見出し画像

キー・リング

※必ず利用規約の一読をお願いしますhttps://note.com/jiu_scenario/n/n029a5e85052c

5人台本 約25分~30分程度

・フクロウ・・・不問 飄々としていて掴み所の無いキャラ
・キャット・・・女性 何よりも美を意識しているキャラ
・モズ・・・不問 男性か女性かわからない5人のなかで最年少
・クジラ・・・男性 豪放磊落を地で行くキャラ
・カメレオン・・・男性 出来るだけ目立ちたくない根暗なキャラ

間違えやすい単語
※鰐麟会(がくりんかい)←3文字
※鯱鵡城会(こむしろかい)←4文字


隠れ家「IN A2S4」の扉前。鍵を取り出して鍵を開けて、扉を開ける
キャット:「あら?まだ誰も来ていないのね」
キャット:「まぁ、ネイルでも整えながら気長に待つとするかしら」
数分後
鍵を開いて扉が開く
キャット:「(くすりと笑う)フクロウじゃない。やっほー」
フクロウ:「おや、キャット。君だけかい?」
キャット:「そうなのよ~。ここで一人寂しく野垂れ死ぬかと思ったわ~」
フクロウ:「ハニートラップがお得意の貴女から『一人寂しく』なんて言葉が出るなんてなんだか似合いませんね」

キャット:「そう?だってハニートラップに引っかかった人は皆、私が殺しちゃうんですもの。どのみち人は、独りよ」
フクロウ:「なんだか結婚適齢期を逃す人の言い訳みたいですね」
キャット:「・・・あんた殺されたいわけ?」
フクロウ:「おーこわぁいですねぇ(茶化すように)」

扉が開く
フクロウ:「おや、これはこれはモズさんじゃないですか。相変わらず身体は細いのにぶかぶかな服を着て性別がわかんない人ですね」
モズ:「ども・・・」
キャット:「それに加えて暗いわね~」
モズ:「・・・」
キャット:「何か言い返しなさいよ」
モズ:「とりあえず、この麻痺毒を部屋に投げて良い?」
フクロウ:「(笑う)ちょっとしたジョークですよ。真に受けないで下さい」
キャット:「そうよそうよ。それになんでそんな物、常備しているのよ!」
モズ:「え?だっていざって時に必要になると思って...」
フクロウ:「流石は毒のスペシャリストですね。絶対、麻痺毒以外も持っていますよね?」
モズ:「さぁ?どうだろうね?(少しにやっとしながら)」
キャット:「手の内なんて明かすわけないでしょ。私たちは殺し屋なんだからあんた達が捕まったときにバラされたどうするのよ」
フクロウ:「まぁ捕まるなんてヘマはしませんけどね」
モズ:「右に同じく」
カメレオン:「俺も同意だ」
三人:「!!!」()
キャット:「ちょっとカメレオン!あんたいつから居たのよ!」
モズ:「僕も全然気づかなかった」
フクロウ:「私もです」
カメレオン:「いつってキャットが来る前からずっと居たが?」
キャット:「なんで私が来た時に反応してくれなかったのよ!」
カメレオン:「お前はうるさいから俺一人で話すには荷が重すぎる」
キャット:「なんですって!?」
フクロウ:「にしても流石は凄腕のスナイパーですね。音も気配も殺気すらも消すなんて並の人間であれば居ることがわかるものなのに」
キャット:「ただ、影が薄いだけでしょ?」
カメレオン:「お前みたいにギャーギャー騒ぐ自己主張の塊よりかはマシだ」
モズ:「右に同じく」

キャット:「ちょっとモズ。さっき私に言われたことへの当てつけかしら?」
モズ:「名前と同じで発情期の猫みたいに騒がしい人だ。ちょっとは静かに出来ないの?」

扉が豪快に開かれる
クジラ:「どーん!!」
カメレオン:「(舌打ち)またうるさいのが増えた・・・」
クジラ:「なんだ?なんだ?辛気くさいなお前等!ちゃんと肉食ってんのか?筋肉付けてんのか?爆発するか?」
キャット:「あんたの趣味嗜好を私たちに押しつけるんじゃないわよ」
フクロウ:「その爆発的な存在感といいその脳筋思考。爆発のスペシャリストはアグレッシブですね」
クジラ:「なんてったって攻撃は最大の防御だからな!攻めて攻めて攻めまくる!怒濤の嵐が俺の売りなんでな!」
キャット:「だからってこないだの仕事で建物ごと吹っ飛ばすことなかったじゃない。」
カメレオン:「どうせ、建物を爆発させて高笑いでもしていたんだろ」
クジラ:「あぁ!爆発は芸術だって言葉を作った奴はこの俺様と感性が似ている!まさに偉大な奴だな!」

