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アリアンロッド2E エネミー調整のすすめ

本記事は、「著:菊池たけし/有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチ、株式会社KADOKAWA」が権利を有する「アリアンロッドRPG2E」の二次創作物です。(C)FarEast Amusement Research Co.,Ltd. 2017


1. 初めに

 超個人的な意見なのですが、アリアンロッド2EというゲームはTRPGの中でもエネミー調整が難しい気がします。今となってはよくGMをしていますが、筆者がアリアンロッド2Eで初めてGMをしたのは確か4年前ぐらいで、当時はエネミーデータの調整にヒイヒイ言っていた記憶があります。この記事ではGMやってみたい!という方から、エネミーデータ調整もっと楽にやりたい!といった方に向けて、筆者がいつもボスエネミーを作成する時の定石を紹介していこうと思います。筆者も別にエネミー調整が凄い上手というわけではないので、そこそこ慣れた人の思考を覗き見する程度の期待感でご覧ください。


2. 難易度を決めよう

 エネミーデータを作る前にまず、その前にどれぐらいの難易度の戦闘をしたいか決めておきましょう。RP重視の卓だから戦闘は緩くてもいいや~なのか、ひりつく戦闘をしてギリギリ感を演出したいんだ!なのか。おそらく超緩い戦闘を望む人はこの記事を読んでいないと思うので、この記事では中難度からを基準に書いていこうと思います。ここで難易度の定義を以下の様に設定しておきます。基本的には《ボルテクスアタック》《アフェクション》《リゼントメント》《インタラプト》とGS(ギルドサポート)の蘇生は取得しているものとして考えます。

  • 低難度
    《アフェクション》《インタラプト》+蘇生のいくつか、もしくは全部が残る戦闘

  • 中難度
    《アフェクション》《インタラプト》+蘇生がすべて使用される戦闘

  • 高難度
    《アフェクション》《インタラプト》+蘇生のすべてが使用され、その他フェイトや復活スキル等のリソースが大幅に削られるか戦闘不能者が出る戦闘

  • 超高難度
    《アフェクション》《インタラプト》+蘇生のすべてが使用され、その他フェイトや復活スキル等のリソースが大幅に削られた上で、ほぼ間違いなく戦闘不能者が出る戦闘。もしくはメイジ等の後衛による未行動カバーや起き上がり小法師等の戦法が余儀なくされる戦闘


3. ダメージ感と戦闘の流れをイメージする

 では、ここから具体的なエネミーデータ調整の数字の話になります。まず、ボスエネミーについてですが、一撃のダメージはかなり高くしてしまって問題ないです。というか、ボスの火力が低いと余裕になりすぎて、PCがせっかく取得したスキルに活躍の場を与える事が出来ません。冒頭でも言った通りこのゲームは調整難度が高く、レベルによって調整が結構変わって来ると思うので、ここでは一番遊ばれている(筆者の独自調査)であろうCL3~9の調整について語っていきます。具体的な数字を以下に示します。

3-1. 一撃のダメージ

一撃でウォーリアの【HP】を8割削れる程度。
前提1:前衛のみを攻撃できる単体攻撃。
前提2:CLと同じSLの《プロテクション》の期待値と物理防御力込み
(《プロテクション》のSL上限は5ですから、CL5~9の時はすべてSL5として考えます)

