ルッキズムとの戦い。〜Busaiku Lives Matter〜

ライターの北林治朗です。

皆さんは「ルッキズム」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

僕の読者だったら説明不要かもしれないけど、一応説明しておくとルッキズムとは「人を容姿の美醜によって評価し差別する考え方」である。

現代のSNS社会においては「キーワード」となる言葉であり、若者を中心として社会全体に大きな影響を与えている考え方だ。

「バエるかバエないか、それが問題だ」

そんな言葉が生まれるくらい、「SNSに良く映るかどうか」は現代人にとって重要だ。SNSに上げる写真がいまいちだからという理由で、高額な美容整形に注ぎ込む人もいると言われるほどである。

見た目が良いことは悪いことではない。考え方も人それぞれだろう。だが「外見至上主義」もここまで来ると、ある意味で現代社会に根深く潜む「病理」であると言ってもいいのではないだろうか。

今日は、ルッキズムに対する僕の考えを述べていきたいと思う。

「治朗らしいな」

そう思う人もいるかもしれない。

「ガチ? そこ行っちゃう? 行っちゃう感じ?」

そう驚く人もいるかもしれない。

と言うのも、見た目に関する話題というのは「めちゃめちゃセンシティブな話題」だからだ。

間違いなく色んな反応があると思うけど、いずれにしても「北林がどう考えているか」気になってる人は多いと思う。

「恋愛工学を学んできた者」として、また「一個人」として、この機会に僕のスタンスを表明しておきたい。

僕の原体験。

意外に思うかもしれないけど、僕は「差別」というものへの「原体験」を持っている。

今まで誰にも話したことがなかったけど、「ルッキズム」を語る上で避けては通れないので、はじめに僕の経験談を話しておこう。

それは、とある飲みの席でのことだった。

当時の僕は、イケメンの友人と良く飲み歩いていた。その友人はめちゃくちゃモテていたし、僕も恋愛工学にどっぷりと浸かっている時期だったので、女を呼んで飲むことも多かった。まあ、良い思いをさせてもらった時期だと思うw

その日の飲みも、イケメンと一緒だった。いつも通り、イケメンがどっかから連れてきた女もいる。初めて会う子たちだったんだけど、まあまあ可愛いかったんだよね。

「さすがイケメンw やっぱメリットあるわw」

そんな風に呑気に思っていたものだった。

・・この時までは。

初対面で若干の緊張感はあったものの、トークが始まるとすぐに僕らは打ち解けた。僕が会話を回し、イケメンにパスしたり、女に喋らせたり、渾身のツッコミで笑いをとったりなどして、僕を中心に場は盛り上がって行った。

ーーこのまま朝まで飲み明かそう。

そんなムードで、僕らはギンギンに気持ちよくなっていた。美味い酒と、イケてる仲間たち。最高の時間だった。

すると、女たちがイケメンをイジリはじめた。イケメンも同じように、女たちをイジリ始めた。

「お、距離縮め始めたなw やってんな〜w」

そう思いながら僕が観察していると、イケメンにイジられて、女たちは嬉しそうにキャッキャとしていた。お互いに許し合っている証拠で、かなり良い感じだ。

そこで、僕もタイミングをみてイケメンに被せにいった。イジリに「参加」したんだよね。お笑い用語で「天丼」って言うんだけど、僕は合コン用にお笑いトークの勉強もしてたから、ここでスキル使ったわけ。

ここまでは良くある光景だと思う。

ところが。

そこからが地獄だった。

僕がイケメンと同じことを言った瞬間。

女子たちが僕のこと「睨んだ」んだよね。

「睨んだ」はちょっと盛ったかもしれんけどw、イケメンがイジった時とはあからさまに態度が変わったのだ。

これって、おかしくない?

だってイケメンと僕とで「全く同じこと」言っているわけよ?

