最近、毎晩のように　星空観察をしている。
観察ってったって、決まった時間に　裏庭でオリオン座を見るのだ。

息子の目が悪くなって、かなり視力が落ちてしまったのは、
私が脳下垂体腫瘍の手術で入院中に　じいさんばあさんに預けて
好き勝手テレビだの、漫画だの、見ていたせいだろうと思う。
そこに輪をかけて、新型コロナで学校が休みになってしまい、
夫と共にインドア派の息子は　散歩もしない生活をしていた。
気がつくと、一日中　家の中にいる暮らし。息も詰まるが、気持ちも凹む。
なのに彼らは、それが「快適」だとか抜かしやがる。おいっ！

私は暇を見つけては　一人散歩だの、なんだの、外へ出ていた。
夫も、畑仕事だの、なんだの、外へ出るようになった。
息子だけが　家の中で　ケロロ軍曹のDVDなんぞ見ておった。

学校が再開して視力検査で「相当、悪いで。おぬし」と紙を貰ってきた。
まずいじゃん！！！
斜視も分かってたので、そこで視力検査もして貰って、「あら〜」と
いう結果。メガネを作った。

なのに、メガネ掛けてても、視力の低下が速い。
自閉症なので、理由を話しても　理解も難しいし、納得できない事は
どんなに説得しても　テコでも動かない。
相変わらず、テレビは近くで見るし、本は暗い所でも読むし、ゲームは
タブレット端末に目を近づけてやっている。
旦那は、与えてるんだから　その辺　管理したり注意したりしても良さそうな
もんなのに、全然　注意もしてくれないから、いつだって私が悪者だ。

そんな息子が　天体に興味があるらしいことが分かった。
月の表面が写った、でっかいカレンダーが欲しいという。
じゃあ、ついでに星空見ようかって。
今日で　丁度一週間になった。
雨の日があったりするから、見られないこともあるけど、そういう時は
旦那が「オリオン座っていうのは、こういう星の並びで〜」とか
「冬の大三角形ってのが見えるんだ」とかレクチャーしてる。
良い傾向だ。

今夜も　オリオン座見にいくで！と連れ出した。が、日中に比べて
肌寒くて　ちっとも外に出て来ない。
「早くせい！」と呼びに行って、月が半分に近くなってるからな、明るいぞ。
見えるか？といった瞬間、
オリオン座の真横から　シュッと星が流れた。

「流れ星だ！！！」

息子にとって初めての流れ星。9年生きてて　初めて見たな。
「シュッて、シュッて。キラーーんって。すごい。」

興奮していた。オノマトペしか出てこない。
流れて消えた　一瞬の星。
「お願い事、しよう」というと「もう、消えちゃったじゃん」という。
「消えたって　ええねん。見たんやから。」

二人で手をつないで　願い事した。
息子の目が良くなりますように。息子の目の手術がうまく行きますように。
ママが長生きしてくれますように。パパも長生きしてくれますように。
健康で楽しく暮らせますように。笑顔で暮らせますように。

手をつないで、恋人同士のようだった。
急いで家に入って、息子が旦那に流れ星のことを話していた。
「願い事、言えたんか？」と聞かれて、振り返った息子は
笑顔で「ナイショ🤫」と答えていた。