ソフトバンクの今オフの大補強は本当に「補強」になっているのか?
こんばんは、ジンです。
今回は今オフの主役と言っても過言ではない福岡ソフトバンクホークスの補強について語っていきたいと思います。
ソフトバンクは今オフ、オスナに4年40億、山川穂高に4年16億、さらにカータースチュワートJr.と2年14億で契約延長、トレードでウォーカーを獲得するなど、パンデミックによる観客動員減の余波で厳冬気味の球界の中では突出した出費と言えるのは間違いない動きを見せています。
しかし、その動きには少なからず手痛い放出や「過大評価」も混じっており、今オフの動きは本当に「優勝を狙える補強」なのか、考察していきたいと思います。
元メジャーリーガー、オスナもNPBにおいて10億のレートは妥当ではない
まず検証していきたいのがオスナの4年40億の契約です。
正確には1000万ドルなので一年あたり14億円です。
MLBにおいてのレートでは実力的には妥当かもしれませんが、日本の成績においてはどうかというと
成績としては「そこそこ優秀なクローザー」止まりであり、特筆して良い数字ではないです。
例えば今年MLBに渡った松井裕樹は5年40億の契約でパドレス入りしましたが、松井のWARは1.9と日本においてはオスナより数段上の数字を残しています。
鬼神の如き活躍をした2017サファテがWAR3.3と大きな数字を稼いでいることを考えても、MLBの実績があるとはいえオスナに10億は明らかな過大評価ではないでしょうか。
さらに言うと、抑えというポジションはどんなに多くても50イニング前後しか稼ぐことができず、勝利に対する貢献値がとても低いです。
2018年、中継ぎとしてブレイクした山本由伸は53イニングでWAR1.2とオスナ程度の貢献値しかできませんでしたが、先発に転向した2019年は143イニング投げWAR5.3を稼いでいます。
WARなど難しい数字を考えなくても、1200イニング強を一年間消費する中で、より多いイニングを優秀な投手で埋めないといけないということを考えても、柳田を減俸した上でチームで一番高い年俸を50イニング未満のクローザーに払うというのはかなりの愚策ではないでしょうか。
ウォーカー←→泉、高橋礼はハイリスクローリターンの大出血、優勝を近づけるどころか遠ざけるトレード
続いて取り上げたいのがウォーカーと泉、高橋礼のトレードです。
ソフトバンクの狙いとしては近年、新外国人を外していた、というのが大きな理由だそうですがこのトレードにも大きな疑問が残ります。
まず気になるのが、出したのが泉、高橋礼というところ。
一般的に、外国人選手というのはトレードされることはありません。なぜなら自由契約を待てば良いからです。
その中でも外国人選手がトレードされた例はありますが、代替選手が多い、他球団からの移籍がトレード以外でも容易なことを踏まえ、トレードレートが異様に低いのが通例です。
近年で言うとウィーラーと池田駿に代表されるように二軍で戦力外寸前と言える年俸1000万未満の中堅選手とのトレードや、金銭とのトレードが一般的でした。
その中で、年俸4300万の高橋礼、年俸2700万の泉を放出して、一軍WAR0.4のウォーカーを獲得するのは極めて異例と言えるでしょう。
泉、高橋礼の成績をもう少し詳しく見ていきます。
一軍成績はそれぞれ泉が2イニング、高橋礼が11イニングしか与えられなかったと考えると、十分揺り戻しが考えられる好成績です。
泉も防御率こそ4点代なものの平均球速148キロはかなり速く、ソフトバンクで50イニング以上投げた投手と比較するとスチュワート、藤井の次、有原や板東、東浜よりも速い計算になります。
高橋礼もアンダースローなのにも関わらずいまだにスピードボールを維持しており、二軍で防御率1.24の79.2回は干されてるのでは?と疑ってしまう成績です。
ソフトバンクはパリーグで失点4位、防御率4位、tRA4位であることを考えると決して投手が潤沢とは言えず、高橋礼、泉が余剰戦力だったとは言い切れないのが現状で、さらに言うと両翼が近藤・柳田で埋まっている状態でウォーカーをとる余裕があったのかはかなり疑問です。
現代野球ではDHは休養のために空けておくべきポジションであり、実際柳田は2023年シーズンDHで300打席も立つなどコンディション不良が多い選手であります。
さらに山川も加入したとなれば、ウォーカーでDHを埋めるのはかなり愚策に見えます。
失点抑止に関与しないDHは、WARではもちろん強いマイナス補正がかけられています。DH専門の選手、もしくはLFで大幅なマイナスを叩き出す選手を薄めの投手のリザーブで獲得するのはかなりハイリスクローリターンと言えるでしょう。
思ったよりも微妙な山川穂高の近年
そして一番オフのソフトバンクを賑わせている山川穂高だが、実際のところ戦力としてどうなのか。
僕の結論としては「ハイリスクミドルリターン」である。
まず第一に、世間からの”大バッシング”はリスクに含めていないのを前提においてください。それを考えると明らかに戦力としては弱いと思いますので。ここにおいてのリスクとは「年俸」と「人的補償・甲斐野」のことです。
結論としては2022以外あまりパッとした成績を残していない。2022年は2018年以降最高の打撃成績を残したシーズンで、これ以上の成績をここ数年ずっと残していないのは、書類送検になるなどの不祥事抜きでリスキーな案件ではないでしょうか。
甲斐野がFIP2.85、xFIP2.96と、8掛けオスナ程度の成績を残していることからも、ソフトバンクレートでは人的補償で8億円程度の損害を被ったのではないだろうか。
その損失に加えて4億円で”優勝”を導けるほど活躍できるかは疑問で、少なくとも外野を平均以上のレベルで守れ、大きく打撃でも貢献しWAR8.3の近藤を上回るインパクトは間違いなく残さないのではないだろうか。
ただ、予測WARの2.7は決して低い数字ではなく、レギュラーとしては水準以上の数字である。2022年の楽天・西川遥輝がWAR2.6なので、この結果を残せれば8000万程度の価値はあるのではないでしょうか。
結論
今オフ、ソフトバンクが敢行したトレードはとてもインテリGM・副GMが行ったとは思えない粗末なものであると私は考えます。何らかのOきな圧力が働いたのではないかとしか思えない大砲集めの敢行ですが、王貞治氏は週刊誌によれば山川獲得に否定的だったとのことで、謎は深まるばかりです。
オリックスに勝って優勝しなければソフトバンクの大バッシングは免れないと思われますが、今オフの補強ではかなり厳しいものとなっており、今シーズン、データでの明らかなマイナスを王者のメンタルで見返せるのか、行く末が楽しみですね。
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