怪物の夢に関する記録 十二月十日、と、私であるように思われる何者かは書いた気がする。 状況から判断するとそういう事になるが、書いた覚えはない。私は(否定する根拠がないので仮に私とするが)、ここに独りでいる。ここは部屋で、私は書き物机を前にして椅子に座っている。目の前の壁には風景写真入りのカレンダーが掛かっているが、風景は見知らぬもので、「鰭島/異客海岸」と右下の隅に印字されている。手前に白い砂浜、波打ち際に卓と二脚の椅子、その向こうに青い海と空がある。満ち潮なのか、卓