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『七人の侍』と映画の日

12月1日は映画の日。
私が一番心に残っている映画の日の話をしよう。

1991年12月1日。その日、東京は雨でした。私は電車で1時間かけて、新宿の【新宿武蔵野館】に向かった。劇場内に入ると眼鏡が曇るほど蒸していた事を憶えている。

その年の11月に黒澤明の『七人の侍』が、リマスターされてリバイバル上映される事になった。当時、昔の映画を観るのは、テレビの映画劇場か、レンタルで借りるしかなかった。だが、レンタルビデオ店も小さく(狭く)、品揃えも少ない。黒澤明ですら、ほとんど並んでいない。この機会を逃せば一生観る事ができないかも知れない。

しかし、私の家の近所では上映されない。一番近くて新宿だ。高校生の私は、テストやバイトなど、なんとか日程を調整して観に行くチャンスを作った。それが、たまたま12月1日だったのだ。

『七人の侍』は、未だに私のベスト1だ。もし映画が心に刺さっていなかったら、映画の日だった事を憶えていなかったかも知れない。もし映画が自分の期待を超えてなければ、その日が雨だった事を憶えていなかったかも知れない。

その鑑賞の思い出は、今もハッキリと憶えている。曇ったメガネを見ると、いつも『七人の侍』を思い出す。

あなたは、自分のベスト1の映画を観た時の事を、ハッキリ憶えていますか?

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