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神社の夢から醒めないまま

いつからだろうか、現実世界と区別がつかなくなっていた。
自分が眠っているのか起きているのかわからなくなっている。
初めは面白がって話を聞いていた友達も最近は夢の話を聞かなくなった。


よく夢の中で行く神社に今日も行った。
でもこの世界が本当なのかわからない。
現実か夢なのかを確かめる方法は色々あったが、一番手っ取り早いのは自分の体が男なのか女なのかを調べることだ。
不思議なことになぜか夢の世界で私は男性なのだ。
すらっとした体に申し訳程度に筋肉がついており、股間に異物を感じる。
今は夢の世界のようだ。
「うーむ、困ったな。さっきまで電車に乗ってた気がするのに」
目の前には白くて大きな鳥居が見える。
「もしかしてここは…」と考えるや否や後ろで声が聞こえた。
『あら?またきたの?あんたも物好きやね〜』
『この間は海の方の神社に行ってへんかった〜?』
狐の姿をした何かが話しかけてきた。姿がはっきりとしないせいで、自分の目が悪くなったような錯覚に陥る。
狐たちはまだ何か話していたが私はその場を後にした。早く起きないと電車が目的地を過ぎてしまう。
鳥居をくぐるとたくさんの屋台が本殿までの道のりを彩っていた。
ふと気がつくと甘くいい香りに吸い込まれるようにリンゴ飴の屋台を覗いていた。
「はっ!危ない危ない!早く起きなきゃ!」
そうは思っていてもリンゴ飴の甘い香りが鼻をつついてくる。
結局、大きくて綺麗で真っ赤なリンゴ飴を手に持ち移動することになった。
パリパリもぐもぐと食べながら先へ進むと立派なおみくじ売り場があった。「ヘェ〜夢の中とはいえ、ちゃんとしているなぁ」と思っていると後ろからまた声がした。
『あら!大吉!よかったですねぇ』
え?大吉?と不思議に思って振り向くとそこには真っ白な服を着た女性がいた。深くかぶっている帽子まで真っ白だ。
『ほら、あなたの持ってるおみくじです』
と言われ彼女が指さす先を見てみるといつの間にか手に持っていたりんご飴は消え、代わりに大吉と書かれた紙を握りしめていた。


目が覚めると電車がちょうど目的地で停車していた。急いで降りる。
神社へ向かっている電車の中で神社の夢を見るなんて頭がおかしくなりそうだ。
バスに乗り換えて着いたその場所はやっぱり同じ風景だった。
「こっちでは初めて来たのに、変な感じ」
慣れた足取りで白くて大きなその鳥居をくぐった。

今日の世界は青く晴れた空だった。


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