なんなら一言一句同じだったかもしれない。

But, イケメンが言った時には「嬉しそう」にして、僕が言った時には「キレ気味」なんよ。

ちゃんとお笑いの教科書通りにやったからスベったわけでもない。「スベッたことにされた」のである。

場の空気が一瞬にして白け切った。しばらく沈黙があったあと、イケメンが別の話題を切り出したことで、改めてトークが再開された。

正直、その瞬間は僕も何が起こったのか理解できなかったし、なんて言って良いのかもわからなかった。だから何事もなかったふりを装ってた。

でも、段々「怒り」が湧いて来たんだよね。

舐めてんのかこの女ども? 僕をコケにしやがって。

言っとくけど、僕は地元ではめっちゃ陽キャだったし、喧嘩強かったからな?

・・そう思ったけど心の声に留めておいた。

その場の空気を壊さないために黙ってた僕を褒めて欲しいw

でも、そこから飲みが楽しくなくなった。

言ったら「イジリ」って僕の真骨頂みたいな所あるんだけど、全然僕の持ち味を出せなくなって、ガチでつまらんくなった。

僕が不機嫌そうにしているのに、「僕以外のメンバーだけで」楽しそうにしてるのもムカついたよね。

僕は酒好きなんだけど、この日は悪酔いしそうだったから先に抜け出すことにした。

・・

こうして、僕のプライドはズタズタにされたのである。

夜の帰り道。

一人歩きながら悲しみに沈む僕。

そんな僕を、月が優しく照らしていた。

蒼白く欠けたその日の月は、傷ついた僕の心のメタファーだったのかもしれない。

「イケメンだけが特別扱いされる」

「スタイルのいい男だけが特別扱いされる」

振り返れば、これが「差別というもの」に対する僕の「原体験」だったんだと思う。

同じような経験をしたことのある男は多いと思うから、共感してもらえると思う。

ルッキズムとの出会い。

そして、出会いである。

「ルッキズム」という言葉を聞いた時は衝撃的だった。

それは、何かの本か、ネットニュースだったかもしれない。

聞いた瞬間にビビッと来ちゃったんだよね。

いや僕電気クラゲに刺されたんか!ってツッコミたくなるぐらい、僕の口腔からケツ穴まで電流が走ったんよ。

体毛ガビーン!産毛も白髪もガビーン!なったんよね。

たまにそういうことってあると思うんだけど、「初めて聞くワード」なのに「聞いた瞬間に全ての意味を理解する」ことってあるよね。

僕の場合、ルッキズムという言葉がまさにソレだった。

初見にも関わらず、「ルッキズム」という字面だけで全てを悟ったんだよね。なんなら「ルッキ」ぐらいで、もうわかったからねw

あー、そういうことね。僕が何となく感じていたことって、すでに「言語化」され「概念化」されていたんやなって。

「イケメンだけが特別扱いされる」のは、やはり「おかしい」ことなのだ。

僕だけじゃなくて多くの人が同じことを感じたんだと思う。だからこそ、これだけ多くの人を議論に巻き込む社会問題になったんだろう。

「言葉を定義」することで、「概念」「可視化」され、僕らはお互いに議論できるようになる。ルッキズムという言葉に出会ってから、僕はこの問題について深く考えるようになっていった。

差別の無い社会へ。

さて、読者の皆さんはどう感じただろうか?

「イケメンが特別扱いされるなんて当たり前だろw 嫉妬キモい」

そう思う人もいるかもしれないし、その気持ちも良くわかる。

でも、「当たり前」だと思っていることが「差別」である可能性もあるよね? 

むしろ、当たり前と思われているからこそ「危険度が高い」まである。

その証拠に、過剰なルッキズムで病んでしまう人がいる現実を見れば、僕の言っていることが「言い過ぎではない」ことをわかってもらえると思う。

「Busaiku Lives Matter」という言葉は、以下の記事から引用させてもらった。

https://note.com/yamapose/n/n3288aaa38171

これの何がすごいって、「BlackとBusaikuがかかっている」ところなんだよね。

ブサイクリブマターってめっちゃ言いやすいし、今話題のBLMと掛け合わせることで、「深刻さが理解されやすくなる」んだよね。

難しく考えなくてもいいんよ。側から見たら全然可愛い子が、ルッキズムの風潮のせいで自信を持てずに病んでる姿とか見たくないっしょ?

差別って気づかない日常に潜んでいるから怖い。だからこそ声を上げることってめちゃ大事。

皆さんも一緒に、差別のない世の中を作っていきましょう!

ではまた。

バイバイ。


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