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【インタビュー】 自分の全てに祝福をー アーティストpamper party

Pamper party Nomura Tomoyo       ※公式HPはこちら
線描画家。
10年のイラストレーター生活を経て、2019年よりアーティストとして活動開始。
2021年9月「暦2022」の予約販売スタート(現在、BASEで販売中)。
今回は、pamper partyさんにカレンダー『暦2022』の制作のこと、そしてアーティスト活動のテーマとなっていること、今後展開していきたいことなどをお聞きしました。(2021年9月11日)


カレンダー制作に込めた想い

―まずは予約販売がスタートしたばかりのカレンダーについてお聞きします。
制作に込めた思い、伝えたいこと、届けたい人、テーマなど教えて下さい。

アートと言ってしまうとすごく敷居が高くなり、距離が遠いイメージがあると思うので、日常に取り組んでもらうにはどうしたら…ということを普段の作品作りでいつも考えてます。
その答えとして、グッズだったり日常で使って頂けるものにすれば、日々に取り込んでいただきやすいのではと思ったのです。その中の一つが今回のカレンダー「暦2022」でした。

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ーPamper Partyさんの作品では、植物(プラント)がモチーフになることが多いですが、今回のカレンダーも植物ですね。その中でも「薬草」をモチーフにされてらっしゃいます。
「植物」をモチーフにすること、また、今回「薬草」をテーマとされた想いを教えてください。

植物を選んだのは、10年ほどイラストレーターとしてお仕事をさせて頂いていたのですが、当時、ご依頼頂いた内容を自分の中で形に落とし込む時に、植物の花言葉とお客様の表現したいものをリンクさせて描くことが多かったんです。
その時の感覚から自分が花言葉に惹かれていたということと、あとはただシンプルに植物が好きだったと言うこともあってモチーフに選びました。

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形にする時にいつも意識しているのが、’知識のご褒美’になればいいなということなのですが、薬草を選んだのは、日常生活の中で見たことのある植物が、「これ、お薬になるんだ!」と知ることができると、それが’知識のご褒美’になるのではないか、なったらいいなと思って選びました。


ー’ご褒美’という言葉をPamper Partyさんはよく使われていますね。’知識’もご褒美として意識されているのでしょうか。

まず、’Pamper Party’というアーティスト名自体が’ご褒美’を指しているんです。
それに、自分自身、新しいことを知った時に、モノの視点が変わったり視野が広がったり、そういう時にいつも高揚感を感じています。
知識が増えることは、イコール自分の進む道の選択肢、選択の自由が増えることだと思うので、自分ができるものとして、植物を通じてご提供できる知識があればいいなと思っています。

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ーご自身も知識を獲得していきたいと常に意識されていらっしゃるということですね。

確かにそうかもしれません。自分が興味を持って注目する先が、いつも自分の知らない分野を知っている人だったり、知らないことを話している方だったりというのが多いですね。

Pamper Partyの来た道


ー10年イラストレーターをやってらっしゃったとのことですが、こちらはインハウスでやってらしたのでしょうか。

いえ、違います。フリーです。野良でやっていました(笑)

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ーあ、野良で…(笑) その後、アーティストへと転身されるわけですが、そのきっかけを教えてください。

イラストレーターをやっていた時、お仕事を頂いて絵を描くということ自体は他にもできる方はたくさんいるし、もちろんうまい方もたくさんいらっしゃるのに、その中でも私のことを選んでくださったことにすごく感謝しています。
その当時の自分はどんなタッチでも描けることとか、お客様が欲しいと思う形のものを作れることが強みだと感じていました。
でも、そういう形でお仕事をすればするほど、感謝しているのになぜか苦しくなっていったんです。
そんな中で、あるアーティストの方に出会ってその方の作品を見たら、その中に私の’好き’が詰まっていたんです。自分の「好き」を認識できたと同時に、ああ、私は’好き’を、今全然描いていないなと気付いたんです。
今描けていないと気づけたことで、逆に「私には描きたいものがある」と自覚できたんです。
そのことが、アーティストとして、Pamper Partyとしてやっていこうというきっかけになりました。

ーアーティストPamper Partyが描きたいものとは… ? 
あ、抽象的な表現で全然いいので教えてください。すべてを言葉する必要もないです。エネルギーで伝わればいいんですけど(笑)

探り探りではあるのですが、自分が描いてて気持ちよくなる瞬間があるんです。その都度その都度自分と向き合って、描きたいもの、自分の気持ちに誠実になった時に気持ち良くなって、それをそのたびに自分と対話しながら形にするという作業をやっています。

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ーご自分の中でずっとループしているテーマなのか、あるいは外へ向かっているものなのか…

