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最近しなくなったこと・できなくなったこと


はじめに

 どうもこのところこのクニの経済は相対的にはゆたかではないらしい。あくまでもさまざまな指標からそう推定され、いくつかおもいあたることがある。

過去と現在のみずからのくらしのようすからたしかにうなずけるふしがある。

きょうはそんな話。

過去をふりかえる

 とくに今の若い方々のようすが気になる。わたしや友人たちの若いころ(大学生当時)の生活をふりかえり比較してみたい。

まかないつきの4畳半ひとつ、風呂なし・共同トイレのまかないつき下宿住まい。昭和の高度経済成長のはじまるころ建てられた木造アパート。平日朝晩は下宿の大家さんのつくる食事。一方、みずからのへやには台所はなく毎日の昼と毎週日曜日には、大学の食堂もしくは弁当や惣菜を買って食事を済ませていた。

大学4年間には親から仕送りをしてもらった。たしかにこう記すといかにも質素。まだ仕送りにまかないがあるだけ友人たちなかではめぐまれているほうだった。

弟も大学に通いはじめ実家の家計は火の車。4年生のなかごろ、仕送りはいらないから大学院に進ませてほしいと親に頼んで了承をもらい、それ以降はアルバイトをかけもちしてどうにか生活費や学会の参加費などをどうにか工面した。

食事の内容はさほど変わらない。当時の大学の食堂でしっかり食べて300円前後。定食屋などで外食すると300円後半~400円代。研究を朝早くはじめて夕食をそそくさとすませてアルバイトにむかい、よる10時すぎに帰宅。

途中からはまかない下宿からごく近くのもっとも古いアパートへとひっこした。それでたまには友人たちと食事や飲み屋にむかうことだってできた。

それがどうも最近はちがうらしい。

たずねてみると

 現在の学生さんの話。研究パートの研究室で大学生たちにたずねると、その多くはとても大学の食堂を毎日利用するのは経済的にむずかしいという。昼の大学食堂のわりとととのった食事は400円台。定食屋などは500~600円台。1.5倍ほどか。

学生らのご家庭の経済状態はさまざまかもしれないが、たずねた何人かの学生は毎日、学内の食堂を利用するのは難しいらしい。昼時にいったん自宅にもどり自炊したものを食べるか、弁当を持参するかが多いとのこと。すくなくとも周囲の同級生はこのほうが多いという。

背景として保護者の方々からの仕送りがふんだんにあるわけではなさそうで、日ごろの工面がたいへんな状況のよう。学生たちの多くは奨学金を借りているようす。節約がふつうらしい。

授業料と生活費の両方をすべて満たすうえで、以前のわたしの学生生活4年間のように親のすねだのみというわけにはいかないらしい。以前とくらべると講義など学習のノルマがシビアになり、バイトに割ける時間も以前ほどはなさそう。キャンパスのあちらこちらで学生たちが勉強にいそしむすがたをよくみる。これも以前とちがう。いたってまじめでおとなしい。

あきらかにちがう。以前となにが変ったのか。

高騰した授業料と住居費

 大きく変ったのは授業料と住居費だろう。

すくなくとも授業料は国公立で3~4倍になった。当時も授業料の減免や各種の条件のととのった奨学金制度はあったが、いまは利用できる学生はいろいろな条件がくわわり限定的に感じる。

住居費のほうはどうだろう。たしかに住環境はごくまともになってきた。このあたり一帯は学生むけのひとりぐらしむけのアパートやマンションがバブル期以降に雨後のたけのこのようにふえ、それをリノベーションした物件が多い。

いまもあらたなものの建設がつづいている。地方の中核市のなかでは家賃は高めらしい。わたしのころと住環境が大きくちがう。住居費をくらべるとおよそ2~3倍に。

おわりに

 若い学生さんたちは、わたしが学生・院生当時のこのクニのバブルのようすを経験していない。就職担当の教授のへやのまえに上場企業の人事担当者がずらりとならぶようすを横目でながめていた。典型的な「売り手市場」だった。

その話を学生さんたちに話したが目を丸くして信じられないふうだった。

そういえばいつのまにかやらなくなったこと、できなくなったことがいろいろとある。たしかに日ごろは外食をまったくしないし、自炊と手づくり弁当で昼をすませている。ましてや自販機はここ20年ほどほぼつかっていない。

コンビニなどはもっぱら荷物受けとりでやむなく利用するぐらい。その頻度すら1年に1,2度あるかないかぐらい。目のまえの店の品ぞろえの変化についていけないほど。ふりかえるとたしかにいつのまにかわたしも節約がふつうになっている。

いったいどんなヒトビトがここの商品を買えるのだろう。

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