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書籍「会社には行かない」レビュー

ある日TwitterでこんなTweetが流れてきたので即レスし、石倉秀明さん著会社には行かない 〜6年やってわかった普通の人こそ評価されるリモートワークという働き方」のゲラを拝読する機会をいただきました。

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「リモートワークを会社経営の真ん中に置いてみたら、企業も働く人もまったく新しい世界が見えるんだけど?」という書籍です。

キャスターは「リモートワークを当たり前にする」というミッションと、「労働革命で、人をもっと自由に」というビジョンを掲げて2014年に創業しました。会社のメンバーは最初から今の形態で、つまりそれぞれが離れた場所でリモートワークをしています。

ニューノーマルの働き方についての議論をいろいろ目にしますが、本書は机上の議論や妄想ではなく、2014年から「リモートワークを当たり前にする」というミッションと「労働革命で、人をもっと自由に」というビジョンを掲げて運営してきたベンチャー企業=キャスター社(石倉さんはそこの役員)の事例がベース。

「え? リモートワークに最適化する経営をすると、そんなことが?!

と驚かないでいられないお話が、非常にくっきりした解像度で、惜しげなくたっぷり語られています。未来からやってきた経営者の話を聞いているような感じ。ワクワクしてページをくるうちに読了しました。書籍タイトルからは一見、働き手向けの書籍の印象を受けますが、むしろ会社経営に携わる方にこそオススメしたい1冊です。

誰も無関係ではいられない

キャスター社は在宅派遣や在宅秘書というユニークなサービスをコア事業にしているベンチャー企業で、約700人の従業員全員が(役員まで含めて、採用面接から離職まで)ほぼ完全リモートワークなのだそう

「あ、そういう業態の会社なんですね。そういう業態だからそんなことができるんですよね?(我が社の参考になるのかな?)」と、うっかり思ってしまうかもしれません。最初わたしもちょっとそんなふうに思ってしまいました。

しかし考えてみれば、いま企業で議論されるべき議題は「リモートワークを活用してどんなサービスを提供するか」ではなく、「リモートワークをどう経営に組み込むか?」「必然的に導入されるリモートワークをどう強みに転換してしてゆくか?」がメインになるはず。業界やサービスの違いは(影響ゼロではないと思いますが)議論の重要ポイントではないのです。リモートワークを経営の真ん中に置いてビジネス的成功へとつなげたキャスター社の事例は、業種問わず、すべてのビジネスマンに価値アリだと思います。

働き手の目線でリモートワーク を考える

キャスター社にはWebページ経由で毎月1000人もの採用応募があるそうです。自発的にWebページを探し出して応募フォーム送信する人が毎月1000人! ほかにもリモートワークを人材活用のフックにされている企業は数多くありますが、ここまで人気になる秘密はなんなのでしょうか?

採用ページを覗くとその一端がわかります。フルリモートワークでこの給与水準・・・。日本全国どこでも同給与というキャスター社の「あたり前」は、働き手からすると感動的ですらあります。そして、これだけではない驚きの「あたり前」がバンバン紹介されます。 

「リモートワーク従業員に対する考え方の根本が全然違う」
「この考え方はなかった・・・」

詳細はぜひ書籍で確認してみてください。リモートワークを「一時的なもの」や「傍流のもの」でなく「経営の真ん中」に据えることで働き手の価値観中心の経営ルールが確立されたこと、結果的に多くの優秀な人たちを惹きつけ、活躍の場を作っていることがわかります。

しかしこれ、見方を変えると、多くの企業がリモートワークというITの恩恵を手にしながらも、経営側の都合、企業内既得権チームの主張、積年の慣習存続を優先し、働き手にとって魅力ある会社づくりには活用してこなかったということ(10年前には十分な環境が整っていました。2010年出版の拙著「どこでもオフィス仕事術」でオフィス以外の場所で働くテクニックを紹介)。働き手視点にこだわったキャスター社が無二の存在になった、とも言えます。

2020年、コロナ禍はすべての企業に変革を促しました。好むと好まざるとにかかわらず、リモートワークをどう活用するかはすべての企業の重要戦略です。キャスター社に倣って、リモートワークを当たり前にし、競争力を高める経営をスタートさせましょう。

「もし競合企業が、先んじてキャスターの事例に学んで優秀な人材を次々獲得し、その人たちが大活躍するような市場が形成されたら?」

そう想像するだけでぞっとします。


知ってるリモートワークが全てではない

コロナに向き合う時代は、従来の常識や成功法則が通用しない、リスクと不確実性だらけ。不安が募るばかりではないかと思います。そして「リモートワークとどう向き合うか」「リモートワークをどう活用するか」は全ての企業に課せられた宿題のような存在になっています。

レノボ社の調査によると、リモートワークによる生産性低下の実感は、日本がぶっちぎり世界最悪のレベル。

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このリリース記事ではIT機器やソフトウエアへの支出が足りないのが原因? となっていますが、本書「会社には行かない」を読んだ後では、在宅勤務の環境づくりはリモートワーク戦略の第一歩に過ぎず、経営の創意工夫次第で、リモートワークはそのものが人材活用や企業成長のエンジンになり得ることがわかります。

「いま自社で実施しているリモートワークを見て全部をわかったつもりになってはいけない、もっと格上のリモートワークがある」
という気付きが本書最大のギフトです。


わたしも現在、新しい事業開発の途上なのですが、様々な気付きがありました。そしてほかのメンバーがどんな感想や気づきを得るのか知りたい、とも感じました。本書は読むだけでなく、読後にみんなでディスカッションすると面白そうです。

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