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107: 謎の宇宙生命体

宇宙暦:41386.4
連邦の前哨基地のエネルギー変換器を盗んだと思われるフェレンギ艦を追跡したエンタープライズは、ある惑星付近で突然身動きできなくなる。これまでフェレンギとは未接触で、その技術力を過小評価したと降伏を申し出たピカードであったが、エンタープライズだけでなく、フェレンギ艦も同様の状態であると知る。

双方の船は惑星からの謎の力によって捕らえられ、パワーを吸収されていることがわかった。
エンタープライズとフェレンギ船は合同チームを作り惑星に上陸するが、フェレンギ人達は裏切ってライカーたちを攻撃する。

惑星は今は滅亡したトコン帝国の前哨基地だった。眠っていたトコンの門番は目覚め、ライカーがその挑戦を受けることになる。

制作番号107

第1シーズンの5話目の話はエピソードの番号でいえば105となるはずではあるが、TNGシリーズに与えられている制作番号では107が割り当てられている。おそらくは制作順に番号を付与していったものかと思われるが、105という番号のエピソードは第11話「夢の人」となっている。

ちなみにTNGの第1回目のエピソードは2話に分かれていたが、本来2時間枠で制作されたもので、その制作番号は721が割り振られている。
初回エピソードの時はテレビ用の制作番号の101, 102を使用したが、今回のものはそのまま107の番号を本稿のタイトルにした。

フェレンギ

このお話も前回の「愛なき惑星」と同じく私の中での評価は低い。
時代もあるので特殊メイクの出来についてはある程度さっ引くとしても、なんとなく教訓ありげな話に見せかけて、見終わってから思い返しても実のところ心にグッとくるようなことが何もない…。

実際のところこのエピソードはフェレンギ人という新しいキャラクターが登場するというところだけに意義があるようである。
フェレンギというキャラクターは、ちょうどTOSの中で宿敵がクリンゴンやロミュランであったように、TNGにおける宿敵として考え出されたキャラクターであったらしい。

しかしながら本作で見られるように、フェレンギには連邦に比して引けを取らないような哲学やポリシーが与えられなかった。結果、まるで猿のような変な動きで、なんとなくイライラするキャラクターに仕上がってしまった。
特にライカーとトコン帝国の門番が打ち解けた後のフェレンギ人の変な動きは最悪だ。まるで餌のバケツを持った飼育係を追ってくる動物園の猿のようだ。

そんなわけで制作陣からも視聴者からもウケが悪く、連邦の宿敵としては不適格の烙印を押されてしまったというわけだ。
しかし変な動きが幸いしてか、この後フェレンギはちょくちょくコミカルなキャラクターとして登場するようになり、TNGからのスピンオフであるStar Trek: Deep Space Nine(DS9)では、本エピソードでフェレンギ人のレタック役を演じたArmin Shimerman(アーミン・シマーマン)が、バーの経営者クワークとしてやはりフェレンギ人を演じている。

Portal 63

日本語の吹き替えや字幕では「トコン帝国の門番」としか出てこなかったが、このキャラクター実は原語では「Portal 63」と名乗っており、ライカーやデータもその会話の中で「…, Portal.」と呼びかけている。ポータルというのは、ネットの中でも「ポータル・サイト」という風に使われるように、「入口、門」と言った意味を持つ単語である。番人という意味はないようで、実際このPortal 63も「人」ではなさそうなので彼自身が入口であり門であるということなのだろう。

ちなみにこの話の脚本を書いたRichard Krzemien(リチャード・カーズミエン)の原案の中では「ディロ」という名前をつけられていたようである。

この門番、最初は仰々しく登場するのだが、ライカーと打ち解けた後は威厳がすっかりなくなって近所のおじさんみたいに親しくなってしまうところが、どうにもアメリカンな展開すぎて日本人の私にはついていけない違和感を感じてしまうところである。長い斧を人の顔スレスレにふるっておいて、直後にあんなに肩組みそうな勢いで仲良しになるか?普通 (笑)

ビバリー&ピカード

第1シーズンが始まったばかりではあるが、ビバリーとピカードの接近ぶりは目を見張るものがある。このエピソードの中でもその一端が描かれている。

エンタープライズのパワーが惑星に吸い取られていき、艦内の酸素が薄くなって息も絶え絶えになってきたところでパワーが回復して助かるのだが、ふっと気が付いた時にビバリーがこう言っている。

Not a moment too soon, jean … I mean , captain
「すんでのところだったわ、ジャン…つまり、艦長」

酸欠で朦朧とする頭にスーッと酸素が行き渡る中、思わず艦長をファーストネームで呼ぼうとしてしまい、慌てて「艦長」と言い直すのだ。
その時ビバリーはピカードの首筋に手を当てて脈を見るのだが、このセリフのせいでその仕草が愛情表現のように見えてしまう。
ピカードの脈を見た後、自分の首筋のも手を当てて脈を見るのだが、真っ先にピカードを気遣ったのは医者としての使命感なのか、それとも愛ゆえか…。

最後の前哨基地

エピソードの原題は"The Last Outpost”。日本語に訳せば「最後の前哨基地」となると思う。
エピソードのはじまりである盗まれたエネルギー変換器は連邦のOutpostにあり、辿り着いた惑星はトコン帝国の"The Last Outpost”であったということか。

私としてはタイトルに込められた意味が浅くて楽しめないところである。

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