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6/3 ニュースなスペイン語 PM 10:PM 10

日本では「PM2.5」という用語を耳にするが、これは大きさが2.5マイクロメートル(μm)以下で、空気中に浮遊している粒子状物質(material particulado)のこと。

黄砂さえも、4マイクロメートルはあるらしいので、それよりもはるかに小さいということになる。髪の毛1本の直径の30分の1という超小微粒子。

今日のキーワードの「PM10」はそれよりは大きく、実際にはホコリだとか煙の目に見える物質。

PM2.5とPM10は吸引性粉じん(partículas inhalables)とも呼ばれていることからも想像できるが、口や鼻から吸入し、肺などに入り込むことで健康被害を引き起こす。

そのPM10の排出量(emisiones)がスペインはとてつもなく多い、というのが今日のお話。

EUの地球観測プログラム「コペルニクス気候変動サービス(Servicio de Vigilancia Atmosférica de Copernicus)」による調査で明らかになった。

原因は、小欄でもたびたび取り上げているが(直近では今年3月29日発出)、今年3月から4月にかけて、スペイン国内で記録的に発生している山火事(incendio forestal)。

バレンシア州東部では3月23日に今年最初の大規模な火事(primer gran fuego)が発生し、4700ヘクタール(hectárea)が焼失した。

4700ヘクタールとは、47平方キロメートルに相当する。

これは、例えば、沖縄市(約49km2)、埼玉県なら入間市(同44.7)とほぼ同じ面積が山火事で無くなったことになる。

1週間足らずであの町が消えたのか・・・。

自分が知っている都市で例えると、そのインパクトに仰天する。

現在までにスペインで一番被害を受けたのがアストゥリアス州。同州北部では、今年の3月23日〜4月1日までの間、約135件の山火事が発生し、およそ1万1000ヘクタールが焼失したという。

これは、例えば、東京都なら青梅市(同103)、千葉県なら館山市(同110.2)と大体同じ。

僅か1週間足らずでひとつの、しかも、中規模の街が無くなった計算となる。

かくして、1立方メートルの空気中に60〜80マイクログラム(µg/m3)のPM10などの粒子状物質が排出される結果となった。

EUの基準では、健康を害さないようにするためには、空気中で1立方メートルあたり50マイクログラムを超えてはならない(se deben superar los 50 µg/m3 para preservar la salud humana)としている。

が、その値を、地域によっては、ゆうに超えていることになる。

コペルニクス気候変動サービスは、こうした数値を高温( las altas temperaturas)と干ばつ(condiciones de sequía)が引き起こした、1年の最初の数か月間で考えれば(en un momento tan temprano del año)、たぐいまれな状況(no son habituales).としている。

しかし、3月29日で紹介した記事によれば、森林火災の時期が次第に早まっている計算になるようだから、もしかしたら、たぐいまれな状況ではなくなる日はそんなに遠くないかも。

写真は記事でも紹介したバレンシア州の火災の様子。

この惨事では、住居にソーラーパネルを取り付けていた作業員2人(estaban realizando trabajos de colocación de placas solares en una vivienda)が火災の原因を作ったとして(causantes)当局に逮捕された。

なお、以下の記事にはスペイン以外の、中央アメリカやカナダなどの地域の火災についても触れられている。

火災で大気を汚しているのは、決して、スペインだけではない。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230601/emisiones-incendios-forestales-espana/2448214.shtml