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渡米に役立つトラブル事例-ESTA、入国関連-

 2023年の年末年始は、アメリカへ出かけられる方も多いのではないでしょうか?
 コロナ前の出国者数には程遠いですが、依然としてアメリカが人気の渡航地であることに変わりはありません(法務省出入国在留管理庁の速報値より)。久しぶりの、或いは初めての海外…気になることや心配なこともあるかと思います。

 JINKEN.COMでは、代表弁護士が書き続けているブログがあります。代表の鈴木弁護士は、高校時に単身渡米し、20年以上カリフォルニア州弁護士として活躍している日本人です。現在はサンフランシスコ在住です。読者からの質問をもとに、アメリカ社会で起こる様々な出来事や弁護士としての実務を通じて、自分自身が感じたことを率直にオープンにしているのが特徴です。

 今回は、その弁護士ブログの中から、年末年始のアメリカ旅行に役立つ、アメリカ入国の際に見られるトラブルについて、いくつかご紹介します。原文は長文ですので、下記に要約を掲載します。オリジナルのブログへは、リンクからお進みください。

 下記の弁護士ブログからの情報をもとに、渡米の際に役立てていただければ幸いです。

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1. そもそもESTAが登録できない

ESTA認証不許可への対応

 アメリカにビザなしで入国する場合に登録するESTA。この登録申請が不許可となる場合がある。不許可になった理由は開示されないため、理由が単純なミスと思われるならば、オンラインで修正をかけてみるのが良い。理由が分からない場合は、ビザを申請した方が良い。とはいえ、仮に過去の犯罪歴をなかったことにするといった、虚偽の情報を登録していた場合は、アメリカの移民法上違反行為にあたるので、刑事事件と移民法を両方できる弁護士への相談を勧める。


ESTAで入国ができない場合

 ESTAを利用できないケースは様々あり、以前の渡米で入国拒否された、強制送還された、ビザ発給を拒否された、などの場合があげられる。特に、虚偽申告で入国拒否された場合は、移民法に対する違反行為があったとされ、次回以降の渡米にはビザを取得しないと入国できない。基本的にESTAが通らなければ、ビザの申請が必要だが、ビザ申請でも、犯罪歴がある場合は注意が必要。資料等を揃え、その経過や罪状の様子を示せるようにした方が良い。


2. ESTA登録済み、入国審査の内容は

米国入国審査-判断基準

 アメリカに入国するには、実質的に2度の入国審査を通る必要がある。まずはESTA登録か、ビザ申請。2度目は入国の際の入国審査で、ここで入国拒否になることもある。その判断基準として、APIS(飛行機到着前に収集した搭乗者情報)やIBIS(追加の二次的審査に呼ぶ為の抽出元となる情報)、FBIの犯罪データベースなどがある。そのため、特に過去の犯罪歴や移民法上のトラブルを持つ場合は、申告を正確に行うことが重要。


3. 久しぶりの渡米で別室審査

米国入国-2次審査

 渡米する度に、別室審査(二次審査)になるのは、過去の入国で何らかの問題があった場合が多い。出入国管理と税関検査は、税関国境管理局(CBP、移民行政機関の一部)が管轄しているので、例えば、ビザや入国目的、犯罪歴、違法物品の持ち込みといった、記録が影響している可能性は大。必要に応じて、オンラインでクレームを入れられるので、正確な状況と二次検査は不要である旨を伝え続けることで、別室審査を回避できる場合もある。


4. 前回の渡米でのトラブルが未解決の場合

訪米中の交通違反

 アメリカ旅行中に交通違反し、当局より後日連絡すると言われたが音沙汰無し。理由は、警察が事件化しない場合と、裁判所の通知が郵便事情で届かない場合の2つ。まずは、管轄の警察や裁判所でこの件が事件化されているのかを確かめる。事件化されていなければこれ以上することはないが、裁判になっている場合は対応が必要。もし勾引状が出ていた場合は、現地の弁護士に委任するのが良い。次回の渡米までに解決させておくことがトラブル回避のポイントになる。


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5. 日本食の持ち込みの可否

アメリカ入国と税関検査

 アメリカに入国の際の税関検査が強化されている。食品については多くの制限があり、野菜、果物等は持ち込まない方が良いが、危険性がないことが明らかでも、必ず申告して検査を受けることが必要。また、精肉は基本的に禁止されている。加工肉も多くの場合禁止されていると考えておけば間違いない。そのほかの食品は個人使用の範囲であれば持ち込めるが、申告せずにいるのはトラブルの元なので、持ち込み自体をよく考えた方が良い。


渡米時の税関検査 柿の種にもご注意!

