謎を主人公と供に追うヨム教授の一族が生み出したものでした。
1958年、教授の祖父母が経営する会社が危機に陥り、その危機を逃れようと太子鬼テジャグィの儀式を祈祷師に依頼したのです。以来悪鬼は一族に多大なる富をもたらし、一族は大財閥となるものの、当主には次々と悪鬼が憑き、不可解な死を遂げるのでした。

悪鬼となった少女は、生きることへの執念を持ちながら10代で殺されてしまうのですが、この世で魂が生き続けるために人を殺し続け、最後はサニョンの体を手に入れて生き続けようとします。

このドラマで面白いなと思ったのが、主人公の負の感情を隠さずに描いたこと。
私が思うに、多くのドラマの女性主人公は、明るくて元気!みたいにポジティブな位置に置かれることが多いです(キム・テリさんの前作がまさにそんな役どころだったし)。しかしこのドラマの主人公からは、貧しさ故の羨望、嫉妬、惨めさ、寂しさ、人生の諦めの気持ちが見え隠れ・・・いやはっきりと見えます。そういう心の闇の部分に悪鬼は忍び込むのです。
悪鬼を退治したいと思いながらも、憑いていてくれた方がお金は入ってくるし、邪魔な人も殺してくれるし、健康上の問題も解消してくれる(主人公は失明の可能性がある疾患を持っている設定)、悪鬼は自分にとって都合のいい存在でもあるのです。
最終話では悪鬼に体を乗っ取られたサニョンでしたが、「自分のために生きる」という自らの強い意志で悪鬼を消滅させます。

悪鬼が教授にいよいよ退治されるか?と言う場面がクライマックスにあります。この時悪鬼の放った言葉がとても心に残ります。

生きるためだった。食べるものがなくて、木の皮を剥いで食べた。
我が子を売り飛ばしても、生き残ろうと足掻いた。

でもお前らはすぐに死にたがる。
サニョンも同じだ。
「寂しい」「辛い」って死のうとしてた。本当の寂しさや辛さなんか知らないくせに、甘ったれたことを言って人生を放棄しようとした。
それなら私が生きる。
できなかったことをやり尽くす。

『悪鬼』第12話より

このドラマを見始めたときに、自殺の場面が多いと感じたと最初に書きました。

日本もそうですが、韓国も自殺者数が多い国であると聞いたことがあります。悪鬼が生きた1950年代と現代を比べると、生きづらさの理由は決して同じではありません。しかしこのドラマは単にオカルトというだけでなく、私たちの誰もが持つ心の闇に焦点を当て、生きづらさを抱えながら生きるということは何かを問うているのではないか?と思いました。
もちろん自分の欲望のために人を殺すことは間違っていますが、悪鬼には悪鬼なりの悲しみや生きることへの執念があったのだろうと推測します。

以上、ドラマ『悪鬼』を見た感想を書きました!ネタバレ満載でごめんなさい。
本当に怖いのでオカルト好きな方にはおすすめです。猛暑が続いていますが、この夏、背筋が凍る体験をしてみたい方はぜひ!!


(おまけ)びっくり仰天!このドラマ、演じているご本人たちには青春ドラマの位置付けらしいです!どの辺が?!


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