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スピリチュアルとサイエンスとフィクションと八王子ジャンクション

 今回は少しスピリチュアルについて書いていくので、部屋を明るくして、離れて見てね。

 みんなはスピリチュアルと聞いてなにを思うだろう。占い、江原さん、ヒーリング、チャクラ、シックスセンス、前世、オーラ、宇宙、怪しい、運気、風水、ヒーリング、セラピー、江原さん、宗教、霊魂、江原さん、精神etc.....色々と思いうかぶ。


 スピリチュアルと聞くとなんだか胡散臭いと感じる人も多いと思う。俺もその1人であることは間違いないのだけれど、それと同時にひとつの仮説がある。

「スピリチュアルとは未来のサイエンスだ。」

 昔の人が、流行病や奇妙な現象を「妖怪」のせいにしたように、今ではまだ科学で解明できていないものをスピリチュアルと呼んでいるんではなかろうか。目に見えないものに名前をつけないと人間は不安なのだ。
 量子力学という目には見えないミクロの世界を調べていくと、だんだんと宇宙の謎に触れていく。その中でなにか神のような存在がいるとしか思えない現象を見ていく内にスピリチュアルな方へ行ってしまう科学者も割と多いんですよ、と誰かが言っていたのをなにかで読んだことがある。そしてその気持ちはなんだかわかる。
 てるてる坊主を作って子どもが願った時、目には見えない「願い」の分子やら素粒子やらという物質が実は出ていて、遠足の日の雨雲を無くしているのかもしれない。しかもその願いの物質「てるてる粒子」は、実は光よりもニュートリノよりも速い物質で、時間を超えて過去の天気も良くしている、なんてこともあるかも。そんな事が発見されて、当たり前になっている未来の子たちには、今の僕らは原始人のように見えているんだろうな。

 子どもの頃から、トイレでおしっこをした時に、「この水、さっきまで俺だったよな」と毎回思う。その場で試しにトイレに唾を吐く。これも口の中から空気に触れて、体から離れた瞬間に俺じゃなくなるのか?さっきまで俺だったのに。いやいや、そもそも体ん中には色んな細菌もいるぞ。それはどうなんだ。自分が自分と思っている範囲なんて実は全然自分じゃないのかもしれない。そうなってくると、自分の境目がだんだんぼやけてきて、個じゃなくて私たちみんなで地球ですね、ミミズだって、おけらだって、あめんぼだって全部おにぎりですねってことになってくるだろうが、おむすびまん。
 でも本当、人間の体だって、ちっちゃい原子や分子やらの粒がくっついてできてるから、本当によーーーーーーーーーく見たらすき間だらけらしい。つぶつぶ、人間。みんな、粒の集合体、おむすびまんってことよ。

 占いについてはどうだろう。あれも統計学だって言うけれど、たしかにそうなのかもしれないけれど、それはちゃんとした統計なんだろうか。マイナンバー制度が導入されてすぐに、本屋に行ったら「マイナンバー占い」という本が積まれていた。うそん。それは統計が浅すぎるだろ〜。自分のページを開こうとしたけれど、自分のマイナンバーなんか覚えてるわけがなかった。でもみんな占いが好きだよね。特に女性は大好きだ。
 俺が20か21歳の頃、当時付き合っていた子に連れてかれて手相占いに行ったことがある。だいぶ行列に並んだから有名な所だったんだろう。並び終えて早速手相を見てもらうと「あんた、なに考えてるかわからないってよく言われるでしょ」と、なんとかの母だか知らないが、確実に誰かの母である年齢の占い師に言われた。感情線が両手ともに2本ずつあると。これは珍しい、常に感情が2つある、もしくはそれくらいエネルギーが強いらしい。でも一方で他人からは何考えてるかわかりにくいらしい。
 横で一緒に聞いている彼女が深くうなづいている。俺は近い人からも何考えてるかわからないらしい。まぁでもみんなそうだろ。その言葉で彼女はすっかりこのおばさんを信じきっている。しかし次にその占い師が
「あなたは27歳の時に運命の人と出会うね」
と言い放った。
 おいおい。嘘だろう。おばさん。横に彼女いるのよ。見ればわかるじゃん、友達ではないって。ふざけんなよ。案の定、その占いの館を出てから彼女の機嫌が悪い。ちょっと待てちょっと待て。いや、連れて来られて、なんだかよくわからない手のしわを、知らないしわだらけのおばさんに見られて、しかもお金も払って、彼女も機嫌悪くなって…。こんな事なら占いに行った方がいいかどうか、占ってから来たらよかったよ、てへへ。ぺろぺろ。にゃーん。その子とは結局、すぐに別れてしまった。

