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Kilchoman Fino Sherry Cask Matured 2023 (ABV 50%)

2018年に蒸溜したへビリーピーテッド原酒を、スペインのボデガが使用したフィノカスクで5年以上熟成した原酒を20樽分ヴァッティング。
2020年以来のフィノカスク熟成のリリース。
ちなみにフィノはマンサニージャと似ていますが産地の違いにより名前が異なります。
どちらもフロールと呼ばれる酸膜酵母を利用したシェリー酒の樽。
細かな内容は割愛しますがオロロソとは異なりシーズニングには向かず、その影響でウイスキーにおいてフィノ樽でフィニッシュさせることはあっても長期熟成に使用することはほとんど見かけない珍しいタイプのウイスキーです。

香りはピートを除けば白ワイン。
普段のキルホーマンよりもピートの香りがまだ弱めなので他の香りを拾いやすく、リンゴ由来の酸味が白ワインを彷彿させます。
柑橘感はレモンがメインで後ろにパイナップル。
ピートはキルホーマンらしい土っ気と潮っ気。
フィノはドライであることを期待していたのですが逆に甘味が結構前面に出てます。
フレッシュ感がドライであるとも取れますが。
カバランのフィノもマンサニージャもピートを除けばこれに似た柑橘とフレッシュさを持っているのでフィノ熟成はこういう雰囲気になるのかもしれません。(カバランはこの香り+レーズンとプラム)

カバランフィノ(確か2020)
日本で床下倉庫に置きっぱなし
カバランマンサニージャ
これも日本で床下倉庫に置きっぱなし

フィノ熟成=フレッシュな柑橘+白ワインというところかなと。
味わいは口当たりがスパイシーでドライ。
人によっては苦手かもしれませんが私はフィノ熟成のキルホーマンにこれを求めていたので、そうこの感じ!フィノ熟成でキルホーマンであればこの味になるよね!
という感じでドヤ感が出たのと、求めていた味通りだったのでなんだか嬉しかったです。
ちゃんと柔らかなハチミツの甘みとグレープフルーツの苦味(というよりジンジャーの苦味?)も持ち合わせているので単にスパイシーでドライということでは無く、このあたりの味わいが複雑に絡み合っています。
中間からフィニッシュにかけてはいつもの土っ気ピートとバニラとスパイシーさとジンジャーが強くなりフィニッシュにかけてハーブ系の苦味を伴いながらピートが徐々にフェードアウトしていきます。
このフィニッシュの独特な感じは苦い漢方の感じというかローズマリーをしっかり噛み締めて味わった時の苦味。
なんかそんな感じです。

加水すると香りはストレートで感じた粒揃いの香りがまとまりを持ち柔らかいピートが全体を覆うようになったという印象。
雰囲気はいつものキルホーマンです。
味わいは口当たりのハチミツの甘味が非常に強くなりバランスの良いピート感とスパイシーさとドライさが口当たりからフィニッシュにかけて長く続きます。
加水したら非常に甘くなるキルホーマンのそっちのタイプですね。
甘いといえどスパイシーさとドライさがずっと後ろで支えてくれるので単に甘いだけではなく複雑味を感じ続けることが出来るのが最大の特徴だと思います。

ロックにすると加水よりそのまま更に柔らかくなります。
味わいは口当たりがじっくり奥からくるピートと甘味がじわーーーっと。
キルホーマンロックで美味しい典型的なタイプです。
これもちゃんとスパイシーさとドライもあり、フィニッシュも絶妙な苦味もあります。

ストレートは人によっては賛否両論。
加水とロックはピート好きならストライク。
という感じだと思います。
私は3種類全て美味しかったので、店頭から無くなる前に明日もう1本買いに行きます。
この3変化はなかなか無いと思います。
急がなくてもマレーシアなので無くなりませんが。

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