 これを見て高いと思った方もいるかもしれません。ここで、脳内で簡単に戦闘のイメージをしてみましょう。
ラウンド数/アクション   /ウォーリアの残り【HP】
1ラウンド /ボスの攻撃   /2割
1ラウンド /ヒール     /6割
1ラウンド /クイックヒール /9割
2ラウンド /ボスの攻撃   /1割
2ラウンド /ポーション   /2割
2ラウンド /ヒール     /5割
3ラウンド /ボスの攻撃   /5割《アフェクション》
3ラウンド /ポーション   /6割
3ラウンド /ヒール     /9割
……
 簡単計算ですが、まだ《インタラプト》も蘇生も残っているのに3ラウンドが経過して次の攻撃も耐えてしまえそうです。しかも、これはすべての攻撃の対象が同じで、すべてが命中し、かつボスの【行動値】がヒーラーより高いという前提であるにも拘わらずです。
 次にボスが《二回行動》を取得している場合について考えましょう。
ラウンド数/アクション   /ウォーリアの残り【HP】
1ラウンド /ボスの攻撃   /2割
1ラウンド /ヒール     /6割
1ラウンド /クイックヒール /9割
1ラウンド /ボスの攻撃   /1割《二回行動》
2ラウンド /蘇生      /10割
2ラウンド /ボスの攻撃   /2割
2ラウンド /ヒール     /5割
3ラウンド /ポーション   /6割
2ラウンド /ボスの攻撃   /6割《インタラプト》《二回行動》
3ラウンド /ボスの攻撃   /6割《アフェクション》
3ラウンド /ヒール     /9割
3ラウンド/ボスの攻撃    /1割《二回行動》
……
 3ラウンドの間、誰も倒れずに戦えましたね。やはり同じ対象が狙われ続け、すべて命中等の条件下であっても十分戦えてしまうのです。実際にはウォーリアがスキルで耐久力を高めていたり、シーフに回避されたり、数多く存在する《トリビアリスト》による回避や《ガーディアン》等攻撃の被害を一時的に大幅に減少させるスキルを使って、もう少し余裕で切り抜けられてしまうでしょう。
 中難度の戦闘をするなら、ウォーリアの【HP】を8割削る攻撃力と《二回行動》を持つボスエネミーと、ちょっとした攻撃をする取り巻きのエネミーを数体出すとちょうどいい事がこれらからなんとなく分かると思います。
 基本的には上記のような大きな火力の出る攻撃に、範囲攻撃やシーンに何度かダメージを上昇させるスキルを付けたりする事で中難度から少しづつ難易度を上げていくことが出来るでしょう。ボス戦闘の基盤として覚えておくと便利かもしれません。
 上級以上になるとPCは一気に強くなるので、更に攻撃性能を高める必要がありますが、上級は2分岐あり、戦闘のシミュレートをする事が難しい上に書くと長くなりすぎるので、ここでは上級以上の具体的な数字は控えておきます。

3-2. ボスの命中力

シーフがフェイトを2~3点使用して期待値で避けられる程度。
前提1:シーフは【敏捷】を伸ばしており、装備で少し回避が伸びている。
前提2:シーフは《ドッジムーブ》と《バタフライダンス》を取得している。

 またまた、これを見て高いと思った方もいるかもしれません。しかし、攻撃を回避するということは受けるダメージや悪影響を完全に0にする事が出来ます。そう簡単に何度も回避されたらゲームとして張り合いがなくなってしまいますし、回復や軽減スキルを強化したアコライトが暇になってしまいます。[放心]や《イフリートシマー》で命中を下げる事も出来ますから、見た目以上に回避できてしまいます。シーフをメタっているような気もしますが、「フェイト2点で《アフェクション》相当が使える」と考えれば、全くその強みは死んでいませんし、むしろ強いと言えるでしょう。当然、ボスの取り巻きの攻撃はこれほど高くする必要はありません。
 それでも、かなり回避に振っているキャラクターには何度も避けられてしまう事はあるので、これだけというわけにもいきません。シーン中に何度か命中判定をクリティカルに変更する《邪神の力》や、別のキャラクターも対象に出来る遠隔攻撃の手段も、レベルが上がってきたら持たせておきましょう。攻撃の種類の多さや回数制限のあるスキルは、戦闘のメリハリにもなってくれます。
 上級になってくると、《インテュイション》等、回避型のキャラクターは回避ダイスが一気に増えるので、この基準は使えないので気を付けてください。あえてこの基準のまま使うのなら、回避に必要なフェイト数を更に2~4点増やすイメージでしょうか。


4. 対策スキルを取得させる時に気を付けること

 プロセスやアクションの行動権を奪う[縛鎖][スリップ][威圧]、移動を止められる《エンタングル》《ブランブルプリズン》、攻撃の対象を極端に絞られる決戦状態や隠密。これらがボスに有効すぎると、なんのスリルもなく簡単にボスが蹂躙されてしまいます。これらについて1つずつ書いていきますが、先に対策スキルについて筆者の考え方を説明します。結論から言ってしまうと、取り巻きにはかなり、またはそこそこ効果があり、ボスにはあまり効果がないぐらいの調整にしておくといいです。