 とまぁ、そこまで含めて占いを楽しんでしまっている自分も、いないと言ったら嘘になるわけで。信じてはいなくても興味がある。きっとみんなそんな感じなんではなかろうか。それに社長とか歌舞伎役者とか、お抱えの占い師がみんないるって聞くもんな。占いもこの世界で必要不可欠なものなのかもしれない。
 でも占いに頼るしかないって人はどうかと思う。昔バイト先の人が、同棲している彼氏が中々結婚してくれないと悩んでいた。しかも聞いていくと、どうやら彼氏が浮気をしているらしい。そこでその人は、占い師なのか霊媒師なのかわからないが、その類の人に言ってその彼氏と浮気相手を呪ってもらったそうだ。今の時代呪うなんて事を人に頼んでやってもらう事があるとは。しかもよくよく聞くと、その占い師というのがネットで頼める人だと言うのだ。どういう仕組みか聞くと、「この人を呪ってください」と依頼のメールを送り、4000円振り込む。すると、その人から「今、呪いました〜。」とメールが返ってくるそうだ。まだコロナが流行る前の話だ。こんな事がリモートで行われていて驚愕した。
「いやいや、それ騙されてない?」
「いいんです、わかってます。でもいいんです。これで私は心がすっきりしたんでいいんです。私はこの人に感謝してるんです。」
って言うしまぁ本人がそれで心が軽くなるなら、顔も見ることのできない詐欺まがい呪い師も、存在価値があるのか。

 うちの母親も占いやらスピリチュアルなことに目がない。
 何年か前、「じょな、これ肌身離さず持ってなさい」と言われて謎の小さい和紙のような紙切れを渡された。ワンピースのビブルカードのように渡してきたその紙切れには、3文字の謎の読めない字のような、記号のようなものが書かれていた。「え、怖い。なにこれ」と聞くと、縄文時代の文字で「"あうわ"」と書いてあるとのこと。意味はわからないが、調べるとヲシテ文字というものだそう。どこでそんなものを手に入れてきたんだ。(一応、うちは無宗教で、母親も騙されてるとかそういう感じではなさそうだった。安心してください。)
 縄文時代は中々すごい時代で、ほとんど戦争がなかったという説もある。しかもその期間が約、1万年間。そんな平和の時代のなにかヒントが書いてあるようなその紙を、捨てる事も怖くてできないので今でも財布に入れてある。
 
 何年か前、母親は、一人で沖縄旅行に行った事もあった。向こうに知り合いがいるらしい。その女性は沖縄で「かみんちゅ」と呼ばれる人だそうだ。「うみんちゅ」ならぬ「かみんちゅ」。もちろん、「紙人」ではなく「神人」でかみんちゅだ。なんだ、かみんちゅって。ふざけてんのか。
 沖縄の「ユタ」と呼ばれる人たちは聞いた事があったが、かみんちゅはまたユタとは少し違うらしい。その人が言うには、かみんちゅは、神様のような人というわけではなく、神の使い、神のパシリのようなもので、結構しんどいそうだ。きっといろんな感覚が過敏で感じやすいから生きづらいのかもしれない。
 そのかみんちゅは、占いというか霊視のようなこともできるみたいで母親が勝手に家族の名前と生年月日を見せて占ってもらったそうだ。もちろん、かみんちゅは我々家族とは会った事がないし、なにも知らない。
 親父と自分の関係がどうだとか言われて「当たってる」、兄貴については「この子は自由な人だからもうほっといても大丈夫。好きに生きさせても大丈夫よ〜」だとか言われて、また「当たってる、たしかにそうだ」と、母は腑に落ちる言葉をたくさん言われたそうだ。(占いってのは「当たってる、どうしてわかるの!?」を感じたくてみんなやっているようなものだよな。)
 もちろん、俺も見てもらったそうだ。俺の名前と生年月日を見せると、かみんちゅは一言。
「あ、この子はね、かみんちゅ。」

「え?」

「うん、この子かみんちゅ、かみんちゅ。」

「いや、そんな軽く、、、え?うちの下の子、かみんちゅなの?」

「うん、かみんちゅかみんちゅ。」
2回言うな続けて。かみんちゅかみんちゅって軽く言うな。いやいや!え!?俺、かみんちゅなの!?かみんちゅが言うには俺はかみんちゅらしい。知らないところで勝手に、かみんちゅにかみんちゅ認定されていた。
「この子はかみんちゅだから、色々と苦労すると思うよ〜。うん、大変な人生だけど大丈夫。大丈夫だからほっといて大丈夫。」
「おい、なにが大丈夫なんだ。具体的に教えろ。」とも、その場に俺はいないからもちろん聞けない。

「だからあんた、かみんちゅらしいよ〜。がんばってね〜。あははは」と母親に言われた。なにを笑ってんだよ他人事だと思って。たにんちゅ事だと思いやがって。

 俺は芸人でも、げいんちゅでもなく、かみんちゅだったみたいです。これから苦労することや辛い事があるかもしれないけど、大丈夫。本当にそうなったら、そんな時はメールして4000円振り込んでそのかみんちゅを呪ってもらうので。

 読んでくれてありがとうございます。

 SFは(Sサイエンス・Fフィクション)の略だけど、SF(Sスピリチュアル・Fフィクション)でもあるという話と、洋画のエンドロールの最後の最後に翻訳家の名前を出されると急に冷めるのは僕だけでしょうか。というお話でした。


日本語訳: マックス江原

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