見出し画像

台湾会社員の給与目安をほどほどに解説

以前の記事で台湾会社員の年収/手取り表を作ったが、そこそこの閲覧数があった。為替レートも円安・台湾元高が進んだので少しアップデートする。
(徹底的にはやらんと宣言)

年収/手取り比較表(2023.06版)

年収/手取り比較表(2023.06版) *為替は全てNT$=4.5円で計算

少し説明

  • 日台どちらも独身、子供なしを前提

  • オレンジ塗のところは日本円

  • A、B、C行は日本で働いていることを前提のA.日本円年収、B.日本の税金・社会保険料等を差し引いた手取り比率、C.日本円手取り

  • 数字の行(横並び)はC.日本とD.台湾の手取りを為替を基準に同水準として比べている(つまりC2の手取り163万円=D2の36万台湾元)

  • G、H行は「暮らし向き」を考慮するためにビックマック指数を物価指数として準用 (日本100に対して台湾89)

  • 概算なので少しズレはあると思う

これからわかることは、日本と台湾だと台湾のほうが圧倒的に手取り比率が高いということ。日本の年収300万円の人は20%引かれるのに対して、手取り同水準比較で台湾だと5%程度しか引かれない。台湾で20%引かれるくらい稼ぐと年収422万元(約1900万円)である。

G,Hはビックマック指数を使用したが、僕の感覚値としてもかなり近いと思う。台北なのか台湾全体なのか、東京なのか日本全体なのかで差はあるがどちらも全体で。

例えば日本から台湾に転職した場合を想定する。
(下の表) ①例えば台湾で年収101万元の人は手取り95万元だが、この手取りに物価指数を加味すると日本で手取り479万円、つまりは日本の年収618万円と生活水準が同等ともいえる。ただし、この落とし穴は台湾で日本食や日本と同じ質を求めると出費は日本よりも高くなること。

例①台湾で年収101万元の場合

例えば台湾から日本に転職する場合を想定したとする。
(下の表) ②台湾で年収181万元である場合、直接為替換算(台湾元=4.5円)すると約815万円ではあるが、その金額をベースに年収交渉すると実質的に待遇が急激に悪化することになる。

この例だと手取りベース比較で日本の年収1,000万円で同等、物価指数を考慮して年収1,124万円で生活水準が同等となる計算。そこからプレミアムを乗せられるかは腕次第。近年の日本は増税の波が止まらないこと、通貨リスクが大きいことも考慮にいれたほうがいい。

例②台湾で年収181万元の場合

台湾に住んでいる人達の教育水準・人材の質はアジア各国の中でも高水準だと思う。一方で、台湾の所得水準が低いために台湾でキャリアを積んだ人達が日本(もしくは他の海外)で転職する際に安く買い叩かれてしまいがちであったというのが問題点として挙げられるが、国を跨ぐ転職の場合はヘッドハンターや人事は台湾の事情など知るはずもないので単純に現在の年収をベースに話を進めようとする。

そこは台湾に住む者としてヘッドハンターや人事を教育するつもりで根拠を持って理論的に伝えれば埋まる溝であると思うし、本当にそのポジションに対して必要な能力があると認めてもらえるのであればプレミアム乗せても払ってくれる会社は沢山あると思う。

ちなみに僕は台湾系の食事よりも日本食か洋食好みであるため物価指数はビックマック指数を使い、日本100に対して台湾89の物価でそんなに違和感なかったが、別の指数を使うのもありだ。日本100に対して台湾70であれば上の表もまた大きく変わる。

台湾全体と各セクターで異なる

台湾全体、主に台湾人だと平均年収75万元くらい、中央値60万元くらいだが、業界や地域、コミュニティーなどで異なる。

  • 台北の子育て世代だと世帯年収120万~300万元以上が多い印象

  • 欧米外資系企業の中間管理職は個人年収120万~250万元のレンジに7~8割あてはまる気がする

  • MBA卒業生の上位7%は個人年収500万元以上かもしれない(これは会社員というより経営者も含む)

  • 新竹にハイテク企業が集中しているため、新竹とその隣の苗栗はベットタウンとして台北よりも高所得者が多いらしい

  • ローカル系大手は欧米系や日系を大きく上回る企業が存在する

  • ローカル系だと半導体、エレクトロニクス、IT関連が高年収業界

  • コロナ期間中は海運が強かったという噂(ボーナス40か月分とか)


台湾全体


運輸


電力エネルギー関連


製造業 - エレクトロニクス関連

経費の扱い

すこしズレるが、在台湾企業は日本と経費の扱いが異なることがある。物価は上昇し、給料が低い台湾ではあるが、会社員は意外と自分の財布から出ていくものが少なかったりもする。経費の扱いは日本企業よりも広い印象。

多くの会社で2,400元を食事代として給料振り込みに組み込んでいるが、これは所得税対策が主な目的。1日100元、24日分が上限だったと思う。2,400元に所得税がかからないためであり、本当の食事代が支給されているわけではない。

例えば、上記のランチ代とは別に、同市内の顧客訪問した際のランチ代(ひとりで食べても)は出張経費(交通費に含めている)として落とせる。なのでランチの時間に絡めて11時、14時の面談が増える。これは台湾内でも会社によって取扱いに差があるかも。

顧客との接待は日本企業でもあたりまえだが、社内の飲み会もチームビルディング経費としていける。上司、先輩、部下、後輩の間で奢り奢られ紛争は起きない。これも会社によって差はあるかも。

うちの会社ではないが、ある日本と台湾の合弁企業では、台湾人社員が日本出張から帰るとお土産を日本人上司に買ってくるが、しっかり経費申請してくるとのこと。日本人上司としては「自分で経費の承認をすることになるし、だったらお土産買ってこなくていいのに」と漏らしていた。

台湾の忘年会「尾牙」では、上司の個人の財布から社員にお金を配る(というか上司は奪わられる)風習があるが。日系企業の駐在員は着任早々これの洗礼を受けることになる。ある企業では「取られるとわかっているからといって現金を財布にいれないのはNG。あの場で金出さないと従業員からの反発を喰らう。もうこれは従業員のためのパフォーマンスだから先に会社行事の経費として用意して財布に仕込んで配っている」とのこと。

台湾における外国人は少し異なることがある

業界や職種、会社とは別に、外国人は別枠であることがある。これを中途半端に触れると外国人差別だとかって話になりそうだが、とりあえずそういう属性の人が多い業種があったりする。ビザの条件だったり、相場だったり。。

参考文献

ビッグマック指数(円ベース基準) 1
薪情平臺
109年工業及服務業受僱員工全年總薪資中位數及分布統計結果
【早見表付】年収200万円~1億円の手取り|計算式と簡易計算方法も解説





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?