数値化×数値化×数値化
本日は、ビジネス資料作成における数値化の話です。
「ソリューション事業を展開します」
「社内工場の業務効率化を実現します」
このような記載を社内プレゼンや企画書でしばしば見かけますが・・・これだけではまだただのスローガンです。
もちろん、スローガンも重要ですし、士気やマインドも大切なことに異論はありません。しかし、プレゼン資料の読み手は、身内や社内だけでなく、株主、投資家、取引先と多岐にわたります。そのような相手も一定程度、客観的に理解してもらい、認識を合わせるためには、やはり「数値」が必要でしょう。
数値化と聞いて難しいと感じるかもしれませんが、ご安心ください。
本日は数値化のテクニックを簡単かつ、よくある具体例とそれに対する数値化表現の改善例を明示しながら解説していきます。
それでは、はじめましょう
1|数値化のメリット
そもそも、資料作成において数値化を行うメリットは、個人的には以下の3点と考えています。
①読み手と共通の認識でコミュニケーションができる
②認識間違いを未然に防ぐことができる
③相手の行動につながる
この3つです。
例えば「この電話料金プランは"すごくお得"なので、オススメです」と言われたとき、あなたはどう感じますか?
具体的にどのくらいお得なのか、何円安いのか、正直わからないですよね。
人によっては、月額1000円くらいを想像する人もいれば、月額5000円でも通話品質がすごくいいならお得だと考える人だっているかもしれません。
しかし、数字を使って「このプランは月額5000円で通話し放題なので、お得です」と言われたらどうでしょうか?
これなら、自分にとってお得なのかどうなのか具体的な判断ができます。
(※基本的に5000円は、誰にとっても5000円です)
もちろん、実際には「月額5000円なら某Rモバイルの方が安いかも」と考える人もいるでしょうし「自分が使っている携帯料金が今月額8000円なので、安い」と感じる人も、色々な方がいるでしょう。
でも、ここで重要なのは、数字を使って会話することで、相手がきちんと判断が出来、次の要素の検討の段階に進んでいるということが大切なのです。
数字とは、誰もが客観的に会話ができる超具体化ツールなのです。
2|「金額」の数値化がビジネスの基本である
携帯料金の話に限らず、会社の中でも「社内改革だ!」「イノベーションだ!」と連呼するものの、一向に社内改革が進まないことがあります。話のスケールは違いますが、前項の例と同じで、多くの企業で、行動や意識決定につながらないのは、改革やイノベーションを具体的に数値化出来ていないことが一つの原因です。
ということで、金額による数値化の練習をしてみましょう。
IT業界の中期計画書や営業キックオフ資料には、こういった表現が沢山出てきます・・・・まあ、私もそんなIT業界の中にいるのですが・・・何となく響きはいいですが、ハッキリ言って何の判断もしようがないですし、行動にもつながりません(笑)
というわけで、以下のように直しましょう。
ビジネス資料における数値化対象の基本は金額(売上/利益)と覚えてください。
3|When(いつ、日付)を数値化せよ
金額の数値化に慣れてきたら、さらに他の要素も数値化してみましょう。
先ほどの例であれば、500億円をどんな事業で達成するのか、論理的に、計算式を積み上げていく方法があります。
ただ、文章が少々長く冗長になってしまう点と、経営の上位になればなるほど、細かな計算式には興味がなかったりします。
そこで今度は「期日」を数値化してみましょう!
ビジネスにはすべて納期があります。
来年売上500億円達成するのと50年後に売上500億円達成するのは、まったく違うことですので、期日の数値化もビジネスで必須と考えます。
4|まだまだある、数値化すべきポイント
金額以外にも数値化すべきポイントはまだまだありますので、シーン別に確認していきましょう。
①仕事の時間
システム開発、SEの新人の方によくある報告です。まあ、新人でなくても、自分も含めて大体の人間が、自身の行動を事細かに他人には教えたくないものですが・・・
だからこそ、上司はこんな報告があれば、直ちに数値で把握・確認しなければなりません。
②成果や活動の件数
営業も同様です。ですが、エンジニアやSEと違って、時間よりは件数で表現することが多いようです。
こうして報告してもらえると、
・商談化率がよいのか悪いのか?
・見積依頼の具体的な内容は?
・商談化の他の7件の今後の活動計画は?
と具体的な質問も指示が出来ます。
まあ、売れてないと報告しづらいですけどね(笑)
逆に言えば、数値化できる人は売れるセールスになっていきます。
③継続して積み上げた数値
実績や事例を数値化する際は、継続したり、積み上げたりする数値を意識しましょう。
悪くはないのですが、機能や性能などのスペック数値よりも、積み上げた実績数値を使ってみましょう。
顧客の立場で聞くと全然違いますね。
相手から信頼を得たり、安心してもらう場合、スキルの高さ、成長性、売上や会社の大きさよりも(それらももちろん大切ですが)、積み上げて継続した数値の方が印象に与える効果が高いです。
5|パーセント(割合)の数値化における注意
数値化しやすいものにパーセント表記がありますが、たまに、パーセントの報告や記載を連発する方がいます。
「前年売上120%となりました」
「営業利益率は今年は15%です」
確かに数値化して伝えており具体的でよいのですが、パーセントによる数値化は注意があります。それはパーセント(割合比較)とは、数値と数値の除算した計算で導きだされているという特性です。
どういうことかと言いますと・・・
先ほどの例の"営業利益率15%”の数値の中身を見てみましょう。
はい(笑)A社とB社では同じ営業利益率15%でも、経営状況は天と地の差があります。どう考えてもB社の方が評価されますよね?A社は15%売上伸びたとか言っている場合ではありません。
これらはパーセント表示を見るだけではわからず、その計算式の中身を調べる必要があります。
前年比較も同様です。この例では、営業利益率が7.5%⇒15%に上がっています。営業利益額も減ってはいません。しかし、前年から経営状況が良くなったとは普通は感じないでしょう。売上金額が半分に減っているのですから。
割合ではなく、シンプルに売上/営業利益額/経常利益額の一つ一つの数値を見ることが大切です。
6|まとめ
数値化は、資料作成に限らず、仕事のありとあらゆるシーンで必要なビジネススキルです。また、日ごろから意識して日々訓練することが大切と感じます。
プレゼン資料を作る際はもちろん、常に意識してみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?