結果的にはずっと’自分’だと思います。
ただ、アプローチしたいのは外側、目の前にいる人です。
外との交流で、自分自身を喜ばせたいということがずっと頭の中にあります。
というのは、私は子供を生まないという選択をしました。でもやはり「子孫」「生きた証を残したい」という欲求はあります。作品を生み出すことで私の作品と出会った人に化学反応が起き、そこに永遠に生まれ続けるループが起きる、そういう永遠に生まれ続ける作品であってほしいと願っています。
つまり、「深いところまで浸透させてやろう」って狙っているわけです(笑)


ーなるほど。ご自分の子供(作品)を世界じゅうにばら撒きたい、と(笑)

はい、ばらまきたいんです(笑)。カレンダーしかり、自分の子供をばらまいているわけです。
ばらまくことで、進化の一部であることを実感できると考えています。自分の死んだ後のことは誰もわからないわけですが、今、この地球上に自分の存在が浸透していくさまを実感していきたいんです。


ーどこで何を確認できれば「浸透し始めてるな、世界征服も近いな」と実感できるのでしょうか(笑)

「こんなふうに塗ったよ」「こんなふうにコラージュで使ったよ」などとフィードバックをいただくことがあるのですが、そんな時は「しめしめ」とにやりとする瞬間ですね(笑)。

Pamper Partyのありかた・コンセプト

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ーPamper Partyのアーティストとしてのコアなテーマ、コンセプトというのはどんなものでしょうか。

地球上全部に浸透してもらいたいので、作品が世界中に散らばったら世界征服になる、と考えています。なので、コアに考えていることは「世界征服」ということかもしれませんが(笑)。
常に考えているのはアーティストネーム同様、「Pamper Party(ご褒美を与える)」ではあります。


ーPamper Partyさんはstand fm.という音声SNSをやっていらっしゃって、そのチャンネル名を「自分の全てに祝福を」とされていますが、こちらもコンセプトと関連がありますか。

はい。私は普段から人と対話をしている時に「そのままの自分を受け入れてもらえて嬉しい」とよく言われるんです。そう感じてもらえるのなら私も嬉しいし、もっと多くの人と対話をしていきたいと思うのですが、私自身はあまり言葉をきれいに紡ぐのが得意ではないのです。でも描くことでそれを伝えていくことができると思っています。
それに作品は言葉(言語)の壁を越えてくれると実感する経験が何度かありました。これからも海を越えてほしいなという思いは強いです。


ー「祝福」という言葉がまさにPamper Partyさんの作品の雰囲気・世界観につながりますね。そしてそれは「世界征服」と同時に成立しているということなのですね。

そうです。私としては同じ意味で考えています。自分が選択して作り上げた「今の自分」が素晴らしいということを、多くの人に伝えていきたいんです。
それを作品を通して実感してもらったり、体感してもらったりすることをできた時に、たとえばそれば日本だけではなくて違う国であったりしたらいいなと考えています。
言語は違っても、作品ならそれができると思っています。


ー今回のカレンダーは、「暦」と漢字で書いてあるし、薬草も和ではあるのですが、どれも海外の人にとっても魅力的な仕上がりなのではと思います。目線は日本のみならず、常に世界を見ていらっしゃるのでしょうか。

ばれてますね(笑)。海外を見据えて活動したいと常々思っています。
日本特有の美しさは海外の方から「クール」と見て頂いている面がかなりあると感じています。ですので、作品を作る時は日本語の商品名に必ずローマ字で記載するようにしています。
その音の響きに興味を持って調べた時に日本の文化に触れるきっかけになると考えていて、そこから入ってきて日本の美しさや強さなど、文化を交換できるきっかけになってほしいなと思っています。
カレンダーもそうです。漢字で「暦」と書いていたり、薬草も和ではあるのですが、それらはすべて海を越えても魅力を感じてもらえたらいいなと思っているし、感じてもらえるはず、と狙っています(笑)

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Pamper Partyの今後、願望

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ーPamper Partyとして、作品や作品づくりの展開をどのように考えていらっしゃいますか。

今現在、二本の柱があります。
一つは’邂逅(想像の余地)’がテーマで、’出会いで一緒に作っていきたい’というものです。「nukumori(ヌクモリ・温もり)」という名前にしていて、ポストカードやカレンダーなどの線描の作品たちをこちらに位置づけています。
nukumori」のコンセプトは「Pamper you all(すべてのみんなにご褒美を)」。着彩なしの作品たちで、手にとって下さった皆様に、ご自分のイメージで着彩して頂きたいという思いで制作しています。
観た人の色で着彩され、出会いの数だけ生まれ続け進化し続けるというのは、私にとっては本当に大きな喜びです。