4-1. メタに対する筆者の考え

 そもそも、スキルにはそれぞれエネミーによって有効度合いがあるはずです。
 例えば、《ファイアボルト》は高いダメージを出す事が出来ますが、<火>属性のエネミーや《完全抵抗:火》を持つエネミーには全然有効ではありません。敵の全員が《完全抵抗:火》を持っているのは正直設計的にはダメですが、全員が<火>属性である事はよくあるシチュエーションだと思います。1体が《完全抵抗:火》を持っていたとしても他がそうでなければスキルが完全に腐る状況は起きません。
 好きな時に、完全に思い通りにスキルを使える状況は多くないですし、GMも全員がそうなるようにエネミーを設計するのは難しいのです。対策スキルはこれらの状況と類似していると筆者は考えています。
 この例を見た時に、そういう事もあるよなぁと思えたなら、特定のスキルに対するメタや、これ以下についてもある程度納得してもらえると思います。全然同意できないぜって方には、ごめんなさいですが、以下の内容は同じく納得できないかもしれません。正解を書いているつもりはないので、まあ筆者はこんな奴なんだなぐらいの感覚でこの項目は適当に読み飛ばしてしまいましょう。

4-2. 対策項目

  • BS(バッドステータス)
     結論から言うと、ボスには《バッドステータス無効》を持たせましょう。強みを消しているようにも感じるかもしれませんが、強度ありのBSなら5係数、強度なしのBSなら10係数でダメージを与えることができます。これは下級スキルで考えれば武器、魔法、特殊の攻撃方法を問わずに強いです。上級スキルでも1枠でダメージをこれだけ伸ばせるスキルは限られているでしょう。
     というのも特に最初にあげた[縛鎖][スリップ][威圧]は行動権を奪われ、ボスが最悪何もできずに倒れてしまうなんてことに繋がり兼ねません。それをGMを含め全員が楽しいと感じる事が出来る卓なら、もちろんそれで構わないです。しかし、例えば[スリップ]で近接型のエネミーを引き打ちで削り続けられる状況が出来たとしたら、近接のキャラクターは前に出るだけ損になり暇になってしまいますし、味方を守る構成のキャラクターも暇になるでしょう。
     他にも《抵抗性:~》がありますが、こちらを使うのもありです。受けたら致命的に機能しなくなるBSのみを《抵抗性》で設定し、他のBSは受け入れる事で、ある程度PCが自由に立ち回る事が出来るでしょう。《ファイナルイリュージョン》や《ジェノサイダースキル》で機能不全を起こすのも回避できるので、レベルが高くなっていくにつれある程度はもっていた方が良い気がします。あとは、アンデッドだから[毒]は効かないとか、そういった分類的特徴づけのために取得させるのもいいでしょう。エネミーガイドのエネミーもそんな感じで抵抗性が設定されていますね。
     これはボスエネミーに限った話なので、取り巻きにはある程度刺さるようにしておく事で、BSがただの数字になる事は防げるでしょう。BSをメタるのはあくまでボスすらもBSで機能不全になってしまったら、誰かがつまらなくなる事が多いという前提のもとである事をお忘れなく。

  • 移動阻害
     移動を必須とするボスエネミーなら、対策スキルを作っておきましょう。取り巻きがいて、それらに《エンタングル》等の効果が有効であれば、単純に「「移動を行えない」という効果を受けない。」というスキルを書いてしまっても、問題ないと思います。誰かには刺さるのであれば、スキルが完全に腐るというわけではありません。
     もし、ボスが単体、もしくは取り巻きにすら刺さらない状況であれば、上記の内容はあまりオススメ出来ません。例えば、「「移動を行えない」という効果を受けない。」が、その効果を無視して移動したなら、次の攻撃の命中やダメージが減少したり、ボスの【HP】を減らしたりと何かしらのデメリットを追記しておくのが良いです。そのデメリットは最低でもスキル1枠分には相当するようにしておきましょう。

  • 決戦状態
     封鎖されるという部分だけなら別にいいのですが、攻撃の対象が同一エンゲージに縛られてしまうのが非常に戦略性を下げます。折角範囲魔法攻撃を持っていても脅威となる事はありません。これの良くないところは、特にスキルを取得しなくても1対1の状況さえ作ってしまえば、簡単に宣言出来てしまう事です。なので、これに関しては遠慮なく対策スキルを付けておきましょう。ただし、グラディエーターに決戦状態を条件とするスキルがあるので、決戦状態自体を無効にするのはやめておきましょう。例えば、「決戦状態であっても封鎖の影響を受けず、攻撃の対象を自由に選択する事が出来る。」等が良いでしょう。

