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温浴施設の設備。

今日は、なぜ私が温浴施設の、特に設備部分を重視するのか、簡単に紹介したいと思います。

15年近く温浴業界に従事してしていて、度々感じていたことがありました。

それは温浴施設の設備の複雑さや専門性の高さです。

商材商社に勤めていた時に、入浴剤を販売営業していたのですが、ある日お客様から「入浴剤をヘアキャッチャーに入れといてくれない?」と言われました。

当時は設備についてほとんど知識がなく、ヘアキャッチャー、ろ過装置、ボイラーなどという言葉自体は知っていたものの、それがどのような作用をするのかも知らなければ、当然具体的な操作なんてできませんでした。

※ヘアキャッチャーとは、ポンプの前にある付属品のようなもので、ポンプに髪の毛などの比較的大きめの異物が混入するのを防ぐための、ごみ箱のようなものです。

中国にあったヘアキャッチャー
ポンプと一体型になっているが、清掃は非常に面倒。

元々機械設備が苦手な超文系の私、下手な操作をすれば故障するのではないか、営業に支障をきたすのではないかとビクビクしていたことを覚えています。

当時の勤務先は、確かに温浴設備とは関係がない商材商社でした。

しかし、営業中の入浴剤はヘアキャッチャー(除毛器)と呼ばれる設備品の中に投入するのがスムーズですし、実際営業マンとしてそのようにお客様に説明していたのです。
※機械室の中にあるのでお客様の目に届かない、一気に投入、撹拌が可能であるなどの理由。デメリットもありますが。

売り込みの際にはそんなふうに自分で偉そうに説明していたにもかかわらず、「どうやって操作するか分かりません!」と答えるのは、なんだか恥ずかしい話です。
実際に触ったことや、操作をしたこともなく、蒸し暑い機械室であたふたしていたことを覚えています。

温浴業界に従事していれば、どのような職種でも、このように設備にまつわる出来事はたくさんあるはずです。
それだけ、温浴施設にとって設備というのはキモなのです。

そんな機械音痴の私は、その後、何の因果か設備メーカーに勤務をすることになり、それを覚えるのには大変苦労させられたのですが、その奥深さはなかなかに面白いものでした。

また、以前の私のように、温浴施設の店長さんや、業界の関係者さんでも設備は苦手、という声はあまりにも多いです。
設備自体は大きく、威圧感があり、大きな音も出ます。
あちこちに張り巡らされた配管の作用を理解するのは大変です。
以前の私のように下手な操作をして、営業に支障をきたすようなことがあれば、とおびえることも理解できます。
恐らくこうした経緯からも、温浴設備は何となく敬遠される傾向が強いように感じます。
賑やかで和気あいあいとした温浴施設の中で、何となく異質な存在に感じられるのが、この設備です。

また別の項目でもお話ししようと思いますが、イニシャルコスト、ランニングコストともに、大きくかかわってくる温浴設備。
施設の重要部分であるのに、敬遠してしまうのは、温浴施設の運営上、かなり勿体ないことです。

実際にはこんな機械音痴の私でも(だからこそ)、設備について自信を持てるようになりました。
中立的な立場でそれらをアドバイスできるのは、私にとっての大きな強みであると同時に、施設様におかれても、より良い施設づくりというテーマの中で、是非今一度再考していただきたい部分なのであります。

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