見出し画像

呪術

呪術とは、神や精霊などの超自然的力や神秘的な力に働きかけ、種々の願望をかなえようとする行為、および信念のこと(大辞泉より)。

表現は呪術である。
表現とは、内から溢れ出るものを形にすること。それは、何かしらの信念に基づいている。
表現する際は、何かに取り憑かれたかのように一つの信念しか見えなくなる。自分の中で思い込んだものは、一種の呪いとなって当人を拘束し、盲目にする。
その結果、勢いで完成することもあれば、足枷から解放できなくなって暗闇に飲まれていくこともある。

表現されたものは、他人に影響を与え、思想を形成させ、新たな表現を生む。自分にとって呪いとなっていたものが、他人をも呪い、その連鎖で思想が後世まで残る。

岡本太郎、草間彌生、村上春樹、坂本九、YMO、モーツァルト、マイケル・ジャクソン、ザ・ビートルズ、シェイクスピア、チャップリン、ピカソ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ガウディ、ミケランジェロ、………

現代で、1番強い呪術はなんだろう。

簡単に表現が消化される時代。
特に音楽は、長く聴かれるような名曲が生まれているとは思えない。簡単に誰でもどこでも曲を作ることができ、聴く方は大金を払わずとも簡単に、短期間に、気に入ったパートだけ聴きまくり、飽きたら別の曲に移る。音楽の飽和状態。それが良いか悪いかなんてわからないけれど、私は自分が好きな曲を聴き続けたい。今好きな音楽を大切にしていたい。

ある程度形が出来上がってしまい、これ以上変化が望めない現代だから、とてつもなく強い想いが生まれにくいのだろうか。これから世界中が戦争の渦に飲まれるかどうか危ない世の中になると思っているが、不安定な時にしか、誰もが心を動かされる表現が生まれないのだろうか。

どうか、後世まで、誇れる状態で残る表現、芸術が生まれてほしいと願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?