モズ:「だとしたらその人は周りの迷惑なんて考えない空気の読めない人なんだろうね」
カメレオン:「まさに騒音が服着て歩いているって感じだな」
キャット:「まぁいいわ。とりあえず、これで全員揃ったわよね?」
フクロウ:「そうですね。全員集まったってことで会議を始めていきましょうか」

クジラ:「おぉ!そうだった!集まった理由は会議だったな!」
モズ:「わからずに来ていたの?」
クジラ:「とりあえず集合がかかったっていうことだけは覚えていた」
カメレオン:「図体の割に小さい脳みそだな」
クジラ:「なんだと?」
カメレオン:「で?会議の議題ってのはなんだ?」
フクロウ:「(不敵な笑み)今回の議題だがある依頼主からこんな依頼を受けました。」

フクロウ:「『対象の暗殺者を殺してくれ』というね」
キャット:「骨は折れるけど...まぁ無理な仕事ではないわね」
フクロウ:「(小さく笑う)それはどうですかねぇ?」
カメレオン:「...どういうことだ?」
フクロウ:「だって、その対象が...ここに居る全員なのだから!」
モズ:「は?」

カメレオン:「はぁ!?」
キャット:「なんですって!?」
クジラ:「はっはっはっは!!こりゃあ傑作だぁ!ここにいる全員と殺し合えるってことかぁ!面白そうじゃねぇか!」
モズ:「殺りあうなら僕も全力で殺しにいくよ」
カメレオン:「ここで殺し合うか?」
フクロウ:「殺伐としてきましたねぇ」

キャット:「ちょっと待ちなさいよ ちゃんと依頼内容も聞いてないし、今ここで私達が殺しあって何か得するわけ?」
クジラ:「そんなの決まってんだろ!面白そうだからだ」
クジラ:「一度、お前等と殺しあってみたかったんだよなぁ。俺の爆発で消し飛ぶ姿を肴に酒での飲んでみてぇなぁ」

(拳銃の銃声)
カメレオン:「じゃあ、その酒、お前の血で割ってやるよ」
クジラ:「上等じゃねぇか!まずは、カメレオン。お前から消し炭にしてやるよ!」
クジラは懐から手榴弾を取り出しピンを抜こうとする
クジラ:「ぐっ!」
カメレオン:「うっ!!」
クジラ:「動けねぇ・・・」
カメレオン:「これは・・・いったい・・・」

モズ:「麻痺毒だよ。ここで始めて隠れ家が血で汚れるのも、爆発で無くなるのも嫌だから動けないようにさせてもらったよ」
キャット:「ちょっと・・・!なんっで、私まで痺れさせられているのよ・・・!」
モズ:「だって・・・部屋全体に毒を撒いた方が効率良いから・・・」
フクロウ:「全く・・・皆さんすぐ頭に血が上るんですから。ね。モ・ズさん?」

モズ:「なんでフクロウ、動けてるの?」
フクロウ:「なんで?ってそれは見ていたら次になにをするかなんてわかるでしょ」
フクロウ:「だって私の暗殺は変装を得意としているんですよ?変装っていうのは人間観察が大事なんです。だからこそ、人が何を考えて、どんな行動をするかなんて見ていたらわかるんですよ。」
モズ:「ふーん、なるほどね・・・いつかの殺す機会のために覚えておくよ」
フクロウ:「ふふっ・・・あなたに出来ると良いですね」
キャット:「そんなことより・・・先に争い始めた二人はともかく!私は何にもしていないんだから動けるようにしなさいよ!」
モズ:「はぁ~・・・」
しぶしぶ解毒剤を飲ませるモズ
キャット:「(ゴクゴク)っはぁ~ ほんといつか覚えてなさいよくそガキ・・・」
モズ:「聞こえてるよ。若作りババア」
キャット:「なんですって!!」
モズ:「そんなに怒るとせっかく顔面塗装してるのに、しわが増えて台無しになっちゃうよ」
キャット:「殺す!!」
フクロウ割って入る
フクロウ:「まぁまぁまぁまぁ!」
キャット:「ちっ・・・」
フクロウ:「さてと、モズさんのおかげで静かにお話が出来る環境が整いました。では!今回の依頼内容についてお話しましょうか!」
クジラ:「・・・」

