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ニュースな英語 World Press Photo:ワールド・プレス・フォト

ことばは多くは要らないだろう。

この写真が2024年のワールド・プレス・フォト・オブ・ザ・イヤー(World Press Photo of the Year)を受賞した。

ワールド・プレス・フォトはオランダの世界報道写真財団が毎年開催するコンテスト。

受賞作品は、フォトジャーナリストである(fotoperiodista)パレスチナ人のモハンマド・サレム(Mohammed Salem)が昨年10月17日にガザのとある病院で撮影した1枚。

イナス・アブ・マアマールという女性が、シーツに包まれた、自らの5歳の姪サリーの亡きがらを抱きかかえている(Inas Abu Maamar que abraza el cuerpo sin vida de su sobrina Saly, de cinco años, envuelto en un sudario)――。

このシーンを収めたのは、サラムの妻が同じ病院で出産を終えた数日後(pocos días después de que su propia esposa diera a luz)だったこともあり、受賞写真を次のように語った。

それは、たぎる力と同時に悲しみにも満ちた瞬間でした。これこそがガザ地区で実際に起きていることよりもはるかに大きな意味を持っているのです(momento lleno de fuerza y triste al mismo tiempo, que resume el sentido más amplio de lo que ocurría en la Franja de Gaza)。

審査員は写真の構図を考える際の細心の注意と被写体への尊敬の念を強調する(El jurado ha destacado el cuidado y respeto empleados a la hora de componer la imagen)と共に、この写真が想像を絶するひとりの喪失について、比喩的でもあり、直接的でもある視点を与えた(ofrece una mirada metafórica y literal sobre una pérdida inimaginable)と評価した。

国連人権高等弁務官事務局(Oficina del Alto Comisionado de las Naciones Unidas para los Derechos Humanos)によると、6か月に渡るガザ地区での紛争により、3万人以上が殺害され(asesinadas)、7万人以上が負傷した(heridas)が、その内、3分の2(dos tercios)が女性や子供たちだったという。

写真のサリーも、そしてその母親もその「3分の2」に含まれる。

それにしても「3分の2」やら「3万人以上」などという曖昧な数字につい鈍感になって平然とキーボードをたたくが、命を落とした全ての人に名があり、その亡きがらに涙する者がいることを写真は思い起こさせてくれる。

紛争を望まぬまま亡くなった子供や女性たちはもとより、自らの意思で戦いに参加し、帰らぬ人となった男たちの冥福を祈る。

アーメン。

写真はサレム以外の受賞者の作品。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240418/mujer-cadaver-gaza-foto-world-press-photo-2024/16065830.shtml