  • 隠密状態
     これもあらゆる悪影響や攻撃の対象とならないため、かなり凶悪です。単純に後衛が攻撃の対象から外れるだけで利用するならそれほど問題ないのですが、スキルの効果で同一エンゲージで隠密される状況が作られると、処理的にも面倒になり、ボス側も封殺される確率が高まります。基本的に、隠密状態になるキャラクターは「使用条件:隠密」のスキルを使うためで、手番が回ってこれば隠密が解除されます。そのため、防御的な意味合いで隠密状態になるキャラクターはあまりいないでしょう。なので、ボスエネミーには《看破能力》を持たせて無駄な戦闘の遅延を減らす方が良いです。しかし、これには1つだけ問題があって、フェイの《ハイドアウェイ》の様にセットアップで隠密となったキャラクターの隠密の解除を引き起こしてしまう事があります。あまりにも局所的な条件であるため、キャラクター作成前にそういった構成が活躍しにくい事を伝えておくか、《看破能力》の「隠密状態は解除される」の部分を消しておくのがいいでしょう。

  • トラップ無効
     PC側がトラップを仕掛ける状態は非常に限られているので、迷ったなら持っておいた方がいいです。他には、主に《クリエイトダークネス》の対策となります。これは《暗視》を取得していない限りは前述の決戦状態と同じ様な状況となってしまいますし、遠隔型のPCにとっても悪影響に働く事が多いので無効にしておくのが無難です。もともと、《クリエイトダークネス》を使うキャラクターは[暗闇]による恩恵を受けるスキルやアイテムを取得している事が多いので、敵が無効にしたところで完全に腐る事はあまりないでしょう。トラップを駆使したフィールドギミックを作るならもってこいのスキルでもあります。

  • ゲームにならないレベルの数値特化構成に対するメタ
     これも結構議題にあがってる内容だと思います。アリアンロッド2Eだと上級以降で顕著に見られる現象ですね。
     例えば、タンクの防御力、軽減力が高すぎて普通の基準の火力では攻撃は一切通らない。回避が高すぎてクリティカルでもしなければ当たる目は一切ない。等の状況についてですね。
     以前、その分エネミーの能力も上げて調整する人に対して、「それじゃ茶番になる」と言っている人がいました。別にその方を批判するわけではないのですが、そんな事言ったら、PCのCLを見て、エネミーの選択、作成を行っている時点で茶番になると筆者としては思ってしまうんですよね。本気ではやりますし、真摯には向き合いますが、そもそもゲームですしね。
     しかし、PCの防御が10上がったから、敵の防御も10上げるってのにやるせなさを感じるのはわかります。なので、そうする場合は代わりに【最大HP】や命中力等、他のところの能力値を少し下げてあげましょう。そうすれば、PCのビルドが完全に否定される事はないはずです。例えば、《ブラッドスペル》の様な目に見える形だとなおいいですね。また、PCの防御が10上がったからエネミーのダメージを10上げるのではなく、ダメージ5上げて他を少し下げるぐらいにしておくと、PCの方向性にある程度沿ってあげられると思います。
     とまあ、色々提案してみました。ここまで読んでくださっている方は、PLをある程度納得させつつ、スリルやワクワク感を提供してあげたいと多少なりとも考えているはずです。
     しかし、ここで書いた事まですべて否定されてしまうと、そういったスリルを提供するためには、初めから所謂理論値のキャラクターを前提としてエネミーを作成する事になってしまうように思います。軽減については《エフィシエント》とカドケウスは当然持っていて、耐久は《アンブレイカブルボディ》と《スケイルスキン》は当たり前のように取得していて……みたいなのですね。こんな多様性を否定する遊び方は、正直筆者はGMでもPLでもやりたくないです。高レベルなら卓募集の段階で一言、ある程度PCのデータは参照する可能性があるという文言をいれておいた方がいいのかもしれません。
     実はこの問題はゲームバランスだけに留まりません。ヒーラーの存在価値が半減したり、《アフェクション》や攻撃を打ち消すスキルを取った意味が無くなったりと、完封してしまう状況は、他のキャラクターの活躍の機会を削ぐ可能性がかなり高くなってしまう事も問題と言えるでしょう。これについても同時に解決する事が出来ます。


5. あまりやらない方がいいこと

 ここまではどうやってボスを作るかという話をしてきましたが、ここからは見方を少し変えて、しない方がいい事について話していきます。よくある話にはなりますが、大事だからよくある話になってるんだと思って読んでいただけるとありがたいです。