カメレオン:「・・・」
フクロウ:「依頼内容は先程も言いました通りここにいる五人。つまり、キャット、モズ、カメレオン、クジラ、そして、私フクロウ。この五名の抹殺を依頼されました。」
クジラ:「(一息ついて)やっと少し動けるようになった」
カメレオン:「ああ。俺もだ。」
キャット:「頭は冷えたかしら?」
クジラ:「興も冷めちまったぐらいだ。」
カメレオン:「全くだ。だが、クジラをブラックリストに入れておくことにするよ。」

クジラ:「望むところだ」
カメレオン:「夜道には気をつけておくんだな」
クジラ:「てめぇもな!夜に安全に寝れると思うなよ」
カメレオン:「ふん・・・」
クジラ:「で?さっきの話に戻るがそんなおもしれぇ依頼してくるのはどこのどいつだ?」

カメレオン:「面白くはない・・・が、依頼主は気になる。いったい誰だ?」
フクロウ:「実は・・・この依頼・・・匿名なんだよ」
キャット:「はぁ!?匿名って・・・どういうことよそれ!?」
モズ:「じゃあ、どうやって依頼を受けたのさ?」
フクロウ:「わざわざ私のスマホに非通知で連絡が来ましたよ。」
カメレオン:「おい。じゃあお前はハッキングされたってのか?そして、そのスマホを持ってのこのことここに来たのか?この隠れ家の場所を顔も何もわからない相手に情報を垂らしながら」

フクロウ:「そんなヘマはしていませんよ。かかってきたのは捨て番ならぬ捨てスマホの一つだったのでちゃんとそのスマホは袋に入れて川に流しました。今頃、ハッキングされて位置情報がバレても海の上でしょうね。」
モズ「でも・・・他のスマホもハッキングされてたらどうするの?」
フクロウ:「そうなったらここを明け渡しましょう」
キャット:「私は嫌よ。この隠れ家が気に入ってるもの」
フクロウ:「では、あなたはこの隠れ家と心中してください」
キャット:「・・・それも嫌よ。なら、代わりの隠れ家をフクロウが用意しなさいよ?」
フクロウ:「もうすでに手配済みですよ。なんなら全国に散りばめました」
キャット:「ならいいわ」
モズ:「でも、今ここを狙われたら僕ら一網打尽だよ?」
フクロウ:「それはどうでしょうか。それぞれのスペシャリストがここに集まっているのに、今ここを狙う愚か者はいるんでしょうかね?匿名で依頼をする相手ですよ?そこまで馬鹿ではないでしょう。」
キャット:「なんなら、逆に返り討ちに逢うでしょうね」
クジラ:「この隠れ家が必要なくなるならお前等が去った後、この場所は爆発させていいってことだよな?」
フクロウ「ええ。爆発させてもらって構いません。・・・が。一つクジラさんと皆さんにお願いがあるのですがよろしいですか?」

クジラ:「なんだ?」
モズ「?」
キャット:「なによ?」
カメレオン:「内容によるぞ」

フクロウ:「ふざけた依頼をしてきたこの依頼主に一泡吹かせたくありませんか?」
カメレオン:「ほう・・・?」

モズ:「でも、一泡吹かせるって言ったって相手は匿名だったんでしょ?目星はついてるの?」
フクロウ:「ええ。私がいつも利用している情報屋からある組織が私たちに恨みを持っているそうでその方達が銃火器を集めたりしているという情報を頂きました。」
キャット:「でも、その組織が私たちを狙っているっていう確証はないんじゃない?」
フクロウ:「いいえ。狙われているのは私たちです。」
カメレオン:「どうして確証を持って言えるんだ?」

