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連合赤軍事件研究No.2

前回は赤軍派の事件関係者を整理したので、今回は革命左派について整理する。

革命左派

革命左派は1968年川島豪(東京水産大)と河北三男が結成した『警鐘』グループが前身である。毛沢東の思想に影響を受け、『反米愛国』を標榜していた。学生運動より労働運動に重点を置いており、党員は大学を辞めて労働者にならなければならないという不文律があった。河北が関西に移ると、川島豪が実権を把握し、過激化していく。川島豪が逮捕されると、彼の奪還を目指して、警官から拳銃を奪う作戦が実行される。その最中、党員の柴野春彦が銃殺され、赤軍派をはじめ他の派閥から注目される。
1971年銃砲店を襲撃し、重要メンバーのほとんどが指名手配を受ける。都内での潜伏につかれたメンバーは山中にアジトを移動し、共同生活を送る。しかし、この生活に耐えきれず、向山茂徳と早岐やす子が逃亡。向山が警察と接触しているという情報がもたらされ、指導部は対応を迫られることとなる。

革命左派所属で、事件に関わったものたち


1.永田洋子
本事件の主犯格の一人。大学卒業後、薬剤師として就職するが、党活動専従となる。川島に性的暴行を受けたことや、坂口といやいや内縁関係を結んだこと(関係を結んだあとよくなった模様)から、独自の『女性観』をもつ。持病があり体調を崩すことも多かったが、真面目で面倒見のよい人柄が評価され、川島逮捕後のリーダーに就任。森との接触後関西弁を使い始めるなど『他人に影響を受けやすい』性質や、女性メンバーに対する批判的な目が、事件を左右する。

2.坂口弘(東京水産大)
永田の内縁の夫で、党内No.2。同じ大学の川島に憧れ、活動に身を投じる。指名手配されて消耗していたメンバーに、戦時中のパルチザンを参考に山中でのアジト生活を提言した。暴力には疑問を持っていたが、なかなか言い出せない。

3.寺岡恒一(横国大)
軍の最高責任者で、党内No.3。杉崎の内縁の夫。過去に永田らを批判して自らリーダーになろうとしたことや、下部の者への態度が問題となる。

4.吉野雅邦(横国大)
金子の内縁の夫。党内No.4だが、過去に中核派に所属していたことがあり、中間管理職的存在。

5.尾崎充男(東京水産大)
坂口の後輩で、岩田の先輩にあたる。交番襲撃事件に参加しなかったこと、K(合法部の責任者)に銃の隠し場所を教えたことが問題となる。

6.小嶋和子(市邨学園短大)
寺林の職場の後輩。名古屋で活動していたが、運転手役として呼び出される。向山や早岐の殺害に協力させられ、精神的に不安定になる。

7.加藤能敬(和光大)
加藤兄弟の長男。過去に逮捕されたことや度々永田らに意見したこと、小嶋との関係が問題となる。

8.山本順一
中国との貿易会社に勤めていた人物で、本来協力者だった。山中アジトの生活に理想郷を感じ、妻と赤子を連れて入山する。主に運転手役を務める。

9.金子みちよ(横国大)
吉野の内縁の妻で、組織の会計係。本来は活動に不参加だったが、吉野が逮捕されると、救援対策に奔走し、活動に加わることとなった。妊娠中で山中のアジトで出産する予定。永田らに意見したことが問題となる。

10.大槻節子(横国大)
逮捕された党員と内縁関係にあったが、向山と男女関係を結ぶ。向山が警察と接触していることを知ると、永田に処刑を進言する。男女関係の多さが問題となる。

11.前澤虎義
工場に勤めていた時、坂口に勧誘され、活動に加わる。永田らに批判的であったり、中村愛子との関係の問題を抱えている。

12.岩田平治(東京水産大)
学生寮で同部屋だった尾崎や居候していた坂口に勧誘され、活動に加わる。同郷の向山を活動に参加させた。活動には無関係の恋人が、巻き込まれて逮捕されてしまっている。

13.杉崎ミサ子(横国大)
寺岡の内縁の妻で、金子や大槻の親友。寺岡から頼り切りであると批判されている。

14.寺林喜久江
小嶋の職場の先輩。金子が会計係をおろされると後任になったり、ベース候補地への視察を命じられているので、信頼されていた模様。

15.中村愛子(日大看護学院)
早岐や伊藤の親友。前澤と関係を結ぼうとしたが結婚を拒否されたため、痴漢で前澤を告発していた。加藤能敬と一緒に逮捕された過去がある。

16.伊藤和子(日大看護学院)
早岐や中村の親友。片思いしている相手がいるが、指導部から予想外の命令を下される。

17.加藤倫教
加藤兄弟の次男。弟の三男とともに長兄能敬につれられて合流。

18.加藤三郎(仮名)
加藤兄弟の三男。高校生。次兄倫教とともに、永田からは『一人前の兵士』と認められてなかったことが幸いすることとなる。

19.早岐やす子(日大看護学院)
中村や伊藤の親友。山中のアジトで共同生活を送っていたが、恋人の
もとに帰ると下山。警察と接触していた向山と同時期に逃亡したため、問題となる。

20.向山茂徳
岩田の同級生で、大槻の恋人。共同生活を送っていたが、浪人生だったので大学に行きたいと下山。警察と接触したことを大槻に得意げに語り、問題となる。

21.瀬木政児
早岐と向山殺害で実行犯にされ、精神的に不安定になる。恋人と逃亡し、逃亡先で逮捕される。

革命左派所属で、事件に関わらなかった者たち

1.川島豪(東京水産大)
革命左派の創設者のひとりで、坂口の先輩。河北を関西に追いやった後、最高指導者となる。妻の陽子がいたが、永田に性的暴行をした過去がある。
彼の指導者就任から、革命左派は急速に過激化。川島自身も逮捕されてしまう。永田ら残されたメンバーは彼を奪還しようと、交番襲撃や銃砲店襲撃事件を起こす。
永田や坂口が逮捕されると、対立。1979年出獄。1990年死去。

2.河北三男
革命左派の創設者のひとり。もうひとりの創設者川島と対立するようになり、関西に追いやられる。川島が逮捕されると、武装闘争に疑義を呈し、メンバーを説得しようとしたが、拒否され、除名される。帰郷後独自に活動していたが、病死した。

4.柴野春彦
川島奪還計画の一環としての交番襲撃中に射殺された。ともに襲撃した大槻の内縁の夫なども重傷を負う。彼の死によって、革命左派は新左翼内でも知られるようになる。

5.川島陽子
川島の妻。都内アジト近くで逮捕される。アジトには加藤能敬や中村、岩田の恋人、小嶋の妹がおり、大量逮捕につながってしまう。

6.K
合法部の責任者。獄中の川島と永田らの間で翻弄されており、永田からの信頼を失う。

革命左派の関係者のまとめは以上である。次回はすべての始まりとなった早岐と向山の殺害『印旛沼事件』について取り上げる。












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