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【AzureSkillingProgram】フルスタックvs領域特化論争~主催者インタビューその3~

2023/5 ~ 2023/9にかけて、日本マイクロソフト社様(以下、日本MS社)の多大なるご協力のもと、Azure Skilling Programを実施・完了しました。
今回から複数回にかけて、本プログラムに関連した記事を掲載いたします。

第4回は日本MS社の担当者との対談内容を紹介いたします!

↓各記事へのリンクはこちら
CTO持ち込み企画!「Azure Skilling Program」の実践とこれから 
主体性あふれる研修の作り方~主催者インタビューその1~
無視力をつけてパニックを回避せよ!主催者インタビューその2~
フルスタックvs領域特化論争~主催者インタビューその3~ (本記事)
打てば響く組織へ~主催者インタビューその4~

(インタビュアー・執筆:成川)

ーもうひとつ、聞きたいことがあります。
研修をやる上での理想的な状態、つまりゴールをどうおいていたのかな、と思いまして。長尾さん、いかがですか?

JPT長尾:
そこはしっかり設定していて、ハンズオンは全員合格、ハッカソンは上位数人が最後まで行けるか、というところでした。ハンズオンは結果的に、色々ありましたけど参加者全員合格できて。これはもう、山本さん、伊藤さんのおかげですし、僕も自分なりに頑張ったかなと思いました。

本番前にちゃんとドライランを社員1名と一緒にやって、そのときはかなりスムーズにできたんです。で、これはいけるなと思ってそのまま本番を迎えたらエラー続出で完走できなかった人がたくさん出てしまった。だけど、後日社内でフォローアップセッションみたいな感じで再チャレンジして、全員完走してもらいました。

終わってみて振り返ってみると、研修当日中に全員が終わらなくても、それはそれでいい経験になると思っています。

ー事前に目標がはっきりしている、というのは本当に素敵だと思います。で、結果どうだったのかというと、ハンズオンはすっとそれを超えるかと思ったら結構苦戦した、と。一方で、ハッカソンの方はどうだったのかを聞きたいと思います。山本さん、いかがですか?

MS山本さん:
実はハッカソンのほうがハンズオンに比べて個人的には楽だったなと思います。前述した通りなんですけど、社員のみなさんがコミュニケーションをとりながら自分たちで解決してくれて。こちらからのサポートがあったところは、方針を決めるところぐらいでした。

ハッカソンはハンズオンに比べて、具体的な指示を出すわけじゃないので、いきなり自由な空間に放り込まれる形になります。長尾さんはこうしましたよ、というぐらいの情報から自分自身で方針を立てていく、その最初のステップが一番難しかったと思います。

ーなるほど。これは長尾さんに質問ですが、今回のハッカソンの難しさである自由度という点は、JPTで実務をやるときにも直面しうるものなのか、それともあんまりないのか、いかがでしょうか。

JPT長尾:
直面すると思います。ケースとしてはもはや多いと思います。
日揮はITが本業の会社じゃないので、実現方法に関してアイデアも知見もないことが多くて、やりたいことだけ決まっていることが多いです。

なので、要望に対してどういったサービスをどういう構成で実現します、という提案ができる人がうまれるのはものすごく価値があることだと捉えています。

ー日揮の中でプレゼンスを向上させるために大きく寄与する能力をつけられる実践的な場があった、ということですね。

JPT長尾:
はい、その通りです。かなり実務を意識した課題設定ができたと思っています。

MS山本さん:
今回よかったな、と思うのは、セキュリティの部分はあまり触れなかったことですね。
やっぱり何かを作るってなったときって、セキュリティはどうしても考えなきゃいけないのがエンジニアとしての魂であると思うんですが、今回はそこよりもロジックを作るところ、実際に動くものを作るところに注力してもらうようにしました。
そういう制約を一部加えたお陰で、ある程度自由にしながら気にする部分とそうでない部分を分けられたのかな、と思います。

ー研修の質を上げるために、セキュリティを一旦脇に置いておく、ということですね。面白い。でもちょっと不安になりますね笑

JPT長尾:
そこはちゃんと考えがあります。

セキュリティのところは本当は気にしたいんですけど、Azure ADでなんとかなるとか、あとから付けられる便利な技術があるのは知っていましたし、これからたくさんニーズを掘り起こそうとしているアプリは、漏れるデータがない、あるいは漏れても特段問題ないところを扱おうと思っているので、セキュリティレベルを上げて管理する話じゃないな、という感覚があります。

なので、今回のハッカソンで作ったものは、ほぼほぼもう使えるものになってくると思います。
※後日、実際に本社でリリースしました

ーちょうど、先程うちの社員は無視力が弱めだという話がありましたが、課題設定のところで制約という形である意味強制的に無視してもらったことが、盛り上がったポイントだと今のお話を聞いて思いました。伊藤さんはハッカソンの印象はどうでしたか?