フクロウ:「クジラさん。あなたが仕事で爆発させたって言っていた場所はどこでしたか?」
クジラ:「ん?あぁ・・・なんて言ったっけか・・・」
キャット:「なんで覚えていないのよ」
クジラ:「あぁ!そうだそうだ!思い出した!鰐麟会(がくりんかい)って所だ」

キャット:「鰐麟会って確か、鯱鵡城会(こむしろかい)の傘下のところじゃない!」
クジラ:「ん?あぁ、そうなのか?よくわからんが素晴らしい花火だったぞ」
モズ:「裏社会を牛耳っているヤクザであらゆる所に鯱鵡城会の息がかかっているっていう噂だよ」

クジラ:「へぇ!そうなのか!」
キャット:「あんたどこに喧嘩売ったのかわかってんの?」
クジラ:「んなこと、どうでもいい」

カメレオン:「(溜息)ってことはその鯱鵡城会が鰐麟会(がくりんかい)の仇討ちでここに攻めてくるってことか?」
フクロウ:「ええ。その通りです。そこで、クジラさんにはここを爆発させるにしても鯱鵡城会(こむしろかい)の方達が侵入してきたときに爆発させて巻き込んじゃって下さい」

クジラ:「トラップってことだな?いいぜ。盛大にかましてやるよ」
モズ:「ねぇ、気になることが二つあるんだけど。いいかな?」
フクロウ:「どうぞ」

モズ:「一つ目、どうしてクジラじゃなくフクロウの所に連絡が入ったのか。二つ目、どうしてクジラだけが狙われるのではなく、僕らまで狙われるのか・・・」
フクロウ:「そうですね。その辺は一つ一つ、段階を踏んで説明致しましょう」
フクロウ:「まず、鰐麟会(がくりんかい)がクジラさんに襲撃されたことにより鯱鵡城会(こむしろかい)は総出で情報収集をしていました。もうそれはそれは爆弾の種類、監視カメラから髪の毛一本まで至る所まで調べ上げていたそうですよ。そして、行き着いた先は先程、私がよくお世話になっている情報屋さんです。」

キャット:「でも、どうしてクジラが襲撃したってわかったのよ」
フクロウ:「クジラさんは襲撃時、ちゃんと変装をしていました。その姿はしっかりと向かいのビルの監視カメラに写っていました。そして襲撃が終わったらちゃんと違う服装に変えて誰がやったのかわからないようにしていました。」

カメレオン:「もったいぶるな。早く言え」
フクロウ:「そうですね。じゃあ、我々『キー・リング』が共通して持っている物はなんですか?」
モズ:「共通して持っている物・・・?」
フクロウ:「我々はどうやってここに入ってきましたか?」
モズ:「そりゃあ、あの扉から・・・あっ、鍵か。」
フクロウ:「そう。その通り。そして、我々の鍵は色は違えど同じ形です。それに世の中で色が付いている鍵を所持している人なんてそうそういないでしょう。」

フクロウ:「そうして、カメラの顔写真を情報屋に調べさせて犯人の特定が出来た結果クジラさんが狙われるようになりました。」
キャット:「じゃあ、フクロウの所に連絡が来た理由は?」
フクロウ:「そこは、ここに居る全員が狙われる理由にもなりますね。」
モズ:「どういうこと?」

フクロウ:「私の殺しの仕方は変装や擬似的な立場を利用して暗殺するスタンスです。いくつもの顔がある中で件(くだん)の鯱鵡城会(こむしろかい)での立場も存在します。そして、例の事件があった後日、緊急集会があり、私としたことが集会の日に武装していないかの確認で鯱鵡城会の者に私の白の鍵を見られちゃいまして・・・その日は何も無かったのですが後日、クジラさんの鍵の件の際に私とクジラさんの繋がりがバレてしまい、芋ずる式で他三人もバレたって訳です。」
フクロウ:「その結果、私の所に連絡が来て皆さんも狙われることになったわけです。」
カメレオン:「つまり、俺等はクジラの事件とフクロウのヘマのせいで狙われることになったわけか・・・」
キャット:「そうなるわね」