  • 過剰回避
     回避が高すぎるエネミー、特にボスエネミーは作らない方がいいです。攻撃が躱され続ける戦闘を楽しいと思う人はあまりいないでしょうし、終わりが見えないストレスを与えてしまいます。戦闘を長期化させたいだけなら、【最大HP】を増やしましょう。終了ラウンド数が同じでも、PLに与えるストレスが全然違います。少し回避が高いエネミーを表現したい場合は、ダイスを増やすのではなく、固定値を増やしましょう。言うまでもないですが、ダイスが増えればクリティカル率は跳ね上がります。例えば、2Dから3Dになれば2.5倍程度になります。敵の回避クリティカルにPCの責任はないので、回避のダイスを増やすのはよほどの事がない限りはやめておきましょう。

  • 過剰防御
     こればっかりはエネミーガイドの敵も物理防御力が異常に高いので強くは言えないですが、そこそこ攻撃に振っているPCの攻撃を弾いてしまうレベルで極端に防御が高すぎるエネミーは正直よくないかなと思います。与えたダメージのわからないゲームではありますが、1点もダメージが通らないとなると追加効果等も発生しませんし、意味のない行動を行った事がわかってしまうのはPLとしてもつまらないと認識される事が多いからです。耐久力が高さを表したいのなら【最大HP】を高くしましょう。《エンチャントウェポン》等のダメージ魔法化に価値を持たせたいのなら、ないと話にならないレベルの差ではなく、あれば有効だがなくても戦えるぐらいの防御調整にしておくといいです。

  • 遠隔高火力攻撃
     これは低レベルに限った話なのですが、15m以上の射程がある攻撃でウォーリアを8割削る様なダメージを出せる遠隔攻撃はやめておいた方がいいです。《カバームーブ》等が揃ってくる下級後半になれば、問題ないのですが、それがない状態でこれが簡単にできてしまうと、アコライトやメイジを抵抗の余地なく戦闘不能にさせてしまいます。こういった攻撃能力は使用回数に制限をつけて、《アフェクション》等で対応可能にしておくといいでしょう。「距離が近ければダメージが上がる」といった設計にしても面白いかもしれません。

  • 多すぎる命中ダイス
     これも下級帯に限った話なのですが、命中ダイスが増えるとクリティカル率が上がります。あまりにこれが乱発すると、上級のキャラクターならともかく、回避ダイスを増やしづらい下級のキャラクターにはしんどいです。命中を上げるなら、固定値を増やしましょう。ただし、2DだとBSやスキルの効果で1Dにされた時にファンブル率が跳ね上がるので3D以上は振れるようにしておきましょう。

  • ビルドにない行動を何度も強要する
     これだけ見ると何を言ってるかわからないと思います。要はギミック戦闘などで罠を解除させたり、敵の隠密を解除させたりといった状況の事です。これらは当然メジャーアクションで行われるわけですが、代わりに折角スキルで高めた攻撃力が発揮されなくなってしまいます。このこの戦闘をする場合は2ラウンドに1回、長くても3ラウンドに1回はPCのビルドに沿った行動をさせてあげられるようにしましょう。もちろん、海上戦の船の操舵等、その行動自体が楽しいと思え、強要されるものでなければ問題ありません。(これを楽しいと思ってるのは筆者だけかもしれないですが……)

  • 脳内当てやPLに責任のないギミック
     一例を挙げるなら、隠密していたエネミーが急にPCに不利益な行動を取るといった様な視界の外から急に殴りつける様なギミックの事です。ただし、これはPCが判定に失敗したり、PCが明らかに愚かな行動を取ったり、冒険者であれば余りにも容易に予想できる事であったり、この例なら何かが隠れている事を疑えるような描写や伏線張りをきちんと行っている場合は別です。本当に何の脈絡もなく、判定に失敗したわけでもない場合、PLには何の責任もないのは当たり前です。その状況なら、突然理不尽に殴られた事実だけが残り、PLは(実際にあるかどうかは別として)GMの悪意を感じてしまうわけです。「画面の外から攻撃されるゲームをして楽しいですか?」と問われた時に、YESと答える人はかなり少数派だと思います。その驚きはPCにとっては刺激的でも、PLにとっては不快でしかないかもしれません。卓を囲んで自分だけがニヤニヤしている状況を作りたくないなら自粛しましょう。
    2022/06/19追記分

