そもそも演劇は仕事になるのか

【閑話休題・Pの独り言】
時間堂P晴香です。今月中にもう1回書く、とかいって、今月っていつの間に変わったんですかねぇ…すみませんでした…。

会社になる話を不定期連載しているさなかですが、ちょっと脇道に逸れまして、今、強く感じていることを。まだ自分の中でもまとまりきらない気持ちをダダ漏れするのでロジカル晴香ちゃんはお休みだと思っていただけると嬉しいです。

さて。

今、私がやっていることは結構珍しいという自覚があって、それにたいしてみんながみんな、可能性を感じて応援してくれるとは限らない、と思っています。そして、ここのところ親戚で集まったり連絡をとりあったりしていた中で、ネガティブな反応も事実として受け取りました。

そういうとき、言葉を尽くして説明することには、どのくらい意味があるのでしょうか。ちょっと立ち止まって考えてみることにしました。

幸い、一度でも時間堂を観てくれたひとたちからは、すごいね、がんばってるね、という言葉をもらうことが多くて、いいものを作って喜んでもらえた証だと思うととても誇らしいのです。反面、ネガティブな反応は、どれだけお誘いしても観に来てくれないひとから寄せられたものでした。

「演劇」だけでも充分めずらしいのに、「プロデューサー」はますます何をしているのかわかりにくい職業です。それで本当に生計を立てられるのか、法人化と言っても未経験者がやっていけるのか、一般的な就職をするか家庭を持つかした上で趣味として続けるわけにはいかないのか。そもそもなんでそこまで演劇がやりたいのか。情熱だけで事業ができるほど、世の中甘くないことをわかっているのか。理解不能で心配になるのも無理もありません。

でも、それでも、私はやるのです。こういうことを疑問に思われてしまう世間の目を変えるためにも。演劇は仕事にならない、特に小劇場劇団はビジネスとして成立しない、アマチュアの趣味のサークル活動であって、みんなやりたいことをやるために身を粉にしてバイトに勤しんで当たり前。そんなイメージは自分たちの力で払拭しなくてはならない。

精神論だけではどうにもならないことは、この3年間、劇団というものに初めて所属して骨身に沁みています。だから組織の形を変えたり仕組みを作ったり新しい事業を考案したり、演劇を通じて社会にポジティブな影響力を発揮して、その対価として正当な報酬をいただくモデルを作ろうと頭をひねって人とつながって行動しているわけです。

どんなに熱意とロジックを揃えて語ったとしても、演劇を観たこともなく、もともと懐疑的な姿勢を持っているひとを突き動かして味方につけるのは、はっきり言って困難だと思います。結局、目に見えて成果を上げるということで初めて、認めてもらえるんだろうと思います。

そしたらやっぱり、語ることにまったくパワーがないんだろうか。今はそんなことはないと思っています。聞いてもらえなくても、わかってもらえなくても、どんなにこてんぱんにやられたとしても、私は心折れずに語り続けたいと思います。何も言わずに突然出来上がりを見せるんじゃなく、紆余曲折軋轢葛藤も含めて発信していくことで、誰かは振り向いてくれるかもしれない。成果を上げるまでは認めてもらえなかったとしても、発信し続けて成果を出した暁には、私個人だけじゃなく演劇を本気で仕事にしようってひとみんなのことを、それも「あり」な生き方なんだと、ひとつの列記とした職業なんだと、演劇は仕事なんだと、わかってもらえるようになるんじゃないでしょうか。

そういうわけで、私はスタジオオープニングイベントのスペシャルトークに出ることについて、やっとちゃんと腹をくくりました。本当はすごくすごく嫌だったので、さんざん理屈をつけて逃げ回って、みんなに説得されてしぶしぶ…という裏話があったんですけど。今はしぶしぶではなくて、これは私の仕事。ミッション。むちゃくちゃ緊張しますけど、逃げずに話さなくっちゃね。

6月13日~15日、スタジオで開催します。その中の、最終日が私の参加する「スペシャルトーク」の日です。なんだ宣伝かよ、とお思いのあなた、宣伝です。だって心の底から私の話を聞いてほしいんですもの、宣伝もしますよ、そりゃ。えっへん。

スペシャルトーク 「アーティストの『拠点』と『経営』  ~東京の小劇団が専用スタジオを持つまでとこれから~」

イベント全体のご案内はこちら。他の日は演劇があったり命名式をしたりします。
ご予約はこちらから。

…次回こそ、なんで合同会社なの、って話を書きたいな。書けるかな。

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