モズ:「僕たち関係ないからこの二人の首を隠れ家前に置いていたら許してくれないかな?」
クジラ:「おいおい。そりゃあなんだ?俺と殺りあうってことでいいのか?」
モズ:「室内なら僕に利があるよ?」
フクロウ:「ふむ・・・なるほど。良い考えですね!モズさん!」
キャット:「はぁ?なに一人で納得してんのよ」
フクロウ:「というわけでクジラさん!」

クジラ:「あ?なんだ?」
フクロウ:「死んで下さい」

ばんっ!っとクジラのこめかみに銃弾が撃ち込まれる。倒れるクジラ
キャット:「ちょっとちょっと!何してるのよ!!」
フクロウ:「これで写真撮って・・・」

パシャリとポラロイドカメラでクジラの写真を撮るフクロウ
カメレオン:「殺したのか?」
モズ:「元凶はこの人なんだし別に死んでもいいんじゃない?それに、フクロウが殺らなかったら僕かカメレオンがこの人殺っていたでしょ」
クジラ:「誰が誰を殺るって?」

キャット:「あんた頭打ち抜かれて死んだんじゃ・・・?」
フクロウ:「私は殺したなんて一言も言っていないでしょう」
カメレオン:「ちっ・・・死んでなかったか」

モズ:「でも、なんで撃たれて死んでないの?頭の所なんて血でべったりだし」
フクロウ:「あ~実はこれペイント弾なんですよ。」
クジラ:「いくらペイント弾とはいえ、痛ぇもんは痛ぇんだよ。しかもこんなにど頭真っ赤っかにしやがってよ。」
キャット:「でも、写真まで撮った理由は?」
フクロウ:「それはですね。鯱鵡城会(こむしろかい)に写真をお送りするためですよ」
フクロウ:「まぁこの後、皆さんにも同じようになってもらいます。」
キャット:「え。嫌よ絶対。絶対!嫌よ!」
フクロウ:「いいえ。なってもらいます」

カメレオン:「なんのために」
フクロウ:「まず一つ、仲間割れにより我々が死んだと錯覚させるため。そして二つ目、我々が死んだと勘違いした鯱鵡城会の皆さんは油断するでしょう。そして、そこを逆に叩きましょう」

クジラ:「そりゃあ面白そうだ!あいつらの『お前・・・なんで生きているんだ!』って定型文と驚いた顔を拝みながら爆弾を投げ込んでみたいものだ!」
カメレオン:「なんで、敵に姿を現す必要がある。」
クジラ:「そんなの決まってるだろ!相手が絶望する瞬間が最高に気持ちいいからだ!」
カメレオン:「ステルスキルこそ殺しの美学に決まっている」
クジラ:「陰険なやつが考えそうなことだぜ。ビッグで偉大な俺とは考え方が合わねぇな!」

キャット:「どっちもどうでもいいわよ。私は大金が手に入って自分の美しさが保たれるならなんでもいい」
モズ:「外見だけ取り繕っても中身が伴ってなきゃ意味ないけどね。」
キャット:「・・・あんたをペイント弾で撃つ役目、私がするわ。良いでしょ?フクロウ。」

フクロウ:「ええ。構いませんよ。」
フクロウ:「では皆様、異議はなさそうなので私のこの案で鯱鵡城会(こむしろかい)を潰しましょうか」
キャット:「ええ。いいわ」
モズ:「僕もいいよ」
カメレオン:「問題ない」
クジラ:「やってやろうぜ」

フクロウ:「では、皆さんの合意が取れたという事でこれでキー・リングの会議を終了します。皆さん鍵を中央に向けて下さい」
キャット:「えぇ~またあんなこっぱずかしい事するの?」
モズ:「口を開けばほんとに文句ばっかりで煩い人だな・・・」
キャット:「ほんとに覚えてなさいよモズ」

カメレオン:「いいから。早くしろお前がやらなきゃ終われないだろ」
キャット:「・・・もう!わかったわよ!やれば良いんでしょ!やれば!」
クジラ:「全く、これだから協調性が無い奴は困るな」
キャット:「あんたにだけは言われたくないわよ!」

