見出し画像

いま、なぜ平屋なのかを考える

若い世代から終の住処を検討している世代まで、平屋に人気が集まっています。平屋にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか…。
「SO上質な日本のすまい1」では、建築家・横内敏人さんに平屋のメリット・デメリット、現代の平屋事情について解説していただきました。

代々住み継げる平屋はサスティナブル
平屋はライフステージの変化に対して、代々使っていくことにつながるヒントを私たちに提示しているように思える。水まわりぐらいを変更していけば、長く住み継いでいける。その意味で、平屋はサスティナブルなのである。

「SO上質な日本のすまい1」横内敏人さん解説より

平屋の可能性
平屋にはある程度の敷地の広さや周囲の環境が前提となります。しかしこの30年ほど、土地は手に入りやすくなり、空き家も増えています。子どもの数も多くはないので、間取りもコンパクトにすることが可能。また、コロナ禍を通じてリモートワークの可能性も高まっています。それらを考えると比較的安価な郊外の土地を購入して平屋を建てるというのは、魅力的な選択肢になるのではないでしょうか。老夫婦はもちろんのこと、小さな子どもがいる夫婦の田舎暮らしにも平屋は適しています。

平屋のメリットとしては、構造が楽であり、屋根の形をそのまま生かせること、トップライトや天窓、ハイサイドなど上部に開口部をとることができ、採光や換気がとりやすいことなどがあげられます。一方、デメリットとしては、基礎や屋根が大きくなるため、面積単位のコストが高くなること。1階にすべての部屋を配置することで、動線が長くなりやすいことがあげられます。また、ある程度広い敷地も必要になります。

高齢化が進む中で、1、2階への上り下りの問題をはじめ、親の介護をしなければならない機会も増えています。そんな介護をしやすいのも平屋であり、さまざまなライフステージに合わせて使いまわしていくことができる平屋はサスティナブルだと横内さんは話します。(本文より一部抜粋)

横内敏人さんが手がけた平屋の実例を図面とともに掲載

巻頭でたっぷり紹介しているのは、「子どもたちに目が届く、くの字型の平屋」。敷地にも十分な広さがあり、できるだけ子どもたちとの距離を近くに保ちたいというご夫婦の強い思いから、当初より平屋で計画をしていました。居間や食堂などのパブリックスペースと、寝室や和室などの個室を左右に振り分け、くの字に折れ曲がった部分には、本棚で仕切られたスタディスペースがあります。

敷地形状を有効に利用したという「くの字型の平屋」

「和風住宅」「和MODERN」シリーズとして新創刊した『SO 上質な日本のすまい』。上質な暮らしを望む人、長く受け継ぐ住まいを検討している人に向け、多くの人があこがれを抱くような美しい日本の住まいをセレクトしています。ぜひ書店にてお手に取ってご覧ください!

2号目の特集は「自然と暮らす別荘・住まい」。
こちらも好評発売中です。