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もしきみが、たとえば午後4時に来るなら、3時から僕は幸せな気持ちになりはじめる。

もしきみが、たとえば午後4時に来るなら、3時から僕は幸せな気持ちになりはじめる。

サン=テグジュペリ 訳:菅啓次郎(2011)
星の王子さま, 角川書店,p111


来月4月1日にカムバックを控えている我らがTOMORROW X TOGETHER(以下TXT)。今週からいよいよ様々な情報が解禁となり、ファンとしては待ち遠しい限りなのですが、今回のミニアルバムのコンセプトの軸となるのが『星の王子さま』です。

星の王子さまは、フランスの作家・サン=テグジュペリが書いたとても有名な物語。今もなお世界中で親しまれています。
しかし、私はこれまで一度も読んだことがありませんでした。サン=テグジュペリの故郷、リヨンにも足を運んだというのに、その時は食の街リヨンで食べることに夢中で、星の王子さまの銅像を見てもあまりピンとこなかったのです。

というわけで、今回TXTのアルバムコンセプトをより深く理解するために、図書館で本を借りて読んでみることにしました。


物語はあっという間に読み終えてしまうボリュームなのですが、私は何度も立ち止まって読み返してしまいました。

それは物語に出てくる何人かの大人たちのように、私もずいぶんと大人になってしまったからなのか。物語に出てくる大人たちはそれぞれの小さな星に住み、どこか寂しそうな姿が引っ掛かりました。

私自身もそんな寂しい大人の一人。他者への羨望や嫉妬で自分自身を傷つけ、苦しめていると思います。ただ、こんな私も幼い頃は純粋な心を持ち、夢を見て、嫉妬などの醜い心を持ち合わせていなかった…と思うのです。
純粋なちび王子の言葉に私は何度もドキッとしたり、自分の心の奥にある純真な心をくすぐられているような気持ちになりました。

『大切なことって目には見えない』
という部分は、この物語を読んだことがない私でも知っている有名な一文です。

ほんと、大切なことって目には見えない。だから心の目でしっかりと見つめていかなければならない…と、今の自分にしっかりと言い聞かせています。

物語にはちび王子(この訳、ほんと可愛い🩷)と、砂漠に不時着した『僕』、王子の星に咲いた一輪の薔薇、そしてキツネが登場します。

特にキツネはTXTのコンセプトトレーラーにも登場して、『もしきみが、たとえば午後4時に来るなら、3時から僕は幸せな気持ちになりはじめる。』というセリフが私には印象に残りました。

キツネとちび王子の関係性を私は自分の周囲にある人間関係に置き換えてみたりして、誰かがキツネのように私を思ってくれていたら…と思い、胸がギューっとなりました。
最初はそうでなくても、時間をかけてお互いがお互いを思い合い、唯一無二の存在になっていく。それって特別な輝きを持つ関係性ですよね。
その関係は実はキツネと王子だけではなく、自分の星に置いてきた薔薇と王子との関係にも言えることだった、ということがわかります。仲違いして別れた薔薇は王子にとってはとても大切な存在だったのです。私はこの場面を読みながら、「よーく見てごらん。あなたの周りにいる人たちはみんなと同じようで実は全然違う。とても大切な特別な存在なんだよ。」と言われている気がしました。

大切なことって目には見えない。
いろいろなノイズが入り、いつも上部だけしか見ていない私は、目には見えない人とのつながりを、もう一度心の目で見ることができるようになりたいものです。


この物語はもっと深く読み込めばまたいろいろな解釈が出てきそうです。本当に素敵なお話でした。

そしてTXTのアルバムと『星の王子さま』のお話がどんなふうにリンクしていくのかは乞うご期待。

前作で楽園から現実に落ちてきたTXTが、次は何を私たちに語りかけるのか楽しみで仕方ありません。







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