鍵を部屋の中央に向ける五人。
フクロウ:「準備出来ましたね。では、カメレオンさんからお願いします。」
カメレオン:「あぁ。わかった」

以下、口上タイム。
カメレオン→モズ→クジラ→キャット→フクロウの順番
カメレオン:「世の中には色んな『さす』がある。雨が降れば傘をさす、辛い話は胸をさす。悪事は人の魔がさして、世間はそれに指をさす。俺は同じ『さす』でもヒットマンとして対象のド頭を射し、必ず依頼を完遂する。」
カメレオン:「俺等は聖人でも無ければ政治を治める政治家でもねぇ。殺しを生業としている殺し屋だ。『キー・リング』緑 カメレオン。依頼承(うけたまわ)った」

カメレオンは緑の鍵を横に向ける
モズ:「ひとかけ、ふたかけ、さんかけて。仕掛けて殺して日が暮れて。毒撒きのたうち回る姿は蟲のよう。その鳴き声はまるで蝉時雨 この世とあの世の橋掛けにそっと連れて行ってあげましょう。」
モズ:「僕らは殺し屋、依頼を受けたら失敗は許されない。必ず成功させる。『キーリング』紫 モズ。依頼了解。」

モズは紫の鍵を横に向ける
クジラ:「火の用心。今日(こんにち)の日柄も良いようで、貴様の命を貰い受ける。人の命を頂くからにはいずれ俺も地獄道。どうせ地獄に行くならば、今を楽しむ極楽浄土。きのうほんとで、今日はうそ。雨は降る降る血の雨が 人の情けは泥まみれ 明日、天気になぁ~れ。」
クジラ:「なんてな。俺等『キー・リング』に喧嘩を売るたぁ 身の程知らずもいいとこだ。そんな奴らにわからせてやろうぜ。『キー・リング』赤 クジラ 依頼引き受けた」

クジラは赤の鍵を横に向ける
キャット:「昔、女は弱かった。破れ、傷つき、泣いていた。しかしそんな時代ももう終わり。今の世の中 男は女に負けるそうです。春には春の花が咲き、秋には秋の花が咲く。私の花はなんの花?咲くならそっと華美な薔薇の花。美しい花の棘にご用心を。女の涙にご用心を。あなたの命にご用心を。」
キャット:「どんな相手であろうと私に墜とせぬ人は居ないわ。さぁ、私と踊りましょう。『キー・リング』ピンク キャット 依頼了解したわ」

キャットはピンクの鍵を横に向ける
フクロウ:「雪に白鷺(しろさぎ)、闇夜に鴉(からす)。紛れ隠れる暗殺者。正直者は阿呆鳥。ふと、空を眺めれば空には真っ赤な雲の色。この世は真っ赤な嘘ばかり、嘘と悪とで押しつぶされたあなたの瞳を真っ赤な血潮に染め上げましょう。」
フクロウ:「私は雲。色から形まで自由自在に七変化。降らす雨はあなたの血。昏迷な雲にご注意を。」

フクロウ:「さぁ私たちに宣戦布告をした方々に甘美な死をプレゼントしてあげましょう。『キー・リング』 白 フクロウ。依頼承知しました。」
フクロウが白の鍵を横に向ける
フクロウ:「それでは、『キー・リング』仕事の時間です。この鍵の輪が我々、『キー・リング』の証。誰かが一人でも欠けてしまうとこの輪は成り立たない。誰一人欠けずに殺り遂げましょう。」
キャット:「失敗なんてするわけないじゃない。私たちはプロなんですから」
クジラ:「全くもってその通りだな!はははは!さぁ!楽しい楽しいパーティーをしようじゃないか!」

カメレオン:「クジラにしちゃあ面白いことを言うじゃないか。血湧き肉躍る舞踏会ってところか?」
モズ:「でも実際は一方的な蹂躙。血飛沫舞う舞踏会になるだろうけどね」
フクロウ:「ふふ...皆さんのやる気も出てきたところで開幕の拍子木(ひょうしぎ)を鳴らしましょう。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?