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伝統と誇り - 台湾のシェフ、ジャン・ジェンチェンが語るストリートフードの魅力

士林夜市の隣の路地から、世界的なシェフ、ジャン‧ジェンチェンの物語をご紹介しましょう。彼は台湾出身、しかもただの子供時代を夜市で過ごした一人の男性から、今や世界の一流シェフとして名を馳せています。彼のルーツ、その愛情と敬意は、いつの日も夜市から湧き出ています。


「夜市文化は台湾の飲食文化を制限している?」という問いに、彼は明確に否定します。ジェンチェンにとって、夜市とストリートフードは、台湾の飲食文化の基盤、そして生活様式、歴史、文化を反映する鮮やかなウィンドウなのです。「最小の視点から出発すると、我々は一つの国の歴史や生活様式を理解できる」と彼は言います。


そして彼はさらに反論します。「なぜ日本のラーメンは贅沢な食品で、私たちのタンツーメンは安物と見なされているのでしょうか?」彼は問います。それは、私たち自身がそれを尊重し、誇りに思っていないからだと。



彼が語る3つのポイント、それが夜市の真髄なのです。1つは、手に入りやすい食材の使用。2つ目は、短時間で美味しい料理が作れること。3つ目は、シンプルな食材でも十分な味わいが出ること。これらは、彼自身がレストラン「RAW」でメニューを組み立てる際の原則でもあります。



だからこそ、美的感覚と形式に囚われるべきではないと彼は考えています。例えば、「伝統文化を失うのは、それが誇りに思うべきものだと感じていないから。だから私たちはそれを磨き上げることをしなかった」と彼は指摘します。


彼は、私たちの文化が現代社会の速いペースの中で方向を見失ってしまったのではないかと心配しています。「なぜ京都は、観光地化の中でも古き良き伝統を守っているのに、士林夜市はそれができないのでしょうか?」と彼は問います。それは、我々が真心から誇りに思っていないからだと彼は信じています。


そして最後に、彼は、夜市文化の本来の味を守るべきだと語ります。形式だけに重きを置き、本当の味を忘れる経営者たちを批判します。「形式ばかりに追求すると、飲食の本質への尊重を失ってしまいます」と。


士林夜市が変わりつつある今、ジャン‧ジェンチェンの言葉が我々に新たな視点を提供してくれます。自分たちの文化に対する再考を促す彼の言葉に、我々は耳を傾けるべきです。彼のように、自分たちの文化を誇りに思い、守り、伝えていく。現代化という名のもとにそれを捨て去ることなく、その真髄を尊重し続けること。それが、真の飲食文化の発展をもたらす鍵なのかもしれませんね。

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