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「刺繍」という「絆」~「むぎの会」刺しゅう展@銀座アートホール

先週、「銀座アートホール」で、髙村タチヤナさんが主宰する刺しゅうグループ「むぎの会」の「刺繍展」があった。

インスタグラムで、開催を知り、そのキャプションに「銀座での展示会にひと区切り付ける」との言葉を見つけ、

「えっ~!」

とびっくりし、絶対、行かなくては!と思い、腱鞘炎の右手をショールで吊りながら、私は出かけた。

「むぎの会」は、タチヤナさんが、かつて「雄鶏社」からも本を出されていた繋がりもあり、母が、現役で刺繍をやっていた頃から、お付き合いのあった「刺しゅうグループ」だ。

会場となっている「銀座アートホール」は、「むぎの会」が、長年、展示会場としてきた場所。
それ故、母は、このギャラリーには、何度か訪れたことがあり、タチヤナさんとは、その頃、お会いしたと母は、話している。

数年前、実家を片づけた時も、「むぎの会・刺しゅう展」の「古いハガキ」が、何枚か出てきた。

今回で「ひと区切りつける」理由は、メンバーの高齢化だ。
平均年齢が、80歳以上となったとのこと・・・

今回の刺しゅう展の「ご挨拶文」
⇓⇓⇓

 真新しい「布」に、スーッと引いたラインの上を「針」が進む。
様々な彩の糸は「線」となり「面」となり、一つの形をなし、時間を重ねて愛おしい刺繍の「作品」が生まれます。      
たくさんの方々にご支援・ご声援をいただきました「髙村タチヤナ・むぎの会ししゅう展」は50回の歴史を刻みました。会員の平均年齢は、現時点で80歳を越え、銀座の地、思い出深い「銀座アートホール」での展示会も一区切りをつける時がやってまいりました。 
                                   髙村タチヤナが、刺繍の「楽しさ」「喜び」を1人でも多くの人たちに伝えようと蒔いた種は60有余年の時を経て、大きな樹へと育ちました。幹は師のもとに集った会員達、繁った葉は数えきれない作品群です。
喜び、悲しさ、淋しさ等、その時その時の「想い」と「祈り」、思い出の詰まった作品は、作り手の宝箱です。       

今回は、新作とともに会員1人1人の宝箱から「私の1番」「忘れられない宝物」も展示させていただきます。

 併せて毎年楽しみに作り続けました「クリスマス作品コーナー」も設けました。「温かく楽しいクリスマス」、これもまた髙村タチヤナと会員が育み続けた大切な宝物です。髙村タチヤナと「むぎの会」が紡いだ時間が、皆様の心に何かをお届けできますように。                                        一区切りながらも、前途への夢を保ちながら、爽やかにこの展示会を開催させていただきます。
2024年3月 
髙村タチヤナ・むぎの会

全文掲載しています。
句読点、段落など、若干編集しています。


「染め」を刺繍に取り入れる


サムネイルの写真は、会場に展示されていたタチヤナさんが、過去に刺された薔薇の作品。

一際、会場に「存在感」を放っていた。圧巻の作品!


この作品の布は、赤く「染め」られている。

前回の「むぎの会」刺しゅう展に伺った時、
作品の背景が、グラデーションになっている作品があった。

「この背景は、どうやったんですか?」と、作品を作られた方に質問したら、「これは、染めたんです」との答えが返ってきた。

しかも、「染め」たのは、タチヤナさんだ。

「先生は、染もお上手なんです。」とのことだった。

母の「刺繍作品」にも、「背景」がグラデーションになっているものがいくつかあって、それは、オーガンジーを使って表現している。

しかし、それとは違って「むぎの会」では、「染め」を使って表現している。

これは、タチアナさんが「染め」ができるからこその「むぎの会」の「得意技」だ。

今回も、刺繍布に「染め」を施し、作られていた作品があった。

「菜の花畑」
司馬遼太郎の小説「菜の花の沖」をイメージした作品
この作品の「空」は、「染め」によって、鮮やかな色を成していた。
インスタに、この作品を投稿しています。
是非、ご覧ください。


「布」に「図案」をサラッと描ける!タチヤナさん


「むぎの会」のメンバーの中にも、インスタグラムをされてる方が、何人かいて、私はフォローしている。

その投稿を閲覧していると、「タチアナさんが、生徒のために図案を描いた」というキャプションを目にすることがある。
それも「◯◯さんのために描いた」というくだりもあって、感心した。

今回の展示の中に「テーブルクロス」で、面白い作品があった。

それが、これ!
⇩⇩⇩

陽気な感じ〜
お酒の瓶


なんか、おもしろいな~

私が、それを見ていると

「先生は、こんな図案も描かれるですよ~」と話しかけてくれた方がいた。

話を聞くと「図案」は、タチヤナさんが、「布」に直接、描いたらしい~

小さいもの、例えば、「ハンカチの隅」に刺繍をするような場合、母も「布」に、直接「図案」を描きこんでいた。

でも
こんな「テーブルクロス」のような大きい布に、直接、描くって、なんとも大胆不敵な「すごさ!」を感じる。

でも
出来ちゃうんだろうな~


心からの称賛

こんなに、素晴らしい「作品」を生み出すことが出来る「刺しゅうグループ」が、「ひと区切り付ける時」を迎えたことは、寂しくもあり、残念な気持ちにもなる。

ご高齢のタチヤナさんは、既に、数年前に施設に入られたと聞いている。

「むぎの会」が、拠点としている東京・目白の「教室」は、現在、生徒の皆さんが、賃料を出し合う形で、存続していると伺った。

「むぎの会」のみなさんが、長い年月、刺繍を共に学び合いながら、繋がってきた「絆」を思わずにはいられない。


髙村タチヤ先生から継承され、各々の「アイデンティティ」の一部となった、簡単には、手に入れることが出来ない「刺繍技術」が、その「絆」の根底にあることを、展示されたすべての「作品」が、物語っていた。

これまでの「むぎの会」の活動に、心からの称賛を贈りたい。

そして、この先も、「夢」を保ちながら、「むぎの会」の皆さんが「刺繍糸」を紡いでいかれる事を願わずにはいられない。

髙村タチヤナ先生
(会場に掲げられていた写真)


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