APRSに挑戦

 ふとしたきっかけで、APRS (Automatic Packet Reporting System)を始めてみることになりました。何事も食わず嫌いというのはよくないので、まずはシステム構築から運用まで一通り試してみようという思いからです。
 APRSとは無線とインターネットを融合させて、通信パケットをサーバーに集約してその情報を共有するシステムです。たまたま所有していたハンディ機(VX-8)がこの機能を持っていたので、これを端末として実験することにしました。無線とインターネットの間の情報交換はI-Gateと呼び、これは自宅から20kmほど離れたOM氏が構築していることがわかりました。そのため、今回は無線中継機(digipeter)を立ち上げることにします。
 調べてみると、UI-View32というソフトウェアが定番のようなので、使っていないPCにこれをインストールしました。インストールに際してはユーザー登録が必要で、登録フォームにコールサインを入力すれば自動的に行われます。なお、UI-View32の作者が癌のために亡くなったとのことなので、できれば医療機関に寄付をしてほしい旨が記されてあります。
 次に、PCと無線機をTerminal Node Controller (TNC)を介して接続する必要があります。ハードウェアで行う方法とソフトウェアで行う方法があります。今回はソフトウェアTNCを用いました。使用したのはsoundmodemというソフトウェアです。他にもAGW Packet Engineというソフトウェアがあり、むしろこれが元祖のようですが、私の環境でテストしたらときどき誤動作をしてしまうことがわかったのでsoundmodemになりました。
 soundmodemをダウンロードして解凍したら実行ファイルが一つだけ作られます。特にインストーラーはありませんのでそのまま実行して必要な設定をすれば大丈夫です。FT8やRTTYの経験があれば、設定や無線機とのインターフェースは難しくないでしょう。私が使っている回路については、別の記事で紹介してあります。要は、音声信号についてはトランスで、デジタル信号についてはフォトカプラで絶縁しているだけです。最近のPCだとCOMポートがついていないことが多いと思いますが、マザーボードに端子があれば、拡張スロットの空いているところに延長するだけで使えるようになります。もちろん、USBから変換することもできます。
 soundmodemが動作すれば、UI-View32の設定に移ります。ここで問題になるのは、Windowsヘルプファイルの機能が廃止されていることです。回避策はUI-View32のサイトに書いてあります。まずWindows用のパッチをMicrosoftからダウンロードしてインストールします。システム要件を満たさないのでインストールは途中で止まってしまいますので、次にこれを回避するためのRestoreWinhlp32というソフトウェアを実行します。これでヘルプファイルが表示されるはずです。この先は日本語での解説記事を参考にすれば大丈夫でしょう。設定内容について詳しく紹介したいところですが、APRSについて理解しないままに設定すると大迷惑になりますので割愛します。
 今回、UI-View32とsoundmodemの組み合わせでdigipeterを動かすことに成功しましたので、自宅周辺のAPRSパケットは自動中継されてI-Gateに送られるようになりました。まだ試験運用中なので設定等を変える必要が出てくるとは思います。無線機やアンテナをどうするかという問題が残っていますが、安定すれば24時間運用もできることでしょう。しばらくは試行錯誤が続きそうです。 de JM8SMO

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