見出し画像

【エッセイ】あちこちオードリーを見てお笑いコンビの仲の良さについて考えた

8月9日放送のトーク番組「あちこちオードリー」を観ていたら、ゲストのウエストランド・井口さんが「お笑いコンビの仲の良さをお笑い見る側が気にする意味がわからない」という旨の発言をしていた。

これに関してはMCのオードリー・若林さんも「あれ何でだろうね?」と相槌を打つだけで、番組内では答えのようなものが出なかった。

理由はいくつかあると思う。まずは「ネットニュースなどで、嫌な人の嫌な発言が、避けようとしても目に付くようになった」ことも原因の一つだろう。

ただでさえ自分の周りには、会社の上司など苦手な人間がいるというのに、SNSを開けば、ネット論客を始めとするコメンテーターの嫌な発言ばかり目に入る。「せめて自分の好きなお笑いの世界だけは、ギスギスして欲しくない。平和な世界であって欲しい」そう思うのも無理はない。

読んでもらう人を増やそうと、過激なタイトルになるネットニュース。繰り返す様々な職業の人間による炎上。そういった殺伐とした世の中のことを考えると、仲の悪いコンビなど嫌いだと考える気持ちもわかる。

あと、ほんの数年前まで、「否定の笑い」が世に溢れていて、今現在も「人が笑うこと」に鈍感な人間は、この「否定の笑い」に頼りがちな部分もある。10年ほど前にとある芸人が「否定の笑いはもう古いかな」と自著に書いていたように、今はもう完全に古くなっていると思いたいが、無くなっていないのも確かである。

そういった笑いに敏感な人たちは、やはり相方を否定しかねない人間に、悪い印象を持ってしまうのは当然だろう。

あともう一つ、芸能界は「実は○○」という話題が、今も昔も大好きだということも要因だと考えられる。

「あのコンビ、仲悪そうで実は…」「息の合った掛け合いを見せてるけど実は…」といった具合に、「実は」は多くの人が食いつくし、「実は」の奥こそ皆が知りたがる情報である。

色々書いてきたが、結局は「お笑いコンビの仲の良さ」すら目に付くようになったお笑い界って、ちょっと息苦しいなと思うのであった。

記事を読んで頂き、ありがとうございます。サポートして頂けるとさらに喜びます。