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おかえり、サルゲッチュ。

ついに帰ってきました。あの頃のプレステが。あの頃の思い出が。あの頃の感情が。あの頃一緒に過ごした、すべての記憶が。

Playstation Plusの新しいフリープレイのラインナップにあったのは「サルゲッチュ」の文字。こんなことがあっていいのか。いいんです。こんなことが令和のこの世の中に起こりうるのか。あるんです。正直めちゃめちゃうれしくなっています。あのシリーズがもう復活することはないだろうと。プレステが壊れてしまったらもう遊ぶことはないだろうと、そう思っていたんです。

PS5を手に入れる前、最も長く遊んだゲーム機はPS2でした。私はPS3やPS4の時代をまったくもって知りません。文字通りジャンプアップしていったので、何が起こったか全くわからないまま今の世代のゲーム機を遊んでいます。今、私のPS2は映像信号にちょっとしたトラブルがあって、まともに遊ぶことができずにいます。それでも、それでも過去の思い出は決して消えることなくあったのです。

わたしと「サルゲッチュ」

きっかけになったのは、ゲームショップでたまたま見かけた初代でした。

子供向けとは思えないあまりの難易度、時を超えて翻弄する個性豊かなピポサル、そしてぐりんぐりんとスティックを動かせば、自由自在思うがままに遊べるガチャメカ。すべてが新鮮で、すべてが驚きの連続でした。だって次のステージに進むのに、「サルを捕まえる」なんて発想、どっから出てきますかね?

そしてシリーズの中で最も長く遊び、ぼくの心を今でも突き動かしてやまない作品があります。「ミリオンモンキーズ」です。

正直言って、周りからそこまで評価されている作品ではありません。バランス調整にもめちゃめちゃな難があります。それでも、それでも僕はこのゲームをずーっとやってきました。ある時はチップを集め、ある時はCPUをアイスでハメ、ある時はえげつない難易度のステージに挑みあえなく敗れ…思い返してみれば、ずーっとこのゲームと共にあったなぁと思います。僕にとってこのゲームは、生きていく中で心の支えでした。

ハイテク技術で古きを訪ねて

「サルゲッチュ」シリーズの魅力といえば、やはりヘンテコでめちゃめちゃかっこいい「ガチャメカ」でしょう。パチンコがそのまんま武器になった「パチンガー」だったり。クリア後のお楽しみ、なんでも壊せる「マジックパンチ」だったり。毎回毎回違った形でぼくらを楽しませる素敵なものでした。

これらのメカは、デュアルショックの「アナログスティック」という、今やプレステになくてはならない2つの棒をぐりんぐりんと動かして操作します。ひっぱったり、まわしたり、押し込んだり。その操作は千差万別です。シリーズも後のほうになってくるとボタン操作も入ってきたりしますが、それでもデュアルスティックで操作できるという基本は変わることはありませんでした。

直観的でもおもしろく、ただ頭からっぽでやってるだけでもおもしろい。こうした絶妙なバランスが、当時の子供たちの心をつかんで離さなかったなぁと、今になって振り返って思います。

個性豊かな「みんな」

シリーズを象徴する「ピポサル」。当時デザイナーを務め、近年までJAPAN Studioの重鎮だった飯島貴光さんは、初代の攻略本の中で「かぶる→ヘルメット→工事現場→回転灯」という連想ゲームでそのコンセプトが固まっていった、という逸話を語っています。

今からしたらすげーシンプルだなぁと思ってしまいますが、愛らしい姿からは考えられないちょっと「おバカ」で過激な行動は、20年たっても異彩を放つ存在です。パンツの種類によって個性がわかり、そしてどう捕まえていったらいいのかという戦略を練っていくシステムになっています。

赤いパンツと緑のパンツをはいている奴は特にやべーやつらです。重火器を平気で扱い、超スピードで飛び回りビスケットをガンガン削っていきます。初代は結局ひったすら転ばせてから捕まえていましたが、マイルドになった2作目からはそこまで激しい攻撃をしなくなったがゆえに転ばせる捕まえ方が通じにくくなりました。

そのサルたちのリーダーとしてトップに君臨する「スペクター」は、ツンデレまっさかりな性格をしたアルビノ超能力を持ったスーパーサルです。それでも、その無邪気さの中に残酷さがきらっと光っているときもありました。カツラが取れたトモウキの姿を見て大笑いしてた時はわが目を疑いましたね。

人間だって負けてはいません。おとぼけな「ハカセ」に勇気あふれる「カケル」や「ヒカル」、そして人の心の弱さをこれでもかと見せられるライバルの「ヒロキ」。物語を通せば、ずーっと彼らと共に歩み、ともに強くなっていくのです。

あたらしいゲーム機であそぶ「なつかしさ」

今回遊べるラインナップの一部として初代があったことと、海外の情報から「2」も遊べるようになるといううわさも入っています。僕自身あたらしいゲーム機で昔のものを遊ぶとなると、どこまで今のゲームが進化しているのか如実に見せられてしまう怖さもあるなぁと思っていたり。

それでも、それでもシリーズが持つ「斬新さ」と「直感のひらめきのすばらしさ」は、世に放たれてからずーっと経った今も衰えていることはありません。むしろ、さらに鋭さを増して今に輝きを放っているとさえ思います。今、私が子供だった頃より多くの方がゲームに触れるようになりましたが、ぜひとも一度手に取ってこの体験を分かち合いたいです。シリーズの新作はすでに絶望的になっていますが、昔懐かしさと新鮮さを、より多くの人に感じてもらえることに深く感謝しています。

あらためて、おかえり。サルゲッチュ。

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