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10/18 ニュースなスペイン語:Colegios concertados:チャーター校

聞きなれない用語かもしれない。

それもそのはずで、日本には、このタイプの教育機関は、まだ、存在しない(かつて、設置の議論はあったようだが・・・)。

チャーター校とは一言で言うなら「公立校と私立校のふたつの性格を合わせ持つ教育機関(un tipo de institución que posee características de colegio privado y público a la vez)」を指す。小・中・高、いろいろなレベルの学校がある。

つまり、父母や地元の企業などの立案で設立され(Es creada por iniciativa privada)、その後の運営などは公的な資金(fondos)や助成金(subvenciones)によってまかなわれる。資金の出処は国(Estado)だけでなく親からの寄付(cuota)だったりする。

実はこの「親からの寄付」というのがクセモノで、今、スペインでは寄付という名目で、親たちが多額のカネをチャーター校から吸い上げられているケースが多発しているらしい。

チャーター校は公金の助成を受けるので、理屈の上では無料だ(en teoría son gratuitos)。にもかかわらず、チャーター校の約90%は月謝(mensualidad;cuota mensual)を請求している。場合によっては、月謝の額だけで、900ユーロ(約13万円)を超えることもあるという。

法律上は、この月謝は義務的(obligatoria)ではなく、あくまでも、心遣い的、つまり、任意的な(voluntaria)性格であるにもかかわらず、チャーター校があたかも義務的なもの(como si fuese obligatoria)として請求してくるところが、何ともイヤラシイ。

しかも、学校側が必要不可欠な科目(actividades indispensables)と見なす活動(actividades)や予定(agenda)の他、社会科見学のような課外活動費(excursiones;extraescolar)に当てると伝えられる。

寄付金の、義務とも任意ともどっちつかずの、こうした曖昧な位置付けに、親心が加わる。ある母親は言う。

こどもたちが変な目で見られるのでないかという恐怖心が私になければ、喜んで、寄付金を払うのを止めるんですけどね(Dejaría de pagar alegremente si no tuviese miedo a que señalasen a mis hijos)。

マドリード州のチャーター校では、寄付金を支払わない家族のこどもはクラスメイトたちと活動に行くことができない(el estudiante no podría acudir a las actividades complementarias con el resto)。だから、親が迎えに行ったり、もしくは、活動に参加できないこどもたちは別の場所に隔離される(la familia tendría que ir a recogerlo o quedar aislado del grupo en otro espacio)こともあるそうだ。

エグいやり口だ。こうなれば、もはや、寄付金を払わないという選択肢はない。

「排除(exclusión)」;「差別(discriminición)」;「透明性の完全な欠如(Hay una falta de transparencia absoluta)」;「不当な商売(negocio injusto)」ーー。マスコミや親から聞こえてくるこうした評価も納得。

チャットには怒った父母たちの声であふれているけど、誰一人として、公の場で不満を漏らす人がいるとは思いません(Los chats se llenan de padres enfadados, pero no tengo constancia de que nadie se queje formalmente)。

こう語る母親もいる。当然だ。しかし、このように続ける。

でも、こどもたちに悪影響があるのに、そんなことを私はできない(Y no seré yo la inicie esto para que repercuta a mis hijos)

結局口をつぐむしかないのである。親たちの間でも寄付金の話題は「完全にタブー(es bastante tabú)」な話題ということになっているようだ。

教員にも養うべき家族もいるだろうし、ボランティア精神だけでは続かない。教材を作るためのノウハウにもカネと時間がかかっている。だから、教育にはカネがどうしてもかかる。設備の維持にだってカネはいる。ならば、そういう旨を学校案内などに書くべきだが、

深く潜るように読み込まなければ分かりません。だから、こうした寄付金が義務的ではないということを多くの家族が気付いていないのです(Hay que bucear mucho y la inmensa mayoría de las familias no es consciente de que esa cuota no es obligatoria)

と専門家は嘆く。

日本にチャーター校の設置が今後、議論されるかもしれないが、こうした事案も起こりうるということをよく理解しておく必要がある。

写真はイメージ画像。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20221016/cuotas-colegios-concertados/2405658.shtml