サイコパス美容師 コラムとかエッセイとか#6



2ヶ月ぶりくらいですかね?結構伸びましたね〜 挨拶がわりのこの定型文をいつも同じトーンで言ってくれるリョウさんは、こちら側からどうやって会話に入ろうかと考える労力をひとつ減らしてくれる。 30歳前半の、実年齢よりずっと若く見えるリョウさんにここ2年くらい髪の毛を切ってもらっている。 過度ともいえるオーバーリアクションと話の拡げ方はコミュニケーションのプロやなあと思うしここ最近見え隠れする毒舌には、気を許してきてくれてるんかもなあと思う。 そんなに美容室でしゃべる派ではなかった私だがリョウさんの前ではついついしゃべりすぎてしまいYouTubeやってるんです〜とある日漏らしてしまった。それからは会うたびYouTube調子どうです?と聞かれていたが、いやほらまだ収益化とかしてないし登録者数もまだまだで〜最近は全然動画もあげてないし〜なんて言っていたらコミュニケーションのプロらしく触れてこなくなった。その代わりに最近あったことを話す機会が増え、エピソードトークの実験場として活用させてもらっている。
家が爆発しそうになった話をした際には、ハサミを止めてまで興味深く聞いてくれ、予想よりも爆笑していた。
リョウさんは最近引っ越し、たまたまだがうちの近くに引っ越してきたらしい。引越しって結構大変だったんじゃないですか?と聞いてみると、あんまり僕モノとか持ってなくて全然荷物ないんですよー。大きい荷物もないしスーツケース2つ転がして引っ越ししましたよ。ちょうど死体が二つ入るくらいのスーツケースです。
スキばさみを構えながら最後の一言をプロの笑顔で発するリョウさんにサイコパスの1面を感じたが、ここで引いた感じを出しちゃうとせっかく攻めた冗談を言ってくれたのに申し訳ない対応になってしまうと思ったのでこっちも冗談で ちょうどってなんなんですかー!ちょうどかどうかはわかんないでしょー!なんて調子であえてココ突っ込むのセンスあるなあと思いながらちょけてみたが、大体の日本人なら入るサイズのスーツケースですよ〜 なんてまたコミュニケーションのプロか殺しのプロかわからない笑顔で追撃されたので、最近雨ばっかですねーとザ・当たり障りのない話題に逃げてしまった。完全敗北である。
それから、ちょうど死体が入るサイズのスーツケースという言葉を私自身がとても気に入り、文字通りキラーワードとして使わせてもらっているが、想像している反応はひとつも返って来ず、最近寒くなってきたね〜なんて唐突に気候の話が飛んでくる。ちょうどってなんなん?前科持ち?!なんて返事が来る日がきたらその人と結婚したい。
リョウさんと同じく最近引っ越しを検討し始めた私はまずは荷物の取捨選択から始めていかないといけない。ミニマリストに程遠い、モノで溢れた生活をしている私はちょうどアザラシがショーを終えた後に食べるエサ3箱分くらいのダンボールを積み重ねて引っ越しをする姿が想像できる。


髪伸びてきたし、そろそろ美容室行こう。
一応、最近日が暮れるの早くないです??のセリフは準備しておこう。

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