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Octomore 13.3 The Impossible Equation (ABV 61.1%)

オクトモア2022年。
今年は13.1/13.2/13.3/13.4の4作、10年熟成がリリースされるかは不明です。
この3作ではウイスキーのテロワールと呼ぶに相応しい.3のIslay Barley。
大麦はアイラ産100%で.1と.2と同様concertoを使用。
.3の特徴はSingle Vintage、Single Farm、Single Field。
Octomoreの中のOctomoreと言っても過言ではない逸品。
James Brown氏が所有するIslay島内のOctomore農場で育った大麦を100%使用しており蒸留所との距離は6㎞で非常に近い。
一つの畑からの大麦を蒸留し、他のVintageと混ぜない為その年の大麦の味わいとなる。
そして熟成期間が長ければ長い程良いという訳ではないことを体現している。
Kavalanも同じ観点ですが気温を逆手に取って樽の呼吸を早めているのでOctomoreの考え方とは異なる。
(とは言え近年様々な土地でクラフトウイスキーが増えた理由はKavalanの影響だと思うが。)
優れた原材料、優れた環境下であれば熟成期間は短くても勝負出来るというのがBruichladdichの考えですね。
Octomoreが年々進化する理由はこういった事がmanage出来る、つまりtrace出来るから。
Octomoreは基本的には5年程の短期熟成が多く、そのタイミングでピークを迎えた限られた樽が使用されています。

13.3は日本では2022年10月頃にリリースされたらしいですが、マレーシアでは11月頃リリース。
私は11月にクアラルンプールで開催されたWhisky Plus2022のテイスティングイベントで購入しました。

Whisky Plus2022 Bruichladdichブース
13シリーズ
13.3テイスティング

開栓直後はネガティブに感じたので1.5ヶ月置いてから再度テイスティング。
私はテロワールらしく毎年表情を変える.3が面白いので大好きです。
フェノールは129.3ppmでオクトモアの数字的には昨年同様おとなしめ。
構成は1stフィルアメリカンオークと2ndフィルヨーロピアン(フランスのリヴサルト地方とスペインのリベラ・デル・ドゥエロ地方)オークのヴァッティングで2016年蒸留の5年熟成。
情報が開示されていると逆に混乱。笑
とは言えオクトモアのヨーロピアンオークはシェリーのネガティブさをあまり出さないようにしているので(あえて出しているオクトモアもありますが)、そこまで気にしていません。

ちなみに13.1が1stフィルアメリカンオークで5年熟成させたもの。
13.2がスペインのヘレス地方のボデガであるフェルナンド・デ・カスティージャの1stフィルオロロソシェリーバットで5年熟成させたもの。

香りはオイリーなバニラとハチミツ、干し草のピート、ジンジャーのスパイシーさが感じられます。
開栓直後に比べるとモルトの甘い香りが感じられるようになりました。
12.3に比べるとドライ寄りで軽め、もちろん129.3ppmのスモーキーさは感じられずABV60%超えにしては相変わらず穏やか。

味わいは口当たりが穏やかな甘いハチミツとバニラで始まり、中間に鼻に強く抜ける潮っ気と草系のピートが押し寄せ、フィニッシュにかけてはレモン系の柑橘とモルトの甘みが良い意味で野暮ったいピートに包まれ続けます。

加水すると香りは穏やかなピートと甘さが出始めますがベースは同じ。
味わいはいつも通りの感じで全体的に滑らかな甘さが続くようになり中間で感じたピートの爆発力は無くなります。
良くも悪くも穏やかに飲める変化の無い味わいといったところ。
ストレートで厳しい人は加水がベストだと思います。

ロックにすると香りはモルティーでピーティなので結構良いところを感じれるようになります。
味わいは甘味そこそこ、スパイシーさが甘味より強めに、鼻に抜けるピートは少し強め、奥底からの力強さがある。
といった感じでロックもそこそこ楽しめました。

ストレート、加水がオススメです。
総合的にはPXソレラヴァッティングの12.3の方が好みですが、13.3はドライさも楽しめるのでこれはこれでありです。
今年もキャラ立ちしてて美味しいですね。

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