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1/30 ニュースなスペイン語 Efectos indeseados:望まれない効果

昨年の11月17日の続報。

スペインでは昨年10月7日に、通称「ハイはハイだけ法(la ley del 'solo sí es sí')」が施行された(毎度のことだが、日本語にしにくいんだよなぁ、この通称……)。

法律の詳しい趣旨や問題、その成立の背景などは昨年の5月27日や11月18〜19日の記事などに譲るが、本法の最大の目的は性的暴行の、主たる犠牲者である女性たちを救済すること。

この法律が施行されれば、女性たちに暴行をはたらく男たちの罪を、それまでの法律より広く、そして、より重く裁ける――。

ハズダッタ……。

しかし、実際は、予期せぬ、そして、決して望まれない結果を生んでしまった。

その結果とは、加害男性たちの減刑(rebaja de condenas;〜penas)のラッシュ(tsunami;goteo;avalancha)が起こってしまったのだ。

11月17日の記事では、容疑者たちに有利な判決が出てしまうカラクリを書いたが、当時、わずか2件だった減刑数が、今現在、272件にも達してしまったという。

この法律を推し進めてきたのは平等大臣(ministra de Igualdad)イレネ・モンテロ(Irene Montero)を中心とした、ポデモス党(Podemos)のメンバーだ。

ポデモス党は、 加害者たちの減刑措置に対する社会的な不安(preocupación social)があることは理解しているが、現在のところ、この法律を改正する合意はない(a día de hoy no hay un acuerdo)との立場を崩していない。

その一方で、連立パートナーであるスペイン社会労働党(PSOE)からは、ポデモス党が本法改正に着手(se abra a reformar la norma)して欲しいとの声もあがっている。

というのも、今後、各地で自治州選挙(comicios municipales)などの選挙を控えており、スペイン社会労働党から出馬する候補者たちの多くは、本法によって引き起こされた減刑ラッシュは票の動向に悪影響を与える(Muchos candidatos socialistas creen que las rebajas de penas propiciadas por la ley les podrían restar votos ante su electorado)と考えているからだ。 

だから、候補者たちは選挙前までには法改正を実施するように求めている(abogan por que la modificación de la norma se lleve a cabo antes de los comicios)。

先週の金曜日、モンテロは法律には「不備はない(sólida)」と記者会見では語っていたが、翌日には、世論からの圧力を受け、ポデモス党が法改正向けて動き出すのではないかとの報道も流れた(debido a la presión de la opinión pública y que será Unidas Podemos quien impulse la modificación)。

これまで頑までに改正を拒んできたポデモス党、そして、平等大臣のイレネも、さすがに、この理不尽な減刑ラッシュを放置するわけにはいかない。

自身のポリシーはさておき、いよいよ、改正に着手しないわけにはいかないだろうな…。

写真は平等大臣イレネ・モンテロ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230128/gobierno-se-abre-resolver-problemas-ley-del-solo-si-si/2418826.shtml