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娘が涙した「人形供養」

朝刊に、近所の斎場主催の人形供養のチラシが入っていました。

ブラックフライデーの広告に紛れて、B5サイズの光沢紙が混ざっています。

それを見た娘が、掲載されていたテディベアを見て人形の広告と勘違いしたようです。

私が「これは人形供養の(チラシ)やねん」というと、案の定ポカン。

そりゃ小学校に行く前の娘には難しいよな、と思い、私のできる限りでわかりやすく説明しました。


起源は定かではないものの、今も神社やお寺で供養をしてくれるところがあります。

私の郷里・滋賀 長浜には眼鏡を供養してくれるところもありました(正しくは旧木之本町の木之本地蔵院さん)。

最近ではSNSなどで炎上した画像や投稿を供養するようなところもあるようです。

文字どおり、葬り去るんでしょうね。


人形供養自体は私も幼少期に何度かさせてもらいました。

もともと子どもの身代わりとして誕生した人形に、感謝の意味を込めてお焚き上げするのが人形供養の役割です。

子どもの間に命を落とさないよう身代わりになってくれた人形に敬意を表す、八百万の神がいる国・日本ならではの風習ですね。


小難しく伝えても仕方がないので、娘には「人形はゴミと一緒にすてたらダメ」「バイバイするときはきちんとありがとうを伝えなさい」「そのために人形供養がある」と伝えました。

するとちょっと涙目に…。

実は一年ぐらい前に、大事にしていた人形をどこかになくしてしまっていました。

もうすっかり忘れてたんじゃないかと思っていましたが、本人はそれを覚えていたようで「私、怒られるの?」と不安になった様子。

「そんなことはない」と伝えつつ、娘がどれだけなくした人形を大事にしていたかを思い知りました。


それから少しして、娘はある人形を持ってきて。

「この人形さん、バイバイする」

と言い出して驚きました。

持ってきたのは生まれてから3歳ぐらいまで、肌身離さず持ち歩いてきたアンパンマン人形。

いつの間にか遊ばなくなっていましたが、人形供養の話を聞いて、お別れする決心がついたようです。


子どもには偉そうに教えましたが、アンパンマンには本当にお世話になった我ら両親。

親からの感謝も添えて、供養しようと思います。

時代遅れと言われても、お世話になったモノにも感謝を伝える機会があるのは、日本特有の素晴らしいことでしょう。

娘にもその気持ちが身についてくれたなら、今朝のチラシにも感謝しなければなりません。

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