    • 防御無視と軽減不可の恒常的使用
       筆者はある程度メタを張る事に関して肯定派ではありますが、これらはあまりにも多くのシチュエーションで多くのスキルを完全に腐らせる要素です。これらを"恒常的"に行えるボスエネミーが非常に良くなく、同時に両方出来るなんてのはもっての外です。
       防御力はスキル枠も金銭も多く消費していますし、軽減に関しては少なくともアコライトが5枠以上に加え、《ウェポンガード》《ナイフパリー》を腐らせます。すべてのパーティに必ず刺さる要素と言っても過言ではないです。確かに調整は楽なのですが、PL視点本当に馬鹿馬鹿しくなって耐久方面のスキルがHP上限上昇にしか意味を感じなくなるので、すべての攻撃でこれを出来る様にするのは控え、単純に攻撃手段の1つとして防御無視や軽減不可の行動を取れるといった範囲に留めておくのが無難です。代案として、防御や軽減の値を半分にする等のようなスキルを持たせてみるのもいいかもしれません。
       どうしても調整が難しい場合は火力の数字を伸ばしてしまった方が断然良いです。全く防御系スキルが使えずに戦うのと、スキルが使えて攻撃を耐えられるのとでは、わかっていたとしてもゲーム体験として後者の方が良いものであると筆者は考えます。
      2022/10/13追記分

    • 4つ以上の《抵抗性:~》
       何を言っているんだと思った方もたくさんいると思います。そうです。そもそも公式スキルでは《抵抗性:~》を3つまでしか取得できないと指定されています。しかし、GMは別の名前のスキルさえ作ればそのルールを実質的に無視する事が出来ます。そもそも、公式から推奨されていない要素なのでやらない方が良いのは一目瞭然です。
       たまたま自分の使うBSと敵の持っている抵抗性が一致している場合は、まだ運が悪かったと納得出来ることはあります。《バッドステータス無効》であれば、回復されるにしてもHPロスを与える事が出来るので無駄ではないと言えるでしょう。しかし、エネミー識別でデータを見た時に、すべてのBSを完全に受け付けないとあればどうでしょう。結局ビルドの時点で悩んだ事は全部無駄だった事になり、戦闘中はそれらのスキルを使う事さえありません。
       正直なところ、GMはほとんどのBSに対して裏で調整すればなんとかなるものが多いです。[放心]が来る前提で命中ダイス数を決定したり、[衰弱]であれば単純に【HP】を増やせば良いのです。(当然、その代わりにダメージや回避等、他の数値下げてつじつま合わせはした方がよさそうですが……)何が言いたいのかと言いますと、これも既に上に示したようにゲーム体験の話になります。取得したスキルは調整されているとなんとなくわかっているとしても使えた方が楽しいと感じる人の方が多いはず……と筆者は思います。
       結論を言うと、本記事では2回目になりますが、すべてを抵抗性にするのではく、回復不能のBSを与えられると致命的になるものだけを抵抗性にして、他は裏で調整する方が良いという事です。間違っても《抵抗性:すべてのBS》なんて書くのはやめましょう。(形態変化系のボスが第~形態だけそれを持っているとかなら問題ないかもです。)
      2022/10/13追記分


6. 付録

 筆者が良く使っているオリジナルのスキルを載せておきます。ご自由にお使いください。何かに掲載する場合は、この記事のURLの記載をするようにお願いします。自作を偽るはお控えください。

▲図6.1 《高き試練》
▲図6.2 《万丈の試練》
▲図6.2 《至上の試練》

7. 最後に

 この記事ではボスエネミーの調整について筆者の考え方をまとめてみました。先月は時間がなく毎月投稿に失敗してしまいましたが、予告通りエネミー調整についての記事を書けたので有言実行は出来たのかなと思います。前回のシリーズに引き続きですが、この記事はアリアンロッド2Eの正解を書いているわけではなく、筆者の考え方を記しただけのものです。正しさについて議論するつもりも一切ございません。
 いよいよネタが切れてきて、次に書くものに困っているところですので、次回予告はなしで筆を置こうと思います。ここまで駄文を読んでいただきありがとうございました。
2022/01/13

「5. あまりやらない方がいいこと」に少し追記しました。
2022/06/19

「5. あまりやらない方がいいこと」に少し追記しました。
2022/10/13

「4-2. 対策項目」に少し追記しました。
2023/12/10

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