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これからの時代に必要なのは、「両立思考」と「パラドキシカル・リーダーシップ」である。

以前から有能な実務家であれば自然に実践していることがしばしば指摘されてきたものの、従来の経営学では体系化されていなかった考えがある。それがパラドックスのマネジメントだ。さまざまな変化が劇的なスピード感で起こりうる今日では、対立や矛盾が共存した社会となっている。それは企業にも当てはまる。対立や矛盾はしばしばパラドックスの様相を呈しており、これをどう乗りこなしていくかが経営者に問われている。

近年発展が著しいパラドックス研究の日本における第一人者と称されるのが、京都大学経営管理大学院 教授 関口 倫紀氏だ。関口氏に、変化の激しい時代でのパラドックスのマネジメントやそれをベースとするリーダーシップの価値を尋ねた。


インタビューの前編では、人的資本経営やジョブ型雇用に対する見解やパラドックスの概念などを聞いた。

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■前編の目次

  • 人的資本経営やジョブ型雇用への関心が高いのは、企業の危機感の現れ

  • 変わりゆく時代だからこそ、組織は矛盾を抱えている

  • 経営学の分野で注目が高まる両立思考とは

  • 人間軸と組織軸の2つの視点を活かし、両立を追求する


インタビューの後編では、パラドックス・マネジメントを習得する意義や中小企業経営者へのアドバイスなどを聞いた。

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■後編の目次

  • エスノグラフィーを活用して体感することが、パラドックスを理解する近道

  • リソースが少ない中小企業にとって、パラドックスは重要な概念

  • 対話を通じて小さな進歩を生み出していくことが、組織作りのポイント

  • トップダウン、ボトムアップ、制度・文化の三方向から女性リーダー育成を支援する

  • 自社独自のマネジメント手法を探り、競争力を高めていく


関口 倫紀 氏
京都大学経営管理大学院 教授

大阪大学大学院経済学研究科教授等を経て2016年より現職。専門は組織行動論および人的資源管理論。欧州アジア経営学会(EAMSA)会長、日本ビジネス研究学会(AJBS)会長、国際ビジネス学会(AIB)アジア太平洋支部理事、学術雑誌Applied Psychology: An International Review共同編集長等を歴任。最近の共監訳書に、ウェンディ・スミス、マリアンヌ・ルイス(共著)『両立思考 「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するパラドキシカルリーダーシップ』がある。