 アメリカに入国の際、持ち込む食品への税関検査について。近年アメリカは肉由来製品の輸入を厳しくしており、肉のエキスが入っているだけで、該当製品の輸入を禁止している。但しこれは、アメリカだけでなく、かなり多くの国々でも禁止となっているのが現状。税関調査官は、禁止成分を読むためのチャートを持っていて、成分表に肉エキスなどと書かれていれば、表示が英語でなくても輸入禁止措置対象になる。勿論例外はあるが限定的。


6. 女性の一人旅、注意すべきポイント

女性の渡米と入国審査-強制送還!?

 最近、アメリカに入国する外国人女性が入国管理に止められ、場合によっては強制送還になった方からの相談が複数。理由は売春目的と疑われる為(売春目的の入国は移民法上禁止)。日本からの入国でも、単に観光目的なのに女性一人または二人で入国しようとすると、あらぬ疑いをかけられるケースが発生。グループ旅行に参加するのが一番安全だが、実質的には滞在の詳細を明らかにできること、形式的にも化粧や服装を適切に、疑われる物は一切持たないことなどの対策をしてからの渡米が有効。


7. 親子でアメリカ旅行、思わぬ落とし穴

子どもとアメリカ旅行-注意点は?

 子連れでアメリカ旅行する際、出入国での注意点として、連れ去り事例と疑われないようにすること。疑いが晴れるまでは留め置かれる。両親と子どもの一般的な旅行なら問題ないが、どちらか片親、或いは、第三者が子どもを連れ歩く場合は特に注意が必要。対策としては、もう片方の親にいつでも連絡がつく状態であることや、離婚しているなら、離婚成立時の決定事項の写しを持っているなど、この状況を証明する書類の類があるとよい。


8. 妊娠している場合の渡米

妊娠中のアメリカ旅行

 アメリカ国内での出生子の国籍は、属地主義と属人主義の併用で決定する。つまり、外国人でもアメリカ国内で出産すると、アメリカ国籍を取得できる。そのため、妊娠中に渡米すると入国拒否や強制送還の可能性があり、不法移民には国籍付与を禁止する動きもある。妊娠中に渡米するなら、医療保険や結婚証明、診断書など、入国審査で不当な扱いを受けずに済むような然るべき証明書類を携行し、いつでも提示できるようにご準備を。


9. ペットも連れて出入国

ペットとアメリカ入国-その注意点

 アメリカにペット連れの入国(帰国の場合も含む)は注意が必要。犬と猫は、狂犬病の予防接種の証明書があれば(猫は不要)基本的に可能。げっ歯類、猿、鳥については持ち込み禁止、或いは禁止の種類があるので必ず確認を。その他うさぎ、ハムスター、フェレット等は病気の場合入国拒否の可能性があり、治療等をする必要がある。いずれにせよ、検疫には時間がかかる場合もあるので、乗り継ぎも含め、旅程はかなり余裕をもって組む方が良い。


10. 旅行とイベント参加は入国の目的が違う?!

イベント参加に向けたビザ

 アメリカで短期間、イベントに参加するのに特別なビザが必要か否かは、渡航後の状況による。ビザなし(ESTAのみ取得)、又はB-1ビザの場合は、短期間、確定的な日程で、自分に関連する活動を行い、アメリカ国内で報酬を得ないことを必要条件として入国できる。以上の条件を満たしていれば、契約交渉や会議、スポーツへの参加、ビジネスの視察、宗教関連の一時的な活動などもできる。この時、どんな少額でも報酬を受け取るなら、別途、就労ビザの申請が必要なので注意。


11. 旅行が長引きそうなら、こんな手も

Bビザの活用

 Bビザの活用法。短期の観光ならESTAが一般的だが、ESTAには入国後に他のビザに変更できない、滞在を90日以上延長できない、犯罪歴や移民法違反があれば取得不可などの制約がある。この場合は、Bビザを使用せざるを得ない。この他、ビジネスでの駐在や初期投資、商談、或いは治療など、ある程度まとまった期間の滞在が必要な場合に有効。また、他の就労ビザへの変更もできるので、予定を自在に考えられるメリットはある。

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