MS伊藤さん:
やっぱり、質問に来る前に自己解決ができていた、という一方で、Azure Directory周りのところはディスカッションするときがあったりして。エンジニアとして難しいところなのですが、結局どっちに振り過ぎてもだめなんですよね。ゆるすぎたら事故を起こすし、敷居が高すぎると出来上がらない。それをどのタイミングでどこまでやるのかを判断するのが一番の難所だったと思います。
見ていた範囲ではそこまで詰まっていた人はいなかった気もしますが、どうですかね?

JPT長尾:
ハッカソンでは実力差がはっきり出たと思っていて、方針を決められる人はあんまり詰まっていなかったと思います。一方でサービスデプロイでもたどたどしさが残るレベル感の人だと、悩むというよりその前の段階、悩むところにいくまでにもすごい時間がかかった印象があります。

ー今回の目標としては、飛び抜けた数人を把握する、というところだったかと思うんですが、結局長尾さん含めですが、5人クリアしたと。この結果はどうですか?

JPT長尾:
元々は2人出たらいいなあと思っていて。自分自身がクリアするのはマストで、もう1人出てくれたら..!! というところだったので。
こんなにもできる人がいるんだ!というのと、作り方にみんなそれぞれ個性があって本当に可能性を感じましたね。

MS山本さん:
今回ハッカソンに参加されたのは11人だったと思うんですが、そのうち5人、約半数がクリアしたのは、他では出ないような成功率で個人的には万々歳でした。さらにそのクリアした人の中には、こちらから案内していないような非同期通信も実装していた方もいて、本当にすごいなと。

今後はハイレベルな実装ができている人をメインに全体を見ていけば、組織として健康なスキリングの環境が継続的に回していけて、どんどんいい体制になっていくんじゃないかと思います。

MS伊藤さん:
5人クリアは多いな、という印象ですね。
正直無理かもしれないとぶっちゃけ思いながらやっていたところはありましたが、技術の幅が広いというのもありますし、SignalRの双方向通信を使ったように、ハンズオンでは確かに言葉自体は出ていましたが、それを手がかりにAzureサービスを自分で探して、その実装方法を見つけて、実際に動く形に持っていくところまでをやれる人が現れたのはなかなかちょっと驚くべきキャッチアップ速度だなと思いました。

あとは今回の研修で、自分が作った上で他の人がどう考えたのか、どう実装したのかをいろいろとシェアできたと思うんです。それが積み重なっていくと、独り立ちできる水準のエンジニア、フロントからバックまで一人でやれるフルスタックエンジニアになっていけると思います。

一方で、JPTの1人1プロジェクトという働き方は、それを最初から求められてしまう可能性がある、というところが難しいところで、きっと今後の課題になると思います。

ー今のお二人のお話を聞いて、これまでのJPTの業務の作り方を1回壊して再構築するタイミングが来たのかな、と感じましたね。

JPT長尾:
これは業務の切り出し方にもよると思うんですが、僕は1人1プロジェクト体制と、フルスタックじゃないエンジニアも抱えながら業務をしていく体制は両立出来ると思っています。

例えば、最近LLMのことをしっかり学んで、その過程でドキュメントの前処理がすごく上手になっている従業員がいるんですよね。その機能だけでも日揮グループ内に意外とニーズがあるので、そういうアプリを作ろうと思えば作れるので、その人にはまずバックエンドでそのロジックを作ってもらうという一つの仕事をお願いすれば、フルスタックじゃなくてもいけますよね。

そういう感じで、OJT的に、マクロで見たら分業でアプリを作っているという形が作れたらな、と思っています。

ーなるほどなるほど。

JPT長尾:
5月に研修でフランス料理を食べに行ったじゃないですか。あれのイメージで、1人のプロフェッショナルなシェフが全工程をやるんじゃなくて、工程を分割して、一人ひとりを見たら食材のある部分を作っているんだけど、それが結果としてフランス料理になる、これに近いことが実現できるんじゃないかと思っています。

(続く)

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