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80歳で包茎手術を受ける老人たちの「日本人的な理由」とは?

 黒いハイネックのセーターを口元まであげた男性の前に現れるテロップ──「ひとつウエノ男になれ」というCMフレーズがテレビCMで流れていたのはいつのことか。
 子供はなんのことやらという感じだろうが、大人、特に成人男性ならば「ああ、包茎手術のことか」と即座に合点がいく。

 コンプライアンス的にテレビCMとして放映することは難しくなったのかもしれないが、手術を受けたい患者が減るわけはない。それどころか、美容意識が男女共に高くなりつつある昨今、患者数は年々上昇しているともいわれる。

「本当にいろんな人が(手術を)受けに来ますよ。下は10代にも届かない子供、上は80代まで、幅広い世代が包茎手術を受けています」

 そう語るのは、形成外科医のG医師(50代)。
 20年以上、二重整形や脂肪吸引などを行う美容整形外科医として勤務し、その技術の高さから全国各地で派遣医師として依頼が来るようになる。

 しかし、2年ほど前から「メスと糸だけで、とにかく儲かる」ということでここ数年は “皮切り医師” として包茎手術を専門とするようになる。その腕は “皮切り” でも存分に生かされており、現在も全国各地のクリニックチェーンから依頼を受けているG医師。
 当然、さまざまな患者のイチモツを見てきたと思うが、80代の患者までいるとは驚きである。

 おいおい、日本の爺さんたち、元気すぎやしないか……と思うのも無理もないが、どうやら女性と致すための皮切りではないという。では高齢の患者たちがひとつ上の男を目指す理由とはなんなのか。

日本人の「恥の文化」

「ほとんどは『介護士さんに申し訳ないから』って理由ですよ。それも一人や二人じゃないんです。皮が被ったままだと、アカなどが溜まって不潔だから申し訳ない、ということですね。ただ、患者さんたちの話しを聞いていると、どうもそれだけではないように思いました」(G医師)

 それだけではない、とはどういうことなのか。

「“恥ずかしい”んですよ。当然介護を受けるということはいい年をした老人ですから、壮年〜中年時代を皮が被ったまま生きてきたのかと思われるのではないか、と。そんなことを懸念しているわけです。日本人的な理由ですよね。「恥の文化」だと思いますよ。人からどう見られるかを気にしているんです」(G医師)

 なるほど、長らく女性との性行為もなく、久しぶりにイチモツを見られたり触られたりするのが自分より半分以下の年の女性たちなわけだから(男性の介護士に対しても同様の気持ちが湧くのかは不明)、患者たちの気持ちもわからないでもない。
 おそらく、若い頃は「恥ずかしい」という気持ちを持ち合わせなかった男性が、長年連れ添った奥さんにどう思われるかは気にせず年老いていったものの、老齢になり知らない若い女性にいざイチモツを見せるとなった途端に「恥」が芽生え始めたのだろう。

 しかし、介護されるくらい不自由な身でありながら、わざわざ誰かに付き添ってもらってか、来院して皮を切ってもらうわけだから、やはり気持ちだけは元気なことに変わりないのであろう。

 「お年寄りは貯め込んでいる方も多いですからね。80代とは言わずとも、60代、70代を含めれば、患者全体の2割弱くらいは行くんじゃないでしょうか」とG医師。患者の傾向について、さらに気になる話を続けた。

「僕がいま気になっているのは、オンラインゲーム経由でできた彼女のために手術を受けにきた患者さんがかなりいることなんです。時代なんですかね」

 オンラインゲームで出会った女性のために何十万円もする包茎手術を受ける男性たち──何やら興味深い話である。この話はまた来週掲載しようと思う。

<著者プロフィール>
ヤスデ丸(やすでまる)
「実話ナックルズ」の女編集部員。埼玉生まれ中東ハーフ。いよいよアラサー。YZF-R3を手放して、車検のないニーハンに乗り換えたい今日このごろ。好きなプロテインは「ウマテイン」ミルクティー味。「1万逃歩日記」「裁判傍聴ファイル」など不定期で掲載中