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【エッセイ】現実逃避って現実と向き合うことと同じくらい大事

年始にハンバートハンバートのライブを観に行った。ライブは歌からではなく、夫婦二人の日常で起きたことのトークからスタート。

年始から地震とか、当事者ではなくても心にダメージを受けてしまうような、「いつも通り穏やかに過ごしてて本当に良いのかな」と思うようなことばかり起きていて、あまり良くない精神状態でのライブ鑑賞だった。

ハンバートハンバートの二人は、MCの時に終始「他人にとってはどうでもいいこと」を話していて、それが凄く良くて、私は救われた気分になった。

ライブが大盛況で終わった時、「現実逃避って必要だ!」と思った。

私は以前から、SNS上でほっこりニュースのリンクを貼って「こういうニュースだけ見てたい」という人について、「そんな人生許されないだろ」と、たびたび怒りが湧いていた。愉快なバラエティ番組が、コロナや悪政に対する現実逃避にしか見えない時期があった。

でも今ならわかる、それくらい現実がつらいということだ。

つらい思いをした人のためにカルチャーがある。多くの人に楽しい時間を過ごしてもらうために、身を粉にしてエンタメの現場で働いている人がいる。そういった人達には感謝しなければならない。

ただ、やはり現実で起きている様々な事件や問題を知って、考えたり意見を発信することは、現実逃避と同等に大事なことである。

私も30歳になった。発達障害があって、職場には通えてはいるが、上手いこと人とコミュニケーションが取れていないし、未だに実家暮らしで自立できていないという現実がある。それでも、少しでも勉強をして、この世界と向き合っていかないといけないのだ。

大人の役割の一つに、子供の人生や人権を守ることがある。その「子供」というのはもちろん、自分の子供だけではない。

今の私が政治の話題に対してアレルギーを持っていないのは、大学生の頃からそういった話題を発信しているTwitterのアカウントを見ていたからで、「戦争反対!」と堂々と言えるのは、「戦争とは何か」を知る前から平和教育を受けてきたからである。

私は今の若い世代の人達に、「つらい時は現実から逃げても良いが、それが出来るのは普段から現実と対峙して、自分なりの考えを持てる人だけである」と伝えたい。厳しいかもしれないが。

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