ー生まれ続ける…  つまり、pamper partyさんの手元で完成しないアート、ですね。

はい。’永遠に完成がない作品’です。それが望みです。
出逢いがあれば、私が死んだ後も私の作品は生まれ続けることができます。これは細胞や進化が視覚化されたということであり、私が望んでいる’邂逅(想像の余地)’なのです。
出逢いのチャンスを広げる意味でも、グッズ制作のオファーが来てくれるといいなと思っていたのて、今年7月にNPC日本印刷様からorigamiのオファーを頂いた時は、本当に嬉しかったです。


もう一つのテーマは「ikei(イケイ・畏敬)」です。こちらは着彩の作品で、今私が見ている世界、普段見えているものを表現する作品たちです。

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『取捨選択』(2018年)

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『不確かで鮮明』(2020年)

ikei」の世界は「私にとっては当たり前の日常である。私には世界がこう見えている」を描いていくものですが、実は私はそれを表現するための技術がまだ追いついていないのです。
こちらを今後はメインのスタイルとして選ぶと思うのですが、自分自身が今のレベル感をまだ許せていません。まだ到達していないのです。

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『提供』(2017年)

すでに発表している作品はいくつかありますが、もっと本当は描きたいイメージが頭の中にはあって、ちょっとずつ成長していくのを見守っていただければと思っています。
ikei」のコンセプトは「Pamper myself(私自身が大きな祝福に包まれる世界)」になります。私が見ている、私の脳内に広がっている世界を外部(キャンバス )に落とし込んでいきたい世界です。今現在、この世界を追求することに、自分の欲求が向かっている感覚があります。

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『図解』(2020年)

ー目に見えているものをキャンバス に落とし込むのではなく、脳内にあるものを描くということなんですね。

そうです。ただ、その世界って、自分だけが見えているものだったんだな、そうなんだな、というのを最近気がつきました(笑)。
自分としては当たり前だったんですけど、以前ラフを描いた時にすごくいい反応を頂いて、「あれ、みんなが見えているのはこれとは違うんだ」と実感したのです。その時にこの世界をもっと描いていきたいと強く思いました。


ー頭の中に物語が広がっているんでしょうか。手前側の世界や奥行きなども感じられているのでしょうか?

はい。私の中では具体的に展開されています。今後も力を入れていきたいと思っていて、2年後に個展をやろうとプロジェクトを企画し始めております。2年後に向けて、来年再来年は作品づくりに力を入れていこうと思っています。


ー作品づくりとは少し離れますが、デジタルでの活動や各種SNSの発信等を、どのように進めていこうと思ってらっしゃいますか。

私にとってコミュニケーションは創作の種なのです。その手段として自分に合うものは実験しないとわからないので、いろいろデジタルはいろいろやってみています。


ーPamper Partyの世界観とデジタルの世界って、相性はいいのでしょうか。

デジタルと分けてあえてアナログで作っています。なので逆輸入みたいにしたいんです。
デジタルの中で、アナログで作っている私の作品ならではポジションを確立できればなと考えています。
私が持っている’アナログならではの力’は、デジタルにおいて強みだと思っています。


ーなるほど。世界征服をするためにもデジタルでの展開は着々と考えられているのですね(笑)

その通りです(笑)。


ー他にもやりたいこと、展開を考えていることなどはありますか。

先日、*NFTデジタルアートの登録にチャレンジしてみました。ですが得意分野ではないので、そこに詳しい方との出会いがあったら、その世界に入って見てみたいと思っています。それが実現すると世界との距離が近くなるなと思います。

 ※NFTアートについての参考記事はこちら↓


ーということは、世界征服は、日本にいながら実現させるイメージですね(笑)。

そうかもしれません(笑)。あまり場所にこだわる感覚がないんです。今いる場所でできればいいなとは思いますが、自分の中に入っているものとしては日本の文化を開いている自分がいるので、そこから生まれるものを香りとして入れていたんですよね。自分自身が行くのか行かないのかもイメージは特定していないのですが、行き方などがどういう形になっていくのかも含め楽しんでいきたいです。


ー最後に、アーティストPamper Partyに与えられたミッションとは…?

結局、話が元に戻ってしまうかもしれませんが、’全ての自分に祝福を’というのを世界じゅうの人に感じてもらうことだと思っています。
「そのままのあなたがよい」という祝福を、作品を通して伝えていきたいです。
そのためにはいかに触れてもらうかというのも重要だと感じています。

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『chriyolotion』(2017年)

ー最後に一言お願いいたします。

カレンダーを作る構想をし始めた頃から、いろいろな方に相談に乗っていただいて、協力もして頂いて、無事かたちにしてお届けできるというところまで来ることができました。一人ではできなかったと思います。
本当にありがとうございました

取材・構成・編集:Jidak 
撮影:Sa-ju 
撮影協力:星音(ホシノオト)



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