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4/22 ニュースなスペイン語 Choque entre la coalición:連立内危機

今回は政治のお話。

まず、大前提として、スペインの現政権(Gobierno)はスペイン社会労働党(PSOE)とポデモス党(Podemos)の連立政権(coalición)だが、両党はあまり仲が良くない。

過去の小欄でも、連立政権の足並みのズレについては、紹介したことがある(直近では、昨年5月1日等)。

で、今回、ある法改正案(reforma)が、半ば強引に可決されたことで、連立両党の間に緊張が高まっている(tensión sigue instaurada en el Gobierno de coalición)。

性的自由を保証する基本法(Ley de Garantías de Libertad Sexual)、通称、「ハイはハイだけ法(ley del 'solo sí es sí)」は、ポデモス党主導のもと、2021年7月に可決された法律。

この法律が成立することで、女性たちが性暴力から守られ、容疑者はより厳罰に処される――。

ハズダッタ…。

しかし、本法が施行されるや否や、すでに刑が確定した暴行犯らの減刑(rebaja de penas)が出るわ出るわ(昨年11月17日)。

その数、今年2月16日時点で500件を超えている。

性被害に苦しむ女性たちを救済するはずの法律が、法理論の不備により、暴行犯らの減刑を引き起こすという何ともお粗末な結果に。

我々はこの愚法で潰される(Nos mata la chapuza)――。

連立パートナーの社会労働党からまで、「chapuza(いい加減な仕事)」と評される始末。

スペイン社会労働党は、当然、再三に渡り、ポデモス党に法律の改正を提案したが、ポ党はこれを、頑なに拒否。

当たり前だが、その間にも減刑ラッシュが止まらず……。

遂には、スペイン社会労働党は、政敵である、最大野党(primera oposición)の国民党(PP)の支持を得て(そして、ポデモスの意向を無視し)、「ハイだけ法」の改正案を20日、可決した。

この事態をポデモス党が面白いと思うはずがない。

ポデモス党は、「(社会労働党は)我々との連立を無視(haber descuidado la coalición)」し、「国民党に水面下で手を回し(pactando con el PP) 」、「女性たちの権利を後退させた(un retroceso en los derechos de las mujeres)」と怒り心頭。

一方、内閣省大臣(ministro de Presidencia)のフェリス・ボラーニョス(Félix Bolaños)は、あるテレビのインタビューで、ポ党はこれまで「技術論に終始してきた(atrapado en tecnicismos)」と指摘。

そして、今回の法改正は、連立両党の合意事項(consentimiento)に「全く影響しない(no se toca)」し、「改正する前と何ら変わらない(Está donde estaba antes de la reforma)」と述べた。

お互い非難合戦に終始していて、実際の人間関係ならこれだけガタガタになったら、もう、修復は不可能。

しかし、両党は連立解消の可能性については否定している(ambas partes descartan que se vaya a romper la coalición)というのだから、政治の世界はよく分からない。

写真は「ハイだけ法」を主導してきた、ポデモス党のイレネ・モンテロ(Irene Montero)。同党のイメージカラーのむらさき(morado)のワンピースを身にまとっている。

気合の表れかも。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230421/psoe-reprocha-podemos-tecnicismos-si-si-belarra-descuidar-coalicion/2440291.shtml など