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NPO法人自治経営関東甲信越アライアンス勉強会ツアーレポート〜埼玉県本庄市編〜

2021年7月22日、気温38℃。本格的に梅雨も明けて猛烈に暑い夏が始まった最中、NPO法人自治経営の関東甲信越アライアンスが企画した街歩きイベントが開催されました。埼玉県本庄市と熊谷市を散策し、それぞれ本庄デパートメント早川純さん、榎本千賀耶さん。hakuworks白田和裕さんに街や活動を紹介いただきました。今回は、関東甲信越アライアンスの篠原潤也が、その勉強会の様子をレポートいたします。前編は本庄市編です。

本庄デパートメント(本庄市)

 埼玉県本庄市は、群馬県との県境にある人口7.7万人の地方都市。中山道の本庄宿として栄えた過去があり、天災地変に強い立地特性からいまなお古い建物が街中に現存し、現役で活用されている。本庄デパートメントの早川さん、榎本さんが「本庄には築100年物件がたくさんあるから全然、珍しくない。それに、人ひとりが通れるほどの細い路地が魅力的。地元の人は、この光景が当たり前過ぎて価値がよくわかっていないんです。笑」と笑顔で話してくれた。
 私の街(茨城県日立市)にはそんな物件、数えるくらいしかないので羨ましい限りだ。防災や不動産の視点から細い路地はマイナスとされるが、二度と作ることが出来ないこの景色は確かに街の魅力なのだと思った。この話を聞くだけでも本庄が歴史ある街であり、ポテンシャルを秘めている事がわかるだろう。

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 本庄デパートメントは、元変態公務員で現映像クリエイターの早川純さん と 珈琲&クリームソーダ建築家の榎本千賀耶さんの二人が立ち上げた会社だ。本庄市を拠点に活動している2人の共通点は、子育てをする親であり、他所から来た移住者だということだ。そんな2人は本庄市が主催する「本庄暮らし会議」という本庄の商店街や街中暮らしを楽しみたい人が集うプラットフォームをきっかけに出会った。

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 早川純さんは、研究員時代に住民幸福度の研究をする傍ら東洋大学大学院で公民連携を学び、その後東京都荒川区、群馬県館林市に勤めたバリバリの公務員だった。館林ではリノベーションスクールの立ち上げの主軸を担い、更にコロナ初期には注文の激減する地元飲食店支援に奔走し、禁止されていた市役所庁内への出前/デリバリーの制限緩和を企て、公務員が地元飲食店を支援する仕組みを作りあげた。
 その活動が注目を集め、全国放送のテレビメディアからも取材を受けた程である。このまま公務員としてのキャリアを突き進むかと思われたが、2021年5月に館林市を退職した。
 なぜ公務員を辞めたのか。「地域、人を想い、行動した事が注目を集め、それを妨害しようとする人の存在がいることを知った。更に、コロナで計画していたものがストップ、どうやっても動けなくて苦しかった。100年に1度の危機、組織も個人もここで変わらなきゃ、今後も変わらない。でも組織を変えるには時間が掛かる。でも個人はすぐに変われる、だから怖いけど自分が変わることを選択した。」今は、研究員、公務員時代の経験から『公と民の翻訳者』として、そして映像を通して地域の魅力を発信するクリエイターとして活動している。「早川に出来るんだから、自分にも出来る。そう言って挑戦する人を増やしたい」と語ってくれた。
 榎本千賀耶さんは、東京生まれ札幌育ちの本庄ノンネイティブ、移住者だ。本業は建築士でありながら、デザイナー、コーヒーとクリームソーダ屋という異色の経歴を持つ。変態的に古い建物、街並み好きが講じ、街中に築100年物件が多くある本庄の魅力に取り憑かれた。現在は商店街にある築80年の長屋に住んでいるツワモノである。ここまで読むとよく分からないが、とにかく面白い人だ、笑。
(詳しくは、榎本さんの移住ブログをご参照 本庄暮らし手帖)
 そんな榎本さんは、ほんわかした雰囲気とニカッと無邪気な笑顔で周囲の人を笑顔にしてしまう。移住当初は知り合いも少なかったというが、今では活動を通して多くの知人、仲間がいる。知らない土地でゼロから関係性を構築するのは中々大変だと思うが、ケロっとやってのけてしまう当たり、ほんわかとした雰囲気とは裏腹に実はとても芯が強い人なのだと思った。

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 一般的に地方都市は、クルマ社会と言われどこ行くにも自動車で移動する為、店舗や施設には必ず駐車場が必要だが、WORK+PARLORは駅からも少し遠く周囲に駐車場もない。これにも狙いがあるそうで 本庄デパートメントは、本庄や埼玉に興味のない人に自分の暮らしを見直すきっかけになりたいという思いで活動している。
 しかし、本人たちは面白い仲間と面白いことをして、コミュニティが広がることを単純に楽しんでいるだけで、決してまちづくりをしているなんて思っていない。と語ってくれた。どうしても「まちづくり」と意気込んで考えると楽しむことを忘れてしまい苦しくなる。そんな所がこのチームの魅力で、カジュアルな雰囲気がとても共感できる。
 活動の第一弾として、商店街にある元料亭をDIYとイベントを入れながらリノベーションし、クリエイティブなコミュニティを創造するコワーキングスペース+シェアオフィス『WORK+PARLOR(ワークパーラー)』を今秋にオープンさせる予定だ。ここには働くだけでなく、珈琲とクリームソーダ専門店のほか、地元クラフト作家のショップも併設される。
少し不便でもここ来たいと思われる施設にするので立地は問題ない、来る人が本庄の街を歩いて楽しんでほしいからここに決めた、と教えてくれた。
 本庄デパートメントには、2人の他にも個性豊かなチームメンバーがいる。職業も年齢もバラバラ、本庄を面白くすることを目的に集い、それぞれが得意な部分を担っている。その中に3名の公務員がジョインしており、公務員として「本庄暮らし会議」を通して街と人を巻き込みながら、ある時は地域に住む地元住人として未来を見据え、楽しみながら活動している。いわば半職半遊の理想的なライフスタイルではないだろうか。

<本庄デパートメント所属メンバー>
▶︎ 人を結び付けるマグネットボーイ:出牛健太郎(公務員)
▶︎ 本庄の広◯涼子:高柳一美(公務員)
▶︎ 北本と本庄を往復するスーパー公務員:荒井菜彩季(公務員)
▶︎ クリエイティブデザイナー:蓮良一(デザイナー)
▶︎ レペゼン児玉:花里陽介(経営者)

現在、WORK+PARLORのオープンに向けた準備を大急ぎで進めており、今後も本庄で活動を広げていく彼らを注目していきたい。

次回は後半熊谷市のレポートをお楽しみに!

Writing:篠原潤也 
1988年茨城生まれ。大学時代を埼玉で暮らし、Uターンでメーカー系不動産会社に就職。公民連携プロフェッショナルスクール 第一期終了(現・都市経営プロフェッショナルスクール) NPO法人自治経営の関東甲信越アライアンスに所属。