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中国向けコンテンツ作りの必勝法【2/3】「制作方針と言語問題、そしてマネタイズ」

記事は第三弾まであります!

第一弾:「ウケる要素とキャスティング」
第二弾:「制作方針と言語問題、そしてマネタイズ」←イマココ
第三弾:「具体的な番組企画案」

さて第二弾では、前回のウケる要素とキャスティングをどう番組に落とし込んでいくかを妄想していきます。

【基本スタンス】
番組を作る時には独自性や専門性という、中国ネット用語でいうところの「垂直性」が非常に大事です。情報の取得が容易になってしまったが故に「誰が」「どのくらいの深さで」「どのくらい分かりやすく」伝えられるかが非常に大事。制作チームの「好き」、出演者の「好き」から始めることが強みになります。仕事と思わないで継続できる情熱があるとその”熱狂”を軸にコアファンが形成され、じわじわとその熱は広がっていきます。トレンドに合わせても市場はすぐ変わるので、「制作者の信念と趣味を中国トレンドの力に乗せて広げる」ことが基本スタンスです。

結論:コアメンバーの趣味ゴリ押しでOK。やりたいことを楽しく続けられる環境を!

【出演者の序列】
日本のバラエティ番組の面白さは暗黙の序列を番組スタッフ及び視聴者が理解している前提で作られることにあります。ポジションがあることでタレントは「生意気」「従順」「天然」などのキャラクターを発揮していきます。
ただ、海外勢や外国人、もっと言うとユーチューバーがこの芸能人の序列に入れるかと言うとそうでもないのです。お互いうかつにイジれない状況が生まれ、キャラが双方で死に合うことになります。何故なら製作スタッフがユーチューバーを序列のどこに入れたら良いか分からないからです。例外は宮迫さんとヒカル君、テレビの業界に序列無視で入って行ったフワちゃんですが、通常この手のインフルエンサーと芸能人との関係構築は残念な結果になりがちです。

じゃあどうするかというと、大御所日中バイリンガルMCなぞが現れて暗黙の序列ができたり、ネットの有名人とも芸能人とも仲の良い構成作家やディレクターが出てくると良いのですが、多分しばらく試行錯誤していくことになるでしょうw なので現状はネットとテレビの人を混ぜないようにした方が良さそうです。1つの共通目標を掲げてチームの信頼関係を構築し、何でも言い合えたり出演者をスタッフが素敵にイジれるような空気感ができないと前に進みません。ここは時間をかけてでもやるべきです。国籍や言葉が変わればかかる時間も増えていきますが、忍耐です。

【言語】
ではコンテンツの言語をどう考えれば良いか?という問題ですが「字幕」「吹替」「サイレント」で対応できます。中国は基本的に字幕文化なので、コンテンツが面白ければ音声が中国語じゃなくても見てくれます
とはいえ、もちろん中国語コンテンツが理想なので、そこを目指しつつ、日本語メインのコンテンツから始めると良いかと思います。

◆ 言語に頼らないコンテンツ
「日本の音楽」「ドッキリなどのリアクション」「超絶技巧」「美男美女」

音楽やリアクション芸などは国境を越えます。説明不要の凄さ美しさは言葉のいらないコンテンツの代表格です。


◆ 字幕付いても魅力が下がらないコンテンツ
「脚本構成の良くできたもの」「ドキュメンタリー」「人気芸能人が中国に触れる」「ニュース」「街頭インタビュー」

上記のコンテンツが作れるのであれば、言語は日本語でもOK。郭杰瑞というビリビリNo1アメリカ人はアメリカ人への街頭インタビューで人気になりました。見習う点は制作者の意識が「中国人に向いていること」。中国人目線を常に意識することが、地道な共感形成に繋がります。同時に中国語化していくためのキャストやスタッフ育成をしていく必要もあります。


◆ 中国語推奨コンテンツ
「日本語講座」「ニュース」「中国語ナレーションで代替できるもの」
「旅番組」「文化体験もの」

没入感が大事だったり、難しい言葉が使われる映像が中国語に吹き替えたり、中国語をメインに使った方が良い場合が多いです。私たちも外国の難しい映像を字幕で見ていると眠くなってきます。あくまでも推奨なので、ケースバイケースですが、中国語で現場仕切って編集できるディレクターさんがテレビ業界にほぼ居ないので、通訳付けながらの大変な作業になります。逆に中国語できて番組作れる方はすぐにでも我々に連絡くださいw


◆ 例外としての中国人コンテンツ
日本に居る中国人を対象にしたコンテンツや、日本人に見せる中国関連の番組は日本語でもOKです。中国人版「こんなところに日本人」です。その目線で日本にいる中国人をターゲットにした「YOUは何しに~」や「銭形金太郎」のようなコンテンツで名物素人が現れると盛り上がりますし、日本でビジネスをしている中国人を紹介する経済番組なども可能性があります。日本人が「見たい」と思い、中国のことを調べて、誤解も含めて学んでいく番組は、ビリビリでも多くのユーザーが注目してくれることでしょう。


【マネタイズ】
重要な制作費用をどうねん出するかという問題です。基本的にはコンテンツはテレビもYouTubeも広告モデルに依存しておりますので本件も例外ではありません。ただ、ライブコマースやIPの横展開なども可能性が開かれてきていますので、その可能性についても言及します。

◆ 広告スポンサー型
クライアントさんの要望に応じた番組制作をしたり、番組に再生回数が乗って行けば広告スポンサーを獲得することが可能です。景気の良い業界や知人伝いで直接アプローチできる企業の可能性を模索することがベターです。ゲーム業界やコスメ業界、中国展開もしている国際企業など、中国向けの広報予算がある業界が相性良いです。中国企業への営業は人脈次第です。中国で何も人脈が無い状態で交渉してスポンサー獲得できるほど甘くはありません。

◆ EC並走型
番組と一緒にショップを立ち上げ、関連性の高い商品を越境ECで販売していくことも今後可能になります。
越境ECを今後強化していく中国TikTok(抖音)が狙い目ですし、今そういった展開を見据えたコンテンツ制作や企業アカウント運営のお話を進めているので、興味ある方はお声がけください。一緒に色々テストできる方が居れば幸いです。本件コンテンツとしては低コスト小型多角化の方が好ましいので、番組規模は小さいものが良さそうです。

◆ プラットフォームとの共同制作
PF側が制作出資するパターンは2年ほど前まで昔よくありましたが、中国の制作会社の台頭とコロナの影響等により、近年は海外の制作チームと組むことに前向きではない空気です。プラットフォーム担当者も金額の高い制作出資にはシビアな雰囲気になっており、中国側も損をしない座組(アマゾンやネットフリックスに放送権を買ってもらいマイナスにさせない等)を構築した「ホットママ」などの進め方が無難だが、バラエティでは難易度が上がっている。人気IPを作って、後から出資を受けるモデルをプラットフォームも望んでいる。

◆ IP開発
番組のキャラクターや関連グッズなどで売り上げを上げるモデル。人間そのものがIPとしての価値を生む場合が多いので、芸能事務所などのマネジメント権を擁する会社が自社のタレントを中国で有名にするために番組制作やチャンネル運営に投資するパターンは生まれてきています。
その他、「チコちゃん」のような名物キャラやVTuberと人間がコラボしながら有名になっていくパターンがあればキャラものとして展開も可能。キャラが立てばアプリ化ゲーム化イベント化などの展開が可能ですが、中国での柔軟な発想を持った責任者選定とその方への権限移譲がポイントです!


さてお次はラスト!第三弾:「具体的な番組企画案」ということで、僕が考える「こういう番組あったら中国でバズる!」という番組企画を紹介します!いつか実現することを祈りながらめっちゃ本気で考えました!




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