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幸せの扉を開く力

新年の初詣で、コウキは神様にお願いごとをしていた。

すると、なんだか妙な感覚に包まれ、目を開けると、周りは真っ白な空間に、自分だけがポツンと立っていた。

そして、目の前に、なんと神様がいました。

神様は深い声で、コウキに告げました。
「幸せになりたいのじゃな。それならば、不幸を感じてみなさい。」

コウキは、何が何だか分かりませんでした。

この場所がどこなのか?

目の前にいるのは、本当に神様なのか?

そして、神様が告げた言葉に戸惑い、尋ねてみました。

「僕は幸せになりたいと願ったのに、なぜ不幸を感じることが必要なのですか?」

神様は微笑みながら話し始めました。

「幸せとは『感じる』ものなんじゃよ。だが、お主は幸せを感じることに慣れていない。」

コウキは考え込みました。そして、再び神様に聞きました。
「では、なぜ不幸せを感じる必要があるんですか?
 幸せを感じれば良いのではないですか?」

神様は優しく語りかけました。
「たしかに、そのとおりじゃ。
しかし、先ほども言ったように、お主は幸せを感じることに慣れていない。
しかし、不幸は感じやすいだろう。
お主の内なる『感じる力』を目覚めさせるには、まずは不幸を受け入れることが近道なのじゃよ。」

コウキは少し納得しました。

神様の口元が、少し笑ったように見えました。
「お主の『感じる力』が目覚めれば、幸せを感じることは、たやすいことじゃぞ。」

コウキは神様の教えに従い、自分の気持ちに意識を向け、『感じる』ことに集中して過ごしました。

残念な出来事や、不幸も辛抱強く受け入れてみると、そこから自分にとっての望む幸せが見えてきて、彼の心を豊かに彩っていきました。

それまで不幸だと思っていた出来事も、「幸せにまだなっていない状態」なだけで、幸せになる準備段階、つまり幸せの一部なのだと、コウキには思えてきました。

神様の言葉は、『感じる力』を大切にして、幸せを見つけるためには自分の気持ちに向き合うことが重要である、ということを教